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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第五話 お披露目パーティー開催

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5−2 お披露目パーティー直前の模様

 とうとう私のお披露目の日が来てしまった。

 私も母さんもガッチガチに緊張していて、父さんは真っ青になっている母さんを励まし、アルウィン兄さんと伯父さんはソワソワとはしながらもあまりプレッシャーを感じていないみたいで元気よく朝食を食べていた。因みに伯母さんはヒル夫人と一緒に会場の設営を手伝っていた。


「アリアもちゃんと朝ごはんを食べてないと途中でお腹が鳴って恥ずかしい思いをするぞ。ほら、このサンドウィッチ美味しいから食べるかい」


 アルウィン兄さんの気遣いを感じつつも、呑気に朝食を食べていて緊張とは程遠いアルウィン兄さんを少し恨めしく感じてしまった。


「……緊張し過ぎて食欲が湧かないよ。アルウィン兄さんは緊張しないの?」

「僕は主役じゃないからね。僕の役目はアリアをエスコートするだけだから気楽なもんさ。それにしても、朱色熊を前にしても動じなかったアリアがこんなに緊張するとは思わなかったよ。ダグザ様と初めて会った時も全然緊張していなかったじゃないか。ダグザ様に比べたら、貴族の大人なんて大した事はないんじゃないの?」

「……兄さん、それはソレ、これはコレですよ。今日は、殆ど知らない人ばかりと挨拶しなくちゃいけないのよ、間違えたら父さんや辺境伯閣下に恥をかかせると思うと……」

「へえ、アリアにも苦手な事があるんだな。アリアは何でも卒なくこなすから、そういうのとは無縁だと思っていたよ」

「兄さんが私をどう思っているかがよくわかったよ。これは後で問い詰めないといけないかしら?」

「……全く、これからお披露目だっていうのにそんな顔をしちゃダメじゃないか。可愛い顔が台無しだよ」


 アルウィン兄さんは両親譲りの整った顔で時折このような甘いセリフを言ってくる事がある。しかも、全然自覚が無いから余計に始末に置けない。


 ……この、天然の女たらしめ!兄さんの顔を見慣れている私でも顔が赤くなっちゃうだろ!


 まったく!アルウィン兄さんったら!まったくもう!

 けれど、そんなやり取りのおかげなのか少しだけ緊張がほぐれ、お腹が空いてきた。

 私は照れ隠しをしつつ、サンドウィッチをモキュモキュと食べ始めた。そしたら、アルウィン兄さんがウサギみたいだと揶揄い始めた。

 周りの大人達は微笑ましくみていたが、当人にとっては照れくさいやら恥ずかしいやらで全然微笑ましくなんて無いからね!……それとクリス!ハンカチを咥えながら歯軋りなんてしないで!




 朝食を終えたら、今度はパーティー用のドレスに着替えさせられた。

 先日に行われたドレスのお直しの時には何故一度しか無いパーティーの為に何着もドレスを用意するのかと疑問に思ったが、出席者の身分や男女の出席率、季節や当日の天候などを考慮してドレスを選ぶのも社交にとって重要な項目なのだ。……T P Oはどこに行っても大事で大変という事だね。

 私の今日着るドレスは季節的にもうすぐ秋に差し掛かってきたので紅葉をイメージした赤いドレスにして、靴や小物は白色で統一。子供らしくアクセサリは控えめな印象の物をチョイスした。

 髪型は、私のサラサラなストレートな髪質を活かして編み込みは控えめにして髪飾りは白い花の髪飾りを刺した。

 私は現在、確かに七歳なんだけども、流石にこんな襟やスカートに白いレースがいっぱい付いたフリフリなドレスはあざと過ぎないか?魂年齢百歳越えの私にはじわじわとダメージが蓄積されているよ。主に精神的にな。


「まあ、アリア!とても似合っているわ!なんて可愛らしいのかしら」


 グフッ!母さん、今はその言葉はやめてください。心の中の私が悲鳴をあげています。羞恥心的な意味で……。


「母さん、私にはこんなフリフリなドレスは似合いませんから」

「アリアったら、そんな事をパーティでは言ってはダメよ。みんなが泣いちゃうかもしれないから」

「そうですよね。パーティーの席でそんな言葉使いはNGですよね、気をつけます」

「えぬじーが何なのかはわかりませんが、そういう意味ではありません。貴方がそのドレスが似合わないなんていうと周りのお客様にとっては嫌味に聞こえるかもしれませんから」

「……嫌味??」

「本当に気づいてないの?そのドレスは既製品でありながら、まるでアリアの為に設えた様に似合っているもの。それなのに、貴方がそんな事を言ったら周りの女性陣がどう思うかしら」


 えー、母さんそれは考えすぎだよ……と言いたかったが、周りの反応から察すると、周囲のメイドさん達は母さんの意見に賛成の様だ。

 私が本当にそうなのかを確認する様にドレスを見ようとしてクルクルと回りながらスカートの裾を上げたりしていたら、メイドさん達が歓声を上げ始めた。

 うーん、何だか居た堪れない。

 私の今の心境は、慣れないコスプレした様な気分なんだが……。

 そう言えば、こういう場面ではいつもはしゃぐクリスが今日は妙に大人しいね。コッソリと念話で話してみるか。


『……クリス、今日は何だか大人しいね。体調でも悪いの?』

『いえ、普段と変わりませんが。どうかなさいましたか?』

『それなら良いんだけど、いつものクリスだったら私のドレス姿を見ていつも興奮していたじゃない?ちょっと自意識過剰だったかな』

『…………すみません、興奮し過ぎて逆に冷静になっていた様です。それに、今日の姫様の御姿は常に録画されていますので……』

『今すぐ録画を止めなさい!』

『それは出来ません。フリン様を通じてフーシ様やナクロール様達からのご命令ですので』


 お父様もお母様も何を命令しているのよ!それに多分お姉様も一枚噛んでいるとは……。


『……まあまあ姫様、前世の世界でも親が子供の発表会や学校の行事を録画する事は普通じゃあないですか。微笑ましいエピソードの一つとして大目に見てはいかがですか』

『クリス、その映像を良からぬ事に使うつもりじゃあないわよね?』

『…………あっ、電波の調子が………』


 コラーー!こんな近距離で電波もクソもあるかーー!

次回こそ、本当にお披露目パーティーが始まります。

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