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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第二話 学生生活

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2−7 魔術の教科書

 月日が流れるのは早いもので、あっという間に魔術師学校に入学して三ヶ月が経過してしまった。

 季節は冬から春に移り変わり、私も八歳となりお姉さんにまた一歩近づいた。

 そして新入生全員が一般教養の試験を合格した事により、ようやく魔術の授業が解禁される事になった。

 高等科に昇格する試験は秋の終わり、それまでに魔術を習得しなければまた一年初等科で過ごす事になる。つまり、ここからが本当の意味での魔術師学校の始まりなのだ。


 今日は初めての魔術基礎の授業がある。

 魔術の授業は、今までの一般教養の授業と違って事前に教科書は配布されなかった。なので、ここにいる生徒の殆どが魔術とはどういった物なのか理解していない。

 まあ魔術を秘匿する事はかなり徹底されているみたいで、我が家にあった本の中でさえ「魔術師がこんな事をしたよ」とか「魔術師はすごいね」みたいな抽象的な事しか書いていなかった。だから、私が人間が使う魔術の事を調べても中々わからなかったのだ。


「それでは教科書を取りに来なさい。教科書は授業の終了時に回収するので汚したり、傷をつけたりしない様に」


 私は初めての魔術の教科書を受け取り、早速内容を確認してみた。

 えっと、なになに……。

 ざっと一通りを流し読みしながら内容の全てを『叡智の書』に登録していく。

 なるほど……、この世界はファンタジー世界でよくある火・空気(風)・水・土からなる四元素の法則で魔術が構成されていると思われているのか……。


 ……ここは、古代のギリシア世界なのかよ!なんで精霊が実在している世界でこんな考え方が広まっているんだよ!


 がっかりだ!全くもってがっかり過ぎる!

 四元素や四大元素で言われている火や空気や水や土は、その具体物……火や土そのものを指すのではなく、状態だったり変化だったりを指し、世界の物質を支える基盤とか基軸の様な物だとされている。

 四元素の考え方は、地球でも十九世紀頃まで幅広く支持されてきた。

 しかし化学や科学を少しでも学んだ人ならその間違いにすぐに気がつく。

 火とはただの化学反応であって物質ではない。つまりは燃料となる物と酸素が結合して起こる発熱を伴う酸化反応の事だし、水も中学生の理科の授業の時に習った方はわかるだろうが水素と酸素の化合物である。空気は様々な気体が混ざり合ったもので、風に至っては唯の気象現象に過ぎない。土も様々な有機物や鉱物が混ざり合っていて、それぞれが誕生した経緯もまるで違うものだ。

 つまり、世界を構成しているものはとても複雑であり、多様性に富んでいる。当然、魔術も同じでたった四つの原理や原則に縛られてしまったら、いつか魔術の発展は行き詰まる事になるだろう。

 大体魔力の事についての説明がこの教科書の中には殆ど書かれていないじゃないか。

 魔力……これには神霊力も含まれるが、とはこの宇宙を構成している物質やエネルギーの全てに変化する事が出来る万能粒子の事を指す。

 魔力は強い意志に従う性質を持っていて、魔力や神霊力が他の物質やエネルギーに変化させる事が出来るのは精霊達だけである。人間の魂もまた精霊なので魔力を扱う事が出来るが、魔力を従えさせる力は非常に弱く魔力量も多く無いので強力な魔術は行使できない。


 長々と説明してしまったが、要するにこの教科書は魔術の本質を理解していない人が書いたものだという事だ。

 なのに何故、こんな教科書が正しいとされているかと言われたら、多分だが魔術を使うにあたっての想像力の助力になるからでは無いだろうか。

 先程も述べた通り、魔力は強い意志に従う。

 意思とは、言い換えれば魔術を発動させるイメージを持つ事であり、すなわち想像力だ。私がタカアマハラにいた時にお姉様から教わった時みたいに頭の中で術の完成をイメージしてその通りに神霊力を制御する事によって術は発動する。つまり、術に至るまでの経緯もしっかりイメージしていないと魔術は完成しない。そのイメージの補完に四元素の考え方が利用されているのだろう。

 魔術とは本来自由なものだが、この国が必要としている魔術は軍事力としての魔術だ。つまり、攻撃力や防御力、それに適合する力だけが必要なのである。……特に火なんかはわかりやすい力だからね。

 イメージの補完といえば呪文もそれに該当する。

 魔術とは想像力通りに魔力を制御できれば発動する物なので、本来なら呪文など必要ない。……私はともかく、魔術師団の団員達も呪文を使っていない人が結構いるしね。

 だけど、しっかりとした魔術のイメージができない人にとっては想像力だけで魔術を完成させる事は非常に難しい。

 そこで、呪文を唱える事によって魔術のイメージを固定化させる役割をしてもらうのだ。つまり、よくスポーツ選手とかがやっているルーティーンやゲン担ぎの様な物だ。

 それを繰り返しているうちに、徐々に魔術のイメージがすんなり行える様になり、やがては短縮詠唱だったり無詠唱で魔術を行使する事が出来る様になっていくのだ。


 まあ、人には人のやり方があり、神には神のやり方がある。それにいちいち文句を付けるつもりはない。だから、魔術の授業は黙って見ているだけにしようっと。

次回も魔術の授業の続き(実践編)となります。

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