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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第五話 お披露目パーティー開催

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5−3 お披露目パーティー 1

 そんなこんなをやっているうちにパーティーの時間が近づいて来た。

 私の最初のお仕事は、招待されたお客様への挨拶だ。今日の日の為に覚えさせられた貴族の名前の一覧表。普通の人なら泣きながら記憶しているだろうが、私には神様……もとい、お姉様の手厚いサポートがある。それが何かと聞かれたら、答えてやるのが世の情け……。私が出した解答は、貴族の名前の一覧表を『叡智の書』に丸ごとコピーしたのだ。『叡智の書』は私の記憶と直接リンクしているから、『叡智の書』に掲載されている内容は、私が記憶しているのと同じ事になるのだ。この便利機能のおかげで、何人来てもドンと来いって寸法よ!ちょっとチート過ぎないかって?神様の神器なんてチートに決まっているだろってコト!


「お初にお目に掛かります、ランプリング伯爵。この度、ウェズリー辺境伯より後見を賜りましたアリア・ニュートンでございます。今後ともよろしくお願いいたします」


 この様な挨拶があと百回以上繰り返さないといけないのだ、そりゃあズルもチートも使いたくなるだろー。


「……アリア、難しい顔をしていないで微笑みを絶やさないように。今日一日は変顔は禁止だからね」

「父さん。私は変顔なんてした事ないんだけど……」

「そうかい?確かに、アリアはいつでも可愛いけどね」


 父さんの褒め言葉が疲れた心に沁みるよ。

 それにしても、高々魔術師の卵のお披露目にこんな規模のパーティを開催する意味があるのだろうか?一体いくらかかっているんだろうか。もしかして、私が魔術師になれなかったら後でパーティー代を請求されたりして……。


「……請求などしないから安心しなさい」

「はっ!辺境伯閣下、もしかして心が読めるのですか!?」

「……読めるも何も、全部口にしていたぞ」

「……すみません、すっかり油断してしまいました」

「まあいい、アリアにとってはこの規模のパーティーは初めてだろうからな、疲れるのは無理もない。私とて、其方のお披露目がこんな規模になるとは予想していなかった」

「辺境伯がこのパーティーの招待状を出したのですよね?それなのに予想外とは?」

「……方々の貴族達から招待状をねだられたのだ。話題の精霊の弟子を一目見てみたいらしい」

「私は珍獣か何かですか……」

「珍獣かどうかはさておき、魔術師学校の入学予定者のお披露目自体が滅多にないからな、余程優秀な魔力持ちなのだろうと思われているのだ」

「えっ?普通はこんなパーティーはやらないのですか?」

「ああ、魔力持ち自体ははそれなりの人数存在する。ウェズリー領でもアリア以外にも数人確認はしている。魔術師学校へ入学出来る程の魔力持ちはいなかったがな。そして、魔力が規定以上の者がいたとしても貴族達は中々魔術学校に入学させたりはしない。魔術師学校に入学させても全員が魔術師になるとは限らないからな、優秀な者しか入学させたくはないのだよ」


 それはそうだろう。前世の学校でもスポーツ推薦で高校や大学に入学できる制度があるが、その全員がプロの競技者になったりオリンピック選手になることはない。活躍出来たとしても企業のスポーツ団の選手になるか、卒業と同時に引退する生徒の方が多いだろう。トップアスリートになる生徒なんて宝くじで一等と前後賞を同時に取るのと同じくらいの確率ではないだろうか。


「そう考えると、魔力持ちを投資目的で抱え込むのは非常にリスクが高いのだ。だから、魔力量という篩をかける必要がある。無駄な投資をしない為にもな」

「なるほど、魔力量という絶対値で選別する事によってリスクを最小に抑える効果があるんですね。しかし、魔力量だけでは優秀な魔術師になる保証はないですよね?」

「ああ、魔力持ちの多くが平民である為、魔術師学校に入学する前に後見人となった貴族の下で座学や礼儀などを勉強させる。そこでも篩にかけられるのだ。この程度の勉強をクリア出来ないと、とてもじゃないが国王陛下の直属になれるはずがないし、魔術とは様々な知識を学ばなければならないのだろう?」


 私は人間の魔術の学習方法は知らないが、お姉様に教えてもらった方法だと、神霊術には様々なインスピレーションが必須なのだと教えてもらった。

 例えば、目の前の人物を無力化する場合だと、武力を持って制圧したり、縄で雁字搦めにして物理的に身動きを封じたり、言葉巧みに誘導したり、権力で脅したり、薬物で昏倒させたりと様々な方法が存在するが、優れた術師はその最適解を素早く取捨選択して実行できる人だと教えてもらった。

 つまり、様々な知識の量と選択のスピードと実行力を兼ね揃えた者が最も優れた術師なのだそうだ。

 因みに私は、知識量はそこそこだが、そこからの展開力や判断力なんかはまだまだなのだと言う。……人類に叡智を与える知恵の女神様は厳しい事を仰られる。


「それに、平民にとって魔術師になるという事は、本人達が思っているよりも制約が厳しい。まず、魔術師学校に入学した時点で職業の選択権がなくなってしまう。魔術師になれば国王陛下の直属の部下となり余程の事がない限り王都からは離れられないし、魔術師になれなかったら後見人となった貴族の下か、王宮の魔術師の塔の下働きとして働かなければならない。アリアはそうなった者を知っているだろう」


 そういえば、ウェズリー領で出会ったデビットさんは魔術師学校を退学になった魔力持ちだったね。


「魔術師学校に入学したら、一生監視されて生活しなければならなくなる。どちらの道に進んでも平民にとっては出世には違いないだろうが、窮屈な思いをする事になる。それに、結婚も好き勝手には出来ないし、実家にも簡単には帰れない。そして、貴族にとってもそういった者を手元に置く事は大きな負担位なる。魔術師学校を退学した者を雇用しても、国は何も負担も補助もしてくれないからな。魔術師学校に入学させるだけでも結構な出費なのに、退学したらその者を一生雇い続けなければならないのだ。だから貴族にとっても簡単には魔術師学校に入学させないのだよ」

「なるほど、という事はこの様な盛大なパーティーを開催してもらった私に、辺境伯閣下は大いに期待していると受け取ってもよろしいのですね」

「はっはっはっ、勿論大いに期待しているとも。私とアーサー、それにご両親の期待を裏切らないように努力してくれると助かる。……いや、其方は程々な位が良いのかもしれないな」

次回もお披露目パーティーの続きとなります。

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