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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第六話 魔術師団の団長

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6−10 高等科の始まり

 魔術師学校にも入学シーズンが到来し、既に何人もの新入生達が入寮式を行なっていた。

 今年も、昨年と変わらず入学する新入生は多いみたいだが、私みたいな貴族のご令嬢は一人も入学してこなかった。……ちょっと残念。

 今年も女子寮の五階の住人は私だけかとがっかりしていたら、何故かノエルが女子寮に引っ越ししてきた。……しかも、私の部屋の隣に。


「……隣の部屋に入居する事になりました、ノエル・アルガッドです。つまらないものですが、お納め下さい」


 そう言って菓子折りを差し出してきた。……もしかして、この世界にも引っ越し蕎麦とかそういった風習があるのかしら?


「……これはご丁寧にありがとうございます。……ってか、貴方は魔術師団の団長なのに何で学生寮に引っ越しして来たの?」

「……私の家を建て替える事になりまして……、その建て替えが終わるまでここに住めとブライアン君から命令されたんです」

「……なるほど。私の監視をしろと言われたのね」


 ノエルの返事は無かったが、そのしょぼくれた表情から察するに正解なのだろう。


「まあ、ある程度は予想していたし問題はないわ。……気分がいいものではないけど」


 私の言葉にノエルがビクッと反応していたが、気にしない、気にしない。


 私が魔術師学校に入学し一年が経過し無事に高等科に進級した訳だが、私は同級生達とは違って高等科の先生達の教室に入る事はできなかった。

 事前に聞いたはいたが、実際に門前払いをされると私でも少し落ち込むのだ。

 マーベルとシーラとトッド君は高等科の先生に戻ったショット先生の教室の門下生になったみたいで、みんな一緒で羨ましい限りだ。

 で、私はと言うと、魔術師学校の教室ではなく、魔術師の塔の中にある団長室でノエルから授業を受けていた。

 授業といっても高等科に関する決め事や、学校行事、テストに関する事などのレクチャーなのだが。


「……以上が高等科に関する注意事項になります。よく覚えておいてくださいね」

「……高等科になると、魔術師団との行軍訓練にも参加するんですね」

「……はい、まさに拷問級のトラウマ行事です」


 まあ、人間不信のノエルにとっては拷問だろうね。


「とはいっても、行軍訓練に参加する生徒は卒業試験を通過した生徒と、成績が優秀な生徒だけですけどね。殆どの生徒には関係ない行事です」


 なるほど、大学生のインターンみたいなものなのかも。


「……私は初年度から強制参加させられましたが……」


 ノエルの魔術師学校の在学期間は歴代最短の五年だったと聞いている。

 もう百年程度前の話だが、当時と今の魔術師学校の規則や行事はそれ程変わっていないそうなので、ノエルは初等科の時以外の四年間、行軍訓練に参加していた計算になる。


「行軍訓練って具体的に何をするんですか?」

「私の時はいつも魔物狩りでしたね。キボリウム山脈やセーピア海なんかが主な目的地ですね。時々、別の場所も候補地に上がるみたいですが、基本的にはそのどちらかとなります」

「へえ、私、まだ海に行ったことが無いので行軍訓練にもし参加する事があったらセーピア海に行きたいですね」

「……セーピア海の魔物狩りはカロタ半島の極寒の海での狩りになります。吹き付ける北風、荒れ狂う波、押し寄せる魔物達。まさに地獄です……」

「……夏の海でキャキャウフフってな感じでは無いみたいね」

「……魔術師団に所属してそんな天国みたいな行事があるわけありません。魔術師団が出動する時は、騎士団の連中でもどうにもならなくなった時だけですよ。殆ど地獄の様な現場ばかりです」


 これから、その魔術師団に就職するかもしれない私に、そんな事を言ってやる気を無くさせないでほしい。


「あと、定期的にパーティーやお茶会が催されるんですね……」

「はい、基本的に高等科の教室では魔術以外の授業を行いません。ですが、それだと礼儀作法を忘れてしまう生徒がいるので、定期的にこういった場を設けてチェックしているんです」

「つまり、試験というわけですね」

「はい。……まあ試験といっても、問題のあった生徒に補習がある程度ですけどね」

「じゃあ、そんなに堅苦しく考える必要はありませんね」

「師匠なら大丈夫ですよ。……私は常に補習を受けていましたが」


 ……ノエルは本当に魔術師団の団長で良いのだろうか?他の団員の皆さんも、こんなのが団長でいいと思っているのだろうか?……ちょっと、いやかなり心配になってきた。

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