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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第三話 国王陛下との謁見

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3−5 褒賞の行方

謁見室でのやり取りは続きます。


国王陛下はアリアにご褒美をあげたいみたいです。

「皆の者、私は実に貴重な報告を上げてくれたアリアに褒賞を与えたいと思うのだが、皆の意見を聞きたい」


 ほっ、褒賞!そんな物入りませんよ!


「……国王陛下、確かにアリア嬢の報告には褒賞を与えるに相応しい働きをしたと私も考えますが、アリア嬢はまだ子供であります故、国王陛下から直接褒賞を賜ったとなれば、宮中の雀どもに啄まれましょう。ですから、ここはアリア嬢ではなく親のニュートン準男爵に褒賞を与えれば良いのではないかと愚考いたします」


 私に褒賞をあげると、有る事無い事言われるから父さんにあげとけと宰相さんは言っているのね。……宰相さんって、なんて気配りが出来る方なんでしょう。


「……確かにアリアに余自らが褒賞を与えると良からぬ噂が出るか。ふむ、ニュートン準男爵よ、其方は娘の盾となり代わりに褒賞を受け取るが良い。と、言っても何を褒賞とするか……」

「陛下、臣に名案が御座います」

「申してみよ」

「今回の事件の結果、カフカース侯爵は精霊様の敵と通じていた事で罪に問われるでしょう」

「そうだな。精霊様にケルト王国がグルになっていたと誤解されては困るからな。何らかの処罰はしなくてはなるまい」

「なれど、本人は爆発に巻き込まれ死亡、その後継者である息子はカフカースの僻地にて幽閉されていたと報告されております」

「ジョハルの妻はどうなっている。妻も幽閉されていたのか?」

「ジョハルは先月に再婚していました。再婚した現妻は夫と共に死亡し、前妻は修道院で暮らしております。前妻を取り調べた所、今回の事件には関与していないと確認できております」


 あのド派手な悪役夫人は後妻だったのか。


「しかし、今回の事件の影響は甚大でありジョハルの死亡だけでは事を納められません。よってジョハル・カフカースの爵位を没収し、カフカース家を取り潰しと致します」

「そうだな。息子の連座は免れんが、離婚していたのなら前妻の罪は軽減できよう」


 無様領主の息子は見たことはないが、親の罪に子供が巻き込まれたのか。

 カフカース領で幽閉されていたのなら貴族学校に通ってはいないはずだ。成人しているのか十歳未満なのかはわからないけど。


「カフカースが没落した以上、かの領地は一旦陛下の元に返還され直轄地となります。今は領地の混乱が続いておりますので他の貴族に与える事はできませんが、然るべき後、褒賞として与えても問題無いのではと愚考いたします」

「だが、準男爵に与える土地にしては広大すぎる。元々は侯爵が運営していた土地だぞ」


 元カフカース領はニヴルヘイムの国境線の全てを担っている程の大きな領地だ。

 そんな巨大な土地を貰っても、持て余すだけだろう。


「陛下はウェズリー辺境伯が報告書を提出した事をお忘れでしょうか?アリア嬢に褒賞をと仰られる陛下の御心には感服いたしますが、まずはウェズリー辺境伯に褒賞を与えるのが筋だと愚考いたします」

「なるほど、全くもってその通りだな。レナードよよくぞ申してくれた」


 宰相さんの名前はレナードさんっていうのね。


「陛下、そこでウェズリー辺境伯にカフカースの土地と侯爵の陞爵をお与えになられるのは如何でしょうか」

「確かに、ギャレットを侯爵位に推す者も多い。良い案かもしれんが、ギャレットにかかる負担は大きいぞ」

「臣もその様に思います。そこで、ウェズリー辺境伯が侯爵に陞爵すると同時にクーパー男爵にオウルニィ周辺の土地をウェズリー辺境伯から譲り受け、キボリウム山脈の西側を防衛をクーパー男爵に任せましょう。その際にクーパー男爵とニュートン準男爵の双方を陞爵させ、それぞれ子爵と男爵でオウルニィ周辺を納めてもらうのです」

「ふむ、ギャレットよ其方にはキボリウムだけでなくニヴルヘイムの国境の防衛も任せる事になるが、異存はないか?」

「勿論御座いません。謹んでお受けいたします」

「ウィリアムとジョン、其方達はこの場で陞爵してもらう。其方達はこの瞬間より、クーパー子爵とニュートン男爵だ」

「「謹んでお受けいたします。誠心誠意、この国と陛下の為に尽くす事を宣誓いたします。ケルト王国に栄光あれ!」」


 あっという間に父さんと伯父さんの出世が決まってしまった。

 という事は、私は男爵令嬢になるのか。


「しかし、アリアに対して何か褒美を与えんと余の気が済まぬ」

「……まだ七歳とはいえ女の子ですから、華美な宝飾品やドレスを贈られたらドナール様の婚約者と誤解される恐れがあります。ここは慎重に事を運ばれます様に具申いたします」

「……そうだな。ああ、この後で其方の魔術師学校の入学の事で相談があったのだ。すまぬが、この後で余の執務室に来てはくれんか。その時にアリアの褒美について話し合おうではないか」


 王様は気軽そうに言っているけど、こっちは全然気軽な気持ちにはなれないよ。

 ……あーあ、居残り決定か。

謁見室から執務室に場所を移動して、国王陛下とのやり取りは続きます。


残念ですが、まだまだアリアが緊張する時間は続きます。

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