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美少女クシナちゃんの雑貨屋~呪いしか鑑定できませんが、問題あります?~  作者: なすちー
第一章 人工呪物編

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6 ほら私って天使でしょ 中

可能な限り更新頑張ります。

よろしくお願いします。


続きは夜にアップします。


 私は半ば強制的に、本当に不本意ながら、しぶしぶ子供たちの面倒を見ることにした。


「ねぇーみんなー、何して遊ぶのかしらー?」

どうよ? この聖母のような、あるいは天使のような美少女ボイスは!


「あはは! きもちわるーい! 変な声ー!」

「こら、そういうの言っちゃダメだよ」

「わたし、お絵描きしたい!」

「お外で鬼ごっこしよー!」

「本、読んでほしい」

「探索者ごっこしよーぜ!」


 あれ? おかしいわね。絶世の美少女のサービスなのに、これっぽっちも尊敬の念が感じられない。

 それどころか、子供たちは私を無視して思い思いの要求をぶつけてくる。


(……落ち着け私。私は淑女。私は大人)


 あらためて見渡すと、この孤児院の子供は全部で六人か。 たった六人、されど六人。これを施設長さんは一人で回しているのね。……よくやるわ、本当に。


「はーい、みんな。順番に聞くから静かにしてねー」


「「「はーい!」「わかったー」「……ん」「俺、探索者!」」」


 一応返事は返ってきたけれど、まとまりがあるような無いような。



 あーしんどい……子供の体力を完全に舐めていたわ。

「あーつい…、ぜー、ぜー……ひゅー、ひゅー……」

 ローブの袖を戻し、喉を鳴らして必死に呼吸をする私。もはや絶世の美少女の面影なんて微塵もない。


 私は、子供たちの「やりたいこと」に律儀に付き合ってあげていた。

 鬼ごっこに探索者ごっこ、その他諸々。順番に一通り遊んであげたのだ。

 もうマジ無理。本当にしんどい。


 そんな時だった。疲労で注意力が散漫になっていた私も悪いけれど。

 私のことを「おばちゃん」呼ばわりしていたあのクソガキが、あろうことか私の胸をローブごしとはいえ触ってきたのだ。


「なんだー。お姉さんって言うわりに、ちっさいじゃん!」


 …………なっ。  なななっ……! 私が一番気にしているデリケートな部分を!!?


「こんのぉ……クソガキ!絶対に許さぁぁん!!」


「わっ、レイくん! それは本当にダメだよ! ソフィアさんに言うからね!!」

「えっ、ちょ、それだけは――ぎゃあああ!?」


 私はレイと呼ばれた少年の首根っこを掴み上げ、文字通り「鬼」の形相で怒鳴りつけてやった。


「……ごめんなさい」

 結局、彼には床の上で正座をさせてやった。これだけで許してあげるなんて、私はなんて慈悲深くて優しいのかしら。


(……ん? あれ?まぁいっか)

ふと違和感があったけれど、深く考える気力も残っていない。

 ちょうどそこへ、司祭ちゃんと施設長が戻ってきた。


「ありがとうございました、クシナさん。子供たちの面倒を見ていただいて」


「ねーねー施設長! レイくんがねー!」 「わーわー! ダメだって! 言うなよ!!」


 子供たちの騒ぎに、ソフィアが苦笑いしながら頭を下げる。

「騒がしい子ばかりですみません。本当に助かりました」


「それじゃあ帰りましょうか」  シエスタに促され、私はようやく解放される喜びを噛みしめた。


「クシナおねえさーん、またねー!」 「バイバイー!」 (そうそう、そう呼ぶのよ。分かってるじゃない、可愛い子たちね)

 一部の素直な子たちの見送りを受け、気分良く孤児院をあとにしようとした、その時だった。


「クシナおばちゃん! これ、おばちゃんの忘れ物だろ?」


 あのクソガキ……もといレイくんが、私の『丸呑みちゃん』を両手で抱えて走ってきた。


「あっ……!」

 いけない。大事な仕事道具を忘れるなんて、相当疲れが溜まっていたみたい。というか、それ、迂闊に触ると腕ごと持っていかれる代物なんだけど……よく無事だったわね、このガキ。


「ありがとう。ええと、レイくんだったかしら。一応お礼は言っておくわ。……それと、私は『おねえさん』。いいわね?」


 私は最後にもう一度しっかり忠告をして、カバンを受け取った。 ようやく、私は司祭ちゃんと一緒に孤児院をあとにした。


「今日は本当にありがとうございました。このお礼は、またどこかで」


 教会で司祭ちゃんと別れ、私は一人、雑貨屋への夜道を歩き出した。

「あー疲れた……。もう、くたくたよぉ……」

日はすっかり沈み、街灯の少ない脇道はすっかり暗くなっている。絶世の美少女が一人で歩くには、少し不用心な時間帯かもしれない。


 と思っていたら、案の定だ。

「おい、ねえちゃん。ちょっと付き合えよ」


 ガラの悪い男が、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて道を塞いできた。

 夜遅いとはいえ、こんなベタな輩にまで絡まれるなんて。今日は本当に、最初から最後まで散々な日ね。


「あ? 何とか言ったらどうなんだよ、無視してんじゃ――」

 男が痺れを切らしたように、私の肩に手を伸ばした――その瞬間。


「…………え?」

 男は言葉の途中で白目を剥き、糸の切れた人形のように地面へ崩れ落ちた。

死んではいないけれど、明日の朝まで目を覚ますことはないでしょう。

まあ、放っておこう。


 私は当然、自衛の準備を欠かさない。

 それなりに稼いでいるし、何より私は絶世の美少女なのだ

 自分の身は、自分で守らなければならない。

 だから私は、普段から比較的「軽め」の呪い装備を身に纏っている。


 例えば、今着ているこのローブ。 刃物は通さないし、熱にも強い。防御性能だけを見れば一級品だ。……まあ、触れた者の生気を根こそぎ吸い取って、強制的に意識を奪ってしまうという、ちょっとした「癖」はあるけれど。


ちょっとしたアクシデントはあったが、私はようやく自分のお城――クシナ雑貨店へとたどり着いた。


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