6−9 模擬戦 1
みんな大好き、魔術を使った戦闘シーンが始まります。
ダゴンには夜明けまでなんて言ったけど、私はそこまでこの戦いを長引かせるつもりはなかった。
早く帰ってお風呂に入ってベッドで眠りたい!その一心だった。
「……はじめっ!!」
クリスが開始の合図を出した途端に眷属達が長距離の攻撃術を雨霰の様に連続で撃ってきた。
攻撃神霊術が私に到達する瞬間、神霊術が霧散し金色の粒が私の周りに降り注いだ。
この光景はいつ見ても綺麗だね。……だけど、いつも思うけど何でこんな風になるんだろう。私が何かした覚えもないのに。
この現象は、私がこの異界に来てからのものだ。私がタカアマハラでお姉様から神霊術を教わっている時には起こらなかった。
私と同時にこの世界に来たクリスにはこんな現象は起こらなかったので異界特有の現象という事ではないみたいだ。となると、私だけに起きる現象なのだろうか?
私に光の粒が降り注ぐ光景はとても厳かに見えるみたいで、ダグザ達はこの現象のことを『祝福』と呼んでいた。
いつかはこの祝福が起こる原因を解明したいものだが、今はとりあえず模擬戦に集中しよう。
私が祝福について考えている間にも神霊術の攻撃は止まず、私の周りに祝福が降り注ぎ続けた。
観戦席にいる精霊達は恍惚とした表情でその光景を見ていて、感嘆の声を上げていた。
私としては特段何かをしているという事はないので、その歓声に少し照れながら赤面していたが、そんなことを考えていたら私の周りの地面が私を覆い始め土で出来たドームの中に私を閉じ込められてしまった。そして次の瞬間、ドームの中で業火が燃え盛り私を丸焦げにしようとしている。
……だけど、この攻撃も何故か無効化してしまうんだよね。
先程の攻撃神霊術と同様にこの炎の熱も無効化してしまって祝福が降り注いでいる。そのおかげなのか私は暑くも寒くもない。快適な適温状態が続いている。
……この現象、本当にチートな現象だよね。
チートという言葉はゲーム用語なのだそうだが、生憎私はゲーム関連にそれ程興味はなかった。この言葉を知っていたのは前世で愛読していた小説投稿サイトの小説で多用されていたから自然に覚えてしまったのだ。……前世では私の人生、ほぼ入院生活だったからゲームにはあまり触れられなかったけど、この世界に来たらゲームに触れることなんて絶望的だね。それはちょっとだけ残念だったかも。
「……暑くはないけど、見える景色は最悪だからとっとと脱出するか」
このままドームを破壊すると待ち伏せに遭っちゃうかもな。
とりあえず待ち伏せに警戒しつつ私は神霊術を使って足元の地面を掘り進んでいって眷属達の目の前に出て奇襲をかけてみることにした。
確か、眷属達の軍勢との距離は一キロメートルぐらいだったはず。私はまるでモグラの様に地面を掘り進んでいったが、その瞬間目の前で爆発が発生した。そしてその爆発に連鎖するかの様に私の周りのあちこちで爆発が多発している。
ドッカーン!ボッカーン!ドッゴーン!
衝撃は感じないが辺り一帯木っ端微塵状態だ。
どうやら原初の眷属達は私の行動を予測していたらしく、私の周りを地雷の神霊術で埋め尽くしていたみたいだ。
うーん、どれだけ地雷が埋まっているかはわからないけど、近くで爆発が連発されるのは結構不快だなぁ。
私はいくつかの野球のボール大の球体を創りその中に私の心音や体温や声、そして遺伝子情報を封入した。そういったいわゆる生体反応を封入したのは、地雷の起爆条件が接触型なのか感知型なのかが特定できなかった為だ。
「よーし、対地雷用地中潜航魚雷発射ーー!!」
魚雷達は私から離れて次々と地面を掘り進んでいった。そして暫くするとあちらこちらで爆発音が鳴り響き、土柱が次々と上がっていった。
これで地雷の除去は出来たかもしれないが、再び地雷を設置されたら面倒だ。こうなったらこのまま反撃を開始しよう。
私は両手を突き出し、眷属達がいるであろう方向に向かって神霊術をぶっ放した。
「いっくぞーーー!アリアビームキャノン、略してABC発射ーーーー!!」
今までの流れでお気づきかもしれないが、私は周囲の人達からネーミングセンスが壊滅的なのだと言われている。今放ったABCだって私はかっこいい名前だと思っているのだが、お姉様やクリス達には何故か不評だ。なので何かの名前をつける時には出来るだけアレンジを付け加えるなとお姉様やクリスに言われている。……ABCってそんなにカッコ悪いかな?名付けって難しいね……。
私が放ったABCは眷属達の軍勢の中心を貫き、この一撃で眷属達十人程が消し炭になったみたいだ。
原初の眷属達は主人である原初の精霊と同様に死を超越しているので肉体が滅んだとしても再び復活する。……まあ復活するにも数年程度はかかるかもしれないけどね。
それから私はABCを何射かぶっ放した後、地中から出て地上に舞い戻った。
目の前には眷属達の軍勢が立ち塞がっている。
さあ、ここからはみんなが大好きな接近戦の時間だ。
次回は、アリアが初めて武器を持って戦うシーンが登場します。




