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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第六話 入学前の慌ただしい日々

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6−8 模擬戦 開幕直前

 ここ最近の懸案事項だった魔術師学校への入学準備もほぼ完了し、日常生活もようやく落ち着きを取り戻してきた。

 そうなると約束していたトゥルー教の枢機卿達との模擬戦を開催しなければならないが、ストレス発散はしたいものの私はそこまで乗り気ではなかった。おそらく枢機卿連中も同じ思いなのかもしれない、向こうからはあれ以降全く音沙汰がない。けれど一度約束した以上こちらから反故にする事は神の信用問題に関わる。それに面倒ごとは先延ばしをしたとしてもどうせいつかはやらなくてはいけないのだ。だったらさっさと終わらせてしまったほうが一番心情的に楽になるのだ。

 私はダグザからトゥルー教のダゴンに連絡を取って貰い模擬戦の日時を伝えてもらう事にした。

 決戦の日は三日後の深夜、場所は前に言った通り闘技場コロッセオ

 連絡してすぐに相手からの了承の返事が返ってきた。……もしかして、向こうはやる気満々なのかな?

 さあ、面倒だけど、ちょっとストレス発散してきますか!




 私の目の前には大勢の原初の眷属達が並んでいた。その数、約三百人。あの面談に来た連中って沢山来たと思っていたけど、ほんの一握りの人数だったんだな。

 見物人として、世界中の精霊達が何故か闘技場コロッセオに集まってきている。いつの間にか観戦席みたいな階段状の客席を勝手に作ってお酒を飲みながらやいのやいのと騒いでいる。

 私は席の最前列に陣取っていたダグザに問い詰めた。


「何でこんなお祭り騒ぎになっているのよ。模擬戦をする事は別に隠してはいなかったけどこんな騒ぎにする必要はなかったんじゃない!?」


 するとダグザは私から視線を外してモリガンを見つめていた。そしたら、急にモリガンが慌てて釈明し始めた。


「……妾はちょっと他の精霊達に姫様の勇姿が見られるかもしれないって自慢げに話をしたら、いつの間にか全員に広まっていまして。妾もまさかここまで大騒ぎになるとは思っていなくて……。でっ、でも、姫様の戦う姿を見るのはここの精霊達は全員見た事がなかったので、一目姫様の勇姿を見ようと殺到した次第でして……」


 モリガンはしどろもどろになりながらも言い訳を並べていた。


「……まあいいわ。けれど、どんな結果になったとしても決して手を出さない様にしてちょうだい。これはあくまで模擬戦……試合なんだからね」

「妾はそれでも構いませんが、相手はそうは思っていないみたいですよ」


 確かに眷属達を見てみると、こんなに離れていても殺気が伝わってくる。……私、そんなに恨まれるような事をしたかなぁ?


「……姫様、ダグザに経緯を聞きましたが、今回の話は姫様のわがままを一方的に押し付けた形だったではありませんか。あの連中からしてみれば途中までは上手くいっていたのに姫様が全てを台無しにしてしまった様なものですよ、恨まれて当然だと思いますけど?」

「なるほど、確かにそう言われてみたら私は極悪人みたいだね」

「まあ、連中も人道を外れた非道な行為をしていたのですから自業自得なのですが、それでも恨まれるのは仕方がないことかと」

「うわー逆恨みってやつなの?私はただ、生まれ故郷の為に頑張った善良な国民なだけなんだけど」

「それはそうですが、姫様が善良かどうかは意見が分かれるとは思いますが……」


 モリガン達とくだらない話をしている間に準備が整ったみたいで、審判になっているクリスが私と眷属達の代表であるダゴンを呼び出した。


「今回の模擬戦ですが、ルールはいかがいたしましょう。今まで細かいルールを決めていませんでしたが」

「そうね、一応今回の模擬戦は眷属達と神との戦争を想定したものだから勝敗はどちらかが戦闘の継続が困難になった時点で勝敗を決定しましょう。私の勝利条件は眷属達の全滅、もしくは戦闘継続が困難になった時、眷属達の勝利条件は私が戦闘できなくなった時でどうかしら?」

「……我らに依存はありません」

「それと、悪いのだけど試合時間は最長でも夜明けまでにしてもらえないかしら。それより長くなると、両親にごまかしが効かなくなるから」

「そうですね、今から始めたとしても六時間以上あります。今回の場合でしたら接敵はほぼ完了して双方戦闘準備が整った状態で始めますので、そのくらいの時間があれば勝敗は決するかと思います」

「ありがとう、こちらからの要求を全て呑んでもらえて。お互い楽しく模擬戦をしましょうね」

「……楽しめるかはわかりませんが、全力を尽くします」


 さあ、模擬戦の準備は整った。いざ、開戦だっ!!

次回、アリアVS原初の眷属達との模擬戦がスタートします。

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