6−3 面会の打診
『えっ、トゥルー教の枢機卿が私に面会を申し込んでるの?なんで?』
今日もクタクタになりながらも魔術師学校の入学準備をしてようやく自室に戻って来た所にダグザから念話が届いた。
『先方の事情はわかりませんが、大至急に御目通りしたいとニグラス経由でこちらに連絡が届きました』
『うーん、大至急っていっても私、今は立て続けにスケジュールが埋まっていて今は面会に応じられるだけの余裕はないんだけど……』
『わかりました。ニグラスにそう伝えておきます』
『えっ、いいの?大至急な要件なんでしょう?』
『はははっ、これは異な事を仰られますな。姫様はこの異界において最上位者で在らせられるのです、その姫様が会いたくないと仰られるのであれば会う必要などございませんぞ』
『……会いたくないとは言っていません、スケジュールが合わないと言っているだけです』
『どちらでも同じことですな。今回の面会はお断りする方向でよろしいですかな?』
『……そうね、先方には丁重にお断りをして頂戴』
この話はこれで終わったと思っていたのだが、枢機卿は翌日にまた面会を申し込んできた。
『また面会を申し込んできたの?そんなに私に会いたい用事なんて一体なんなの?』
『さあ、我輩には何も知らされてはおりませんが、ただ至急面会をしたいとしか』
『姫様、トゥルー教の枢機卿の要件はイタカに託したメッセージに関するものと推測できますが』
クリスが突然念話に介入してきた。……すぐ隣にいるんだから、念話じゃなく会話をしなさいよ。
『えっと、イタカに言ったことって確かケルト王国に百年程手を出すなってやつでしょ、あんなのに返事が来るなんて全く思っていないでしょ』
『姫様にとっては瑣末なことでも、トゥルー教にとっては重要な事だったのかもしれませんよ』
まあケルト王国の反乱計画となるとトゥルー教にとっては一大プロジェクトだったに違いないだろうが、私がわからないまま計画を潰しそして百年程手を出すなって言ってきたのだ、そりゃあトゥルー教の連中にとってみれば腹の一つも立つだろう。
『トゥルー教の枢機卿は文句でも言いに来たの?』
『多分文句ではないと思うのですが、そんな要件ならニグラスが制裁していると思いますし』
ニグラスは決して弱くはないけど、トゥルー教の枢機卿はみんな原初の精霊の眷属だ。一人二人なら負けはしないだろうが、集団で襲いかかってきたら手も足も出せないだろう。だからトゥルー教の目的が絶対神であるお父様への反乱であったとしてもある程度黙認しているのであろう。おそらくは情報だけはお姉様に知らせているのだと思うけど、ニグラスは性格がのんびりしているからな……。
『姫様、別に会わなくてもよろしいのではありませんか。一度お断りしているにも関わらず翌日にまた面会を申し込んでくるなんて礼儀知らずにも程があります』
『その件に関しては我輩も同意します。これは上位者にとって良い態度ではありません』
『……上位者って言っても、今はただの人間だし、世間的に見たらただの子供だよ』
『見た目はそうかもしれませんが、精霊ならば姫様の本来の立場を知っていて当然です。ましてや眷属であるなら尚更です』
『けど、トゥルー教の枢機卿達が私を知ったのってイタカが伝えてからだと思うよ。つい先日なんじゃない?』
『数日だろうと、数時間だろうと知っていた事には変わりありません』
それはそう……。反論の余地もないとはこの事だ。
『私が代わりに片をつけてきましょうか?』
『……クリスが行くとややこしくなりそうだからやめなさい。まあいいわ、先方に会うのは夜中で場所はダグザの住処になるけど良いか確認をしてきて頂戴。もしそれでも良いのであれば、三日後の深夜に会いましょう』
『……クリス様、よろしいのですか?』
ダグザ……、何で私ではなくてクリスに確認を取るの?そしてクリス、そんなダメな子を見る様な目で私のことを見るのはやめて。
『……姫様の決定です。従わざるは得ないでしょう』
『わかりました。その様にニグラスには伝えておきます』
何だか釈然としないが、一応納得して貰ったみたいだ。
こうして私とトゥルー教の枢機卿との面会が決定したのだった。
アリアとトゥルー教の枢機卿との面会が決定しました。
次回はその面会のお話となります。




