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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第二話 学生生活

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2−13 貴族学校の昼休み (アルウィン視点)

 僕が貴族学校に入学してから三ヶ月が過ぎ、季節はすっかり春になっていた。

 学校にある中庭には色とりどりの花が咲き誇り、花々を眺めながら散歩をしたり、ガゼボでお茶会をしたりと優雅に過ごす令息令嬢が所々見受けられる。

 春になったという事は、アリアは八歳になったんだな。アリアは魔術師学校でどの様に過ごしているのだろうか?

 アリアの事だから心配するだけ無駄だろうが、何かをやらかしてはいないかと思うと心配でならない。


「やあ、アルウィン、もう昼食は済ませたのかい?もしまだなら、一緒に食堂に行かないか?」


 ユピテル帝国の留学生で公爵令息であるロムルスが話しかけてきた。

 彼は公爵の息子で皇帝の甥でもあるのに、全く偉ぶったりしない。それどころか、公爵の息子であるのに何故か僕と一緒に二人部屋で生活しているのだ。

 流石に三ヶ月も経つと最初の頃の様に緊張こそしなくなったが、今度は逆に馴れ馴れし過ぎやしないかとビクビクする毎日だ。


「ああ、僕も昼食はまだだから一緒に行こうか」

「それで、中庭で何をしていたんだい?ナンパかい?」

「まさか、違うよ。春になったからアリアが八歳になったんだなぁと考えていただけ」

「アリア?……ああ、確かアルウィンの従姉妹の魔術師だっけ。花を見て懐かしがる位だから花に負けず劣らず美しい容姿をしているのかい」

「ああ、今はどっちかと言うと可愛い感じだけど、将来的に叔父上や叔母上に似て物凄い美人になると思うよ」

「……美しいって事は否定しないんだね。僕から見てもハンサムに見える君が言う位だから相当な美人さんなんだろうけど、もしかして君の婚約者なのかい?」

「まさか!アリアとはずっと一緒に暮らして来て妹にしか見えないからね。彼女の方も僕と同じ気持じゃないかな」

「ふーん、そうなんだ。一度お会いしてみたいけど、彼女、魔術師学校に通っているんだっけ。じゃあ、貴族学校には入学しない感じなのかな?」

「……多分そうだと思う。魔術師学校の卒業は結構時間が掛かるって言っていたから」

「そうだよね……、残念でしょうがないよ」


 僕としてはアリアをロムルスに紹介するなんて、何か面倒臭い事になりそうで嫌な予感しかしない。ここはアリアが魔術師学校に入学した事に感謝だ。

 そんな話をしているうちに食堂に到着し、セルフサービスで主菜や副菜の皿を受け取り、スープをカップに掬いパンをいくつか選んでテーブルについた。


「アルウィンは午後の授業は何を受講するの?」

「午後は騎士鍛錬の授業に出るよ。オウルニィに帰ったら一番必要になる授業だからね」

「……私もそうしようかな。体を鍛えておいて損はないし」


 貴族学校の授業は自分で自由に選択して受講する形式をとっている。なので、幾つもの授業を受講して知識を深めるのも、全く授業に出ずにお茶会や社交だけする人も結構いたりする。成人になった時に卒業試験に合格すれば、授業を全く出席していなくても卒業できるし、試験に不合格になったとしても二十歳までに合格すれば退学処分にはならない。

 中には金を積んで卒業した生徒もいたと聞いた事もある。……卒業できる実力も無いのに無理やり卒業しても将来役に立たない人間になるだけだと思うけどね。


「……貴族学校の生徒ってさ、みんな結構のんびりとしてるじゃない?本当にこれでいいのかなって思う事ない?」

「ケルト王国は平和な時代が長く続いているからね。みんなのんびりとするのもわかる気がするよ」

「ユピテルの学校はもっと厳しいの?」

「……対して変わらないよ。ユピテルは北方や西方からよく攻め込まれるけど、戦線が辺境伯領から出る事がないから。帝都は比較的のんびりとしてる」

「どこも変わらないんだね」


 僕達がくだらない世間話に花を咲かせていると、女生徒の集団が近づいてきた。


「ロムルス様、アルウィン、ごきげんよう」

「ビビアン王女、ごきげんよう」

「王女殿下、ご機嫌麗しゅう存じます」


 ビビアン・ラ・ダナーン王女、僕と同じ十歳で生まれ季節も同じ秋だ。噂では彼女はロムルスの婚約者候補の一人とされている。


「ロムルス様は午後はいかがお過ごしになられますの?」

「午後はアルウィンと一緒に騎士鍛錬の授業に出ようと思っています」


 僕も頷き肯定の意を示した。


「そうですか、それではごきげんよう」


 ビビアン王女はそう言って足早に遠ざかっていった。


「王女殿下はまさかとは思うけど、それだけを言いに来たのかな」

「……そんな訳ないだろう。だってここにはユピテルの公爵の息子と精霊の弟子の従兄弟がいるんだぜ、王族にとっても気になるのは当然じゃないか」

「えっ!僕の事も見に来たっていうの?」

「そりゃそうだろ、僕だって君の従姉妹には興味津々なんだ。いくら本人が魔術師学校に在籍しているって言っても、いろんな情報を欲しているに違いないね」

「そうなんだ、となるとこの先ずっと、ビビアン王女に話しかけられる可能性があるのか……」


 僕は普通の子爵の息子にしか過ぎないのに、面倒な事になっちゃったなと思う今日この頃だった。

第二話はこれにて終了となります。


次回から第三話となります。

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