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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第四話 辺境伯家のお家騒動

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4−12 リチャードへの断罪 2

リチャードの断罪なのに、今回もリチャードは登場しません。

「まず、リチャードですが辺境伯邸から失踪した後、愛人宅に身を潜めていました。その愛人の邸宅は、リチャードが購入し借金の原因となった物件です」


 夫妻は揃って顔を顰めている。

 情けないとか、恥ずかしいとか、そんな心境なのだろう。


「その邸宅でリチャードをはじめとした若い貴族の令息や令嬢が集まり、ケルト王国の国家転覆を計画していた様です」


 呆然となっている夫妻を尻目に、私はリチャード達が計画した内容を話した。

 特に夫妻が驚いていたのは、リチャードをはじめ多くの若い貴族達がトゥルー教の信者になっていた事だ。近年、世界中にトゥルー教が急速に広まってはいたが、この世界において、トゥルー教はまだ新興宗教であった為だ。


 トゥルー教の歴史は、クン・ヤン教国の歴史に等しく、クン・ヤンの建国と大いに関わっている。

 この世界の精霊信仰は、ケルト王国ならモリガンやルーやダグザの様な土着の精霊を信仰するのが普通だった。しかし、百年ほど前に南部を支配していた王国の都市であるルルイエという街で、突如として現れたトゥルー教は土着の精霊では無く、古代の精霊の王であるトゥルー神を敬い、この世界に理想郷であるドリームランドを建設する目標を掲げてる。……テーマパークみたいな名前だね。

 トゥルー教は、設立当初より王国から迫害を受けていた。そして、迫害に耐えかねた信徒達がルルイエを占拠し、王国に反旗を翻した。王国もすぐさま鎮圧に乗り出したが、ルルイエ占拠をきっかけに各地のトゥルー教信者達が暴徒化し、収集がつかなくなってしまった。トゥルー教の指導者達は信者の救済を名目にルルイエの独立を宣言し、王国に対してトゥルー教の保護と信者の救済、そしてトゥルー教の迫害を命じた国王一族の引き渡しを要求した。当然、その要求は却下され、大規模な内乱へと発展していくのだった。

 他の国々は、内乱は長引くが国王が勝利するだろうと予想していた。しかし、その予想はあっさりと覆られる事になった。トゥルー教徒は瞬く間に王国の主要な都市を占拠し、そのままの勢いで王都に侵攻していった。各地からの救援の道は絶たれ、孤立した国王はあっさりとトゥルー教軍に降伏し、一滴の血を流す事なく王城を解放した。

 その後、国王はあっさりとトゥルー教に改宗し、国名もトゥルー教の聖典に書かれていた都市の名前からとったクン・ヤン教国に改め、首都までルルイエに遷都させた。国の方針も宗教色が強くなり、要職もトゥルー教の教徒達が独占していった。

 内乱が勃発してわずか一年足らず、あっけない幕切れだった。

 私の想像だけど、この内乱には絶対原初の精霊の眷属達が関わっているよね。そして恐ろしい想像だが、当時の王様の心を操ってたりしていたかもしれないわね。


 そして、各国では徐々にトゥルー教信者が増えはじめているらしい。このケルト王国でもその傾向がある。

 おそらく、クン・ヤン教国の建国の時と同じ様に各国でトゥルー信者達に内乱を起こさせて、その後にクン・ヤン教国が信者の救済と称して内乱に介入してくるつもりなのだろう。眷属達がいれば、国の軍隊であろうが物ともしないだろうし、結構あっさりとクン・ヤンの勢力は内乱に勝利するだろう。

 そうなってしまえば、後は占領して国土を増やしても、占領まではしなくても裏から国を操ってもいい。まさに、やりたい放題に出来る。


 私の考えを夫妻に説明した所、夫妻の顔は真っ青になっていた。

 まあ、そりゃそうか。息子がきっかけで王国が滅ぶかもしれなかったんだしな。


「私の言葉だけでは信用出来ないかもと考え、当事者達を拘束しております。モリガン、その者達をこちらに……」


 モリガンは自身の眷属達に命じて、あの屋敷にいた若い貴族達の石像を運んでもらった。

 辺境伯夫妻は訝しげにその石像を見つめていたが、その石像が人間である事に全く気が付いてはいなかった。


「モリガン、この者達を元に戻しなさい」


 モリガンは即座に石像を元の姿に戻した。

 人間の姿に戻った貴族の若者達は、何が起こったのか把握出来ておらずオロオロと狼狽えるばかりだった。

 辺境伯夫妻が、ここにいる貴族達の中から自分の息子やオーエン、それと他の顔見知りの若者を見つけたのだろう、私の前だというのに立ちあがろうとしていた。


「……姫様の御前である。控えなさい」


 辺境伯は、ハッとして即座に元の位置に戻り再び跪いたが、貴族の若者は突然訳のわからない事を指示されてあからさまに反抗した。


「お前達は……、よくも私達にあんな事をやってくれたな!父上に言い付けてやるから覚悟しておけよ!」


 彼の父親は、どうやら高位の貴族の様だ。名前を聞けばわかるかもしれなかったが、今となってはどうでもいい。

 それにしても、私の事がわからないのはともかくとして、モリガン達に向かってよくそんな口調が出来るなんて、すごい勇気がある奴だな。……また石にされちゃうぞ。


「姫様!この馬鹿共の無礼を許すわけにはまいりません。姫様がお優しいのは存じておりますが、妾は許す事はできません!妾にこの者達を八つ裂きにする許可をくださいませ!」

「……モリガン。綺麗な顔でそんな残虐な事を言わないで、……余計に怖いから。とりあえず、反抗した奴の膝から下を石に変えておいて。次、反抗したら今度は肘から先を石に変えなさい。その次は腰まで、その次は肩までと徐々に石に変えて恐怖心を煽りなさい。そうすれば、少しは素直になるでしょう?」


 どうやら、私がモリガンよりも高位の者だと気が付いたらしい。

 若者達は顔を真っ青に変えながら、奥歯をガタガタと振るわせていた。辺境伯夫妻も恐怖で顔を引き攣らせていた。

 ……あれ?私、そんなに怖い事を言ったのかしら?

トゥルー教やクン・ヤン教国の歴史なんかを紹介しましたが、歴史とかキャラクターの年齢とか結構行き当たりばったりで設定しているので、どこか矛盾が生じているかもしれません。


その時は指摘してもらえたら幸いです。

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