05
「帰らずの森」の境界には、嘆きの門がそびえ立っていた。それは黒曜石で作られた二本の巨大な柱であり、森の中に「地域壊滅級」の脅威を封じ込めるための古の守護ルーンが刻まれていた。その間に立ちはだかるのは、森の守護者。苔むした玄武岩と魔力を帯びた鉄で鍛え上げられた、Aランクのゴーレムである。
一行が近づくと、ゴーレムの瞳が深い魔法の紫光を放った。それは馬車ほどもある拳を振り上げ始めた。「都市壊滅」級の一撃――通常、それを防ぐには高位魔導士の師団が必要とされる。
だが、魔導士サトゥリは歩みを緩めなかった。彼にとってそれは「守護者」ではなく、日光への最短ルートを塞いでいる「配置の悪い案山子」に過ぎなかった。
「失礼」
サトゥリはゴーレムの間合いへ直進しながら言った。彼の「隠密」――Sランクの気配遮断として機能するほど絶対的な「残心」の極致――により、ゴーレムの魔法追尾センサーは彼を完全にロストした。同時に、彼の放つ「剣気」があまりに鋭かったため、ゴーレムの原始的な論理プロセッサは純粋かつ機械的な恐怖のフィードバック・ループに陥り、フリーズした。
サトゥリは手を伸ばすと、ゴーレムの巨大な鉄張りの脚を無造作に脇へ押しやった。 「こんな道の真ん中に飾りを置いてはいけない。誰かが躓くではないか」 落ち着いたバリトンの声で、彼はそう指摘した。
三百年もの間、不動の存在として君臨していた守護者は、悲しげな金属音を軋ませると、一歩下がって絶対的な服従を示すように頭を垂れた。
「今の……地域ボスを脅して門番にさせたのか?」 護衛の一人が、拳が白くなるほど盾を握りしめ、震える声でささやいた。
標高5,000メートルの山頂から下るにつれ、大気圧(P)は気圧公式に従って上昇し始めた。
一行が暗い木々の天蓋を抜け出すと、谷を照らす黄金の光が広がった。眼下にはラヴィラント王国の広大な王都が煌めき、その白い石壁はこの高さから見るとまるでおもちゃのようだった。サトゥリは濃くなった谷の空気を深く吸い込んだ。「青海波」――穏やかな波の文様が施された羽織が、188センチ(6フィート2インチ)の長身になじむ。
「ようやく着いたか」
彼は小さな木椀と、道中で見つけた「ワイルド・ペッパー」を取り出した。カタナの柄で葉をすり潰し始めると、静かな午後の空気に鋼が木を叩く音だけが響いた。
「王女殿下、もうすぐ街に着くが、まともな台所はあるんだろうな? 山から持ってきたこの山羊肉は悪くないが、例の『M-P』というスパイスで焼き上げたいんだ」
伝説的な死のトラップを通り抜けながら、調味料の文句を言っている男をセラフィナは見つめた。彼女は「幸日繋ぎ(こうじつつなぎ)」のペンダントを握りしめた。彼女の頭の中は、自分たちを導いているこの「浪人」が、王都の常識では到底計り知れない「自然災害」のような存在であるという事実で混乱していた。
「王都には、サトゥリ様が必要とされるものは何でも揃っております……」 彼女は、畏怖と、そして王都の魔力測定水晶がどうなってしまうのかという不安を込めて囁いた。
「よろしい」 サトゥリは鼻を鳴らし、遠くの城門を見つめて黒い瞳を細めた。 「粗塩があるといいんだがな。精製された細かいのは、どうも口に合わん」




