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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第六話 魔術師団の団長

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6−9 ブライアン君達との秘密会議 2 (ノエル視点)

「そういえば団長、何やら陛下にお願いしたい事があったのではなかったのですか?」


 お菓子をもぐもぐと食べている最中に、ジャスパー君が私に問いかけてきた。


「……ごっくん。ああ、そうでした。ブライアン君にお願いがあるんです!」

「ほう、ノエルから余に頼みとは珍しいな。何だ、申してみるがいい」

「えっと、私のお家を建て替えるか、リフォームをしたいんだけど許可してもらえませんか」

「……其方の家というと、あの森の中の小屋か……。其方、よくあんな小屋で生活出来たな?」

「……確かに、団長の家より森の管理小屋の方が立派ですからね」 

「そう考えると、アリア嬢をあの様な見窄らしい小屋に行かせたのは不味かったかもしれませんね……」

「あの、今現在も住み続けているお家にケチをつけないでくださいよ……。それに、住めば都って言うじゃ無いですか……」


 皆さんの言葉に私の乙女心はズタズタですよ……。


「しかし、今になって何故建て替えしたくなったのだ?余が初めて其方の家に訪れた時からあの小屋は相当ボロボロだったぞ?」

「陛下があの家に行ったのって何十年も前ですよね?」

「ああ、十歳の頃に行ったきりだな。護衛達があの小屋の中に入るのを躊躇していたのをよく覚えている」


 ……まあ、王太子殿下が来るには少し汚かったかもしれませんが、ちょっと複雑な気分です。


「……ドナハ殿下も近づくのを躊躇っていましたね。私が案内させて貰いましたからよく覚えていますよ」


 えっ!ドナハ君ってそんな事言ってなかったよ?「雅なところにお住まいですね」って褒めてくれてたのに、心の中では私の家に入りたく無かったって事なの!?……人間不信が加速しそうだよ。


「まあ、其方がケルト王国に貢献してくれている事と比べれば家の建て替えくらい何の問題はないが、あの様にボロボロになっても文句を言ってこなかったのに、今になって何故建て替える気になったのだ?」

「公には、私は師匠の師匠になった訳じゃないですか。そうなると師匠の授業場所をどこでやるかっていう問題に直面しまして。師匠は最初魔術師学校を選んだんですが私が魔術師学校に行くのは無理ですから……」

「……無理って、其方は魔術師団の団長なのだから、あの学校は其方の職場の管轄内だぞ?」

「そうだとしても、あんな私のトラウマ発生現場に行くのは無理ですよ!」

「……はあっ、それで……?」


 何故か大きなため息を吐かれたんだけど、なんで?


「それで私からは私の家で授業をやるって言ってみたんです。そしたら、師匠のメイドさんが家をリフォームしろって……」

「なるほど。アリアの付き添え人の言う事は至極当然だな」

「最初はそのメイドさんがリフォームするって言っていたんですけど……」

「ん?アリアの専属の大工にでも頼むつもりだったのか?だが、あの森は余の許可が無いと入れぬ地だぞ?」

「……いえ、メイドさんとモリガン様達でやるって言い出しまして……」


 本日何度目かの無言タイムの時間になってしまいました。

 ちょっとお茶が温くなってきましたね……。入れ替えて欲しいけど今は我慢しましょう。


「……そういえば、アリアの付き添え人も精霊と言っていたな」

「流石に、お家のリフォームに関しては丁重にお断りをしました」

「うむ、それで良い。もし本当に精霊様が其方の家を建て替えたとしたら、その家は国宝に認定しなくてはいけなくなるからな」

「ひいっ!国宝なんて、そんな恐れ多い所で住める訳ないじゃ無いですか!」

「それで余の所に頼みにきたという訳か。だが、建て替えが終わるまでは何処で授業をするつもりだ?急には建て替えられんぞ?」

「それはメイドさんが当てがあるって言ってました。場所は詳しくは聞きませんでしたが」

「……嫌な予感がします。アリアちゃんのメイドさんの当てって、もしかしてモリガン様のお宅ではないでしょうか。それか、魔術師学校入学前に魔術の修行をしていたとされるキボリウム山脈……ダグザ様のお宅かもしれません!」

「……だが、どちらも王宮の敷地の外だぞ?魔術師学校の生徒は魔術師学校の敷地、又は魔術師の塔の敷地から出る事を禁止されている」

「……陛下、お忘れですか。アリア嬢は謹慎期間中にドニゴール侯爵領まで足を運んだ事を」


 へえ、師匠って謹慎なんてしてたんだ。結構、やんちゃなんですね。


「そうだったな。しかし、アリアはそれ程規則に反する事をしてこなかった様に見えるが?」

「……アリアちゃんはルールの抜け穴を探すのが得意なんです。それで、何度も試合で煮湯を飲まされた事か……」

「……つまり、アリアは我々の想定外の所で授業をする可能性があるという事だな」

「はい、その可能性は否定できません」


 ブライアン君は顎に手を当てて考え始めた。お茶もお菓子も無くなったし、手持ち無沙汰ですね。


「……ノエル、其方の家の建て替えが終わるまでの期間、其方は魔術師学校の女子寮に引っ越ししろ」

「……へっ?」

「ジャスパー、アリアの部屋の隣の部屋を確保しておけ。現在、貴族専用の区画はアリアしか入居していないはずだ」

「畏まりました。直ちに手配いたします」

「レナード、直ちにノエルの家の建て替えを着手しろ。この際、金に糸目をつけなくても良い。だが、なるべく早くに完了する様にするのだ」

「わかりました。二ヶ月を目処に工事が完了するように手配いたします」

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!何で!どうして、そんな事になったんですか!」

「……ノエル、其方はアリアの弟子になったのだったな?」

「はい。でも、それでどうして……」

「師匠と弟子は、一緒に生活を共にすべきではないか?職業によって違うかもしれんが、聞いた話によると、弟子は師匠の身の回りの世話もする事もあるそうだぞ」

「そんな話を聞いた事はありますが、私が魔術師学校の女子寮で生活するなんて無理です!」

「さっきも話したではないか。現在、貴族専用の区画にはアリアしか入居しておらぬ。つまり、その階に住んでいるのはアリアと付き添え人、そして其方の三人だけとなる。しかも、その内の一人は其方の師匠だぞ」

「……そうですが、そうですけど……」

「……わかった。其方に命じたくは無かったが仕方がない。ノエル・アルガッド、これは王命である。速やかに魔術師学校の女子寮に住み、アリアを監視する様に!」

「そ、そんなーーー!」


 ブライアン君が、こんな酷い事をするなんて……。

 鬼!悪魔!おたんこなす!

アリアとの同居がなし崩し的に決まってしまったノエル。


次回は高等科での生活が始まり、アリアの周辺に様々な変化がおこります。

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