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アメイジング・グレイス  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第零話 アリア

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0−8 決意 2

異界についての話し合いの続きです。

「現在、異界の箱庭には人間が生まれ私が叡智を与えました。国も幾つか生まれ文明も安定しつつあります。私はアリアを視察に派遣しても問題ないと考えております」

「異界に派遣するという事は、アリアを再び人間に転生させるつもりか。フリン、お前はまた同じ過ちを繰り返すつもりかっ!」


 お父様はテーブルに拳をぶつけ怒りを表す。


「同じではありません。今回は私が全面的にバックアップしますし、そしてお母様にもサポートお願い致します。アリアには私の知識を出来るだけ与え、お母様には神霊力に耐えられる特別性の人間の身体を創ってもらいアリアに授けてもらいます」


 その言葉にお母様も驚いていた。……お母様も初耳だったのか。


「それだったら、子供のアリアではなく、すでに成人している其方でもよかったはずだ!」

「確かに私でも可能でしょう。それでも、私はアリアに行ってもらいたいのです」


 お父様に感情をぶつけられても、お姉様の言葉は翻らなかった。


「何故、アリアに拘る必要がある?理由は何だ!」


 お姉様は静かに息を吐き出し、お父様に対してこう切り出した。


「アリアでなければならない理由は三つあります。まず第一に、アリアが仕事に就いていない事。仮にアリアの代わりに私が派遣された場合、私の仕事を代行してもらえる者がいない事です。それは、お父様やお母様にも当てはまります」


 ……私、無職認定されちゃった。まあ、事実だけど……。


「第二に、アリアの神霊力は私よりも強くお母様に匹敵します。神霊術はまだ拙いですが、アリアの習熟速度を考えましても充分な実力の持ち主です。仮に原初の精霊が出てきた場合、私では対処出来ないかもしれませんががアリアなら対処が可能です」

「原初供は厳重に封印されておる。封印から出てくるなどあり得ん!」

「ならば、尚の事問題ありませんね」


 お父様は嫌な顔をして、憮然としてお姉様を見た。


「第三に、アリアは神としての意識が薄い事。異界で受肉をし人間になった場合、アリアの身分は王族か貴族か平民のいずれかになります。王族や貴族ならば今の態度を少し崩した程度でも多分大丈夫でしょうが、平民になった場合、私は下の身分になった事はありません。そして、お父様もお母様も同様に神以外の身分になった事はないのです。ですが、アリアが物質界で暮らしていた日本という国は身分制度がなく、国民が全員平民でした。その事を踏まえ、アリアが平民として生まれたとしてもしても然程問題はないと考えました」

「……アリアを人間などに、ましてや平民なんぞにしたくはない!」

「今のお言葉で、陛下は今回の視察には相応しくないと判断できますね」


 お父様はムスッっとしながら、頭を抱えた。


「其方は正論で言いくるめるから、可愛げがないのだ……」

「可笑しいですね?アリアと私の顔は瓜二つのはずですが……」


 お姉様は頬に手を当て、可笑しそうに笑いながら私の方に向いた。


「……はぁーーーーっ!お仕事モードで喋ると肩が凝るわ!」


 ……変わり身はやっ!


「ここからはお姉様として喋るね。私がさっき「アリアは神としての意識が薄い」って言ったでしょ。アリア……、あなた本当は、人間として生きる事に未練を残しているんじゃない?」


 お姉様の思いもよらぬ発言に吃驚して、私は息を呑んだ。


「……そんな事はありません!私は今の生活に満足していますし、とっても幸せだと感じています」


 お姉様はため息を大きく吐きながら、まるで小さな子供に言い聞かせるかのように語り始めた。


「アリア、貴方は良い子だけど、家族に遠慮なんてしなくてもいいのよ。貴方は、もうちょっと我儘を言った方が可愛いわ」

「私は可愛くないですか……」


 私は俯きながら、そう答えた。


「貴方、聞き分けが良すぎるわ。貴方が言った我儘は、私に人間のご両親を頼んだのと、お父様に礼拝所を作って欲しいって言ったくらいじゃない。どっちも他人の為で自分の我儘じゃないわ」

「全部、自分のためです。自分の身体のせいでお父さんお母さんはずっと苦労してきました。だから、私が死んでからは平穏に暮らして欲しかった。礼拝所だって、私がずっと両親に謝りたかっただけです。只、罪滅ぼしがしたかっただけです……」


 私の手は膝の上でぎゅっと握られて、小刻みに揺れていた。


「それを言ったら、私達全員の罪ね。貴方一人の罪じゃないわ……」

「そうね、フリンの言う通りだわ。アリア、そんな思いに気が付かなくてごめんなさいね……」


 私の目からいつの間にか涙が溢れていた。ポタポタとテーブルの上に涙が落ちる。クリスがハンカチで涙を拭ってくれたが、全く涙が止まらなかった。


「本当の事を言って、アリア。貴方の本当の我儘を聞くことが出来るのは、家族である私たちだけよ」


 本当の我儘……。私が生前の時も漏らしたことが無かった私の本音。

 言ってしまっていいのだろうか……、家族に嫌われないだろうか……、私は家族に嫌われたくない……、嫌われるのが怖い。

 お母様は隣に来て私の頬を撫で、優しく見つめて、


「……アリア。貴方には、たくさん我慢をさせてきたのね。貴方は自分の心の内を曝け出すのを怖がっているようだけど、私達はそんな事で貴方を嫌ったりなんかしないわ。私は貴方の母親で、この宇宙の創造神ですよ。娘の我儘くらい叶えてみせます」


 お母様は自身の胸を叩きながら、私を優しく見つめた。

 ……本当に言ってもいいんだ。私は堰を切ったように本心を語り始めた。


「私、本当はもっともっと長生きしたかった!いっぱいいっぱいやりたい事があった!外で思いっきり走り回りたかったし、友達と一緒にゲームやオシャレをもっと楽しみたかった!旅行もいっぱい行きたかったし、海外旅行に行って絶景を観て感動するのを夢見ていた!学校でいろんな事を勉強して、大学に入って就職して、好きな人と結婚して子供を産んで母親になりたかった!病室の中から外を見ながら、健康になったらやりたい事を想像する事だけが、私の唯一の楽しみだった!そんな未来は来ないって解っていても、ほんの僅かな可能性に縋るしかなかった!ずっとずっと、死ぬのが怖かった!死んだ後、どうなるのか考えただけでガタガタ震えていた!けど、死んだらこの苦しみから解放されると思ってしまう弱い自分が嫌いだった!私に隠れて両親が泣いているのを見るのが本当に憂鬱だった!その涙の原因が自分だというのを認めるのが怖かった!私の為に一生懸命になってくれている両親にずっと親孝行がしたかった!けど、親より先に死んでしまう私は親不孝な娘だ!ずっとずっと、そのことを謝りたかったし、その事を口にして逆に気を遣われたくなかった!だから、ずっとずっと本音だって言わなかった!だけど、本当は・・・本当の自分を知って欲しかった!私はずっとずっと怖かった!本当の自分を曝け出して嫌われたくなかった!でも本当は、ずっとずっと寂しかった!ひとりになりたくなかった……、ひとりは嫌なの……」


 支離滅裂だったが、全て私の本音だった。クリスから貰ったハンカチは涙でぐちゃぐちゃだったし、私の顔も泣き叫んだせいで瞼が腫れていてとても人前に出せるよな顔ではないだろう。


「貴方の心の中の真実を話してくれて、ありがとう……。そして、たくさん我慢させてしまってごめんなさい」


 お母様は自身も涙を流しながら、私を抱きしめてくれた。


「アリア。貴方、いい子だけど本当にバカね……。けど、全部曝け出したら案外スッキリするものでしょ」


 お姉様は優しく、そして呆れたように呟き、私に洗浄と癒しの術をかけてくれた。


アリアの本心が吐露されました。


本心というよりも、心残りかな。

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