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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第二話 学生生活

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2−2 登校初日の風景 2

「自己紹介が終わったので、これより学校見学に移る。他の教室は授業中だったり研究中の所もあるので私語は慎み黙って付いてくるように」


 私達はその言葉通りに黙々とショット先生の後に付いて行った。

 新入生一行は教室があった二階から一階に降り、学校の正面玄関にやってきた。


「ここは正面玄関、君達がここを使う事は無いが来客の出迎えや式典などで使用される事もあるので覚えておくように。正面玄関から一番近い部屋が職員室になる。私や他の教師達は基本的にここにいることが多い。授業の質問や学校生活で困ったことがあった時はここに来なさい」


 そして、廊下を少し進んだ所に図書室や自習室があり、次に渡り廊下を進み別棟にある平屋の大きな建物に入った。


「ここは食堂と購買室がある棟だ。休日以外の昼食はここで摂る事になる。購買室は授業に必要な筆記用具やノート、他にもお茶会で使用する茶葉やお菓子なども売っているので必要な時はここで購入しなさい。ただし、購買室での購入は現金払いのみなので注意するように」


 ショット先生は私の方を見て念を押した。

 確かに貴族令嬢ならば普段は財布なんて持ち歩かないと思われても当然なのだが、私には別空間にある貯金箱という強い味方が存在する。必要な物は転移術を使って何処からでも持って来れるのだ。当然、その必要な物の中には現金も含まれている。

 ふっ、私に死角など存在しない……。


 私達はそのまま屋外に出て、大きなグラウンドにやってきた。


「この運動場で体力向上を目的としたトレーニングや、集団戦闘の為の基礎訓練などが行われる。君達も普段からトレーニングを欠かさない様に心掛けなさい」

「……あの、魔術師も戦場で戦う事になるんですか?」

「当然だ。いや寧ろ魔術師が関わる戦場は酷い状況の方が多いと覚えておきなさい。魔術は我が国にとって最大の攻撃力であり切り札だ。よって魔術でしか解決出来ない場合でのみ魔術師が派遣される。魔術師になれば楽な生活が出来ると考えていたのなら、その考えをここで捨てておく様に」


 多くの新入生達は顔を青ざめた表情でショット先生の話を聞いていた。

 顔色を変えないのはトッド君位か。

 トッド君は魔術も使えるみたいだし、事前に魔術師か魔術師学校を退学した人から話を聞いていたのかもしれないな。


 その後、魔術の訓練場やその奥にあった屋内の訓練施設の見学も終わり、元いた教室に戻ってきた。


「ショット先生、ここの上の施設には行かないのですか?」


 この建物は四階建てで更に同じ大きさの建物が三つ並んでいる。それなのに見学した所はかなり限られた所のみだったのが不思議だった。


「この建物と同じ階の教室には昨年度高等科の昇級試験に合格出来ず留年した初等科の生徒の教室があるが、今は授業中なので見学はしなかった。あと、この棟の上階や他の棟は高等科の生徒以上の者しか立ち入りが制限されている。忘れないで欲しいのだが、ここは国家機密を多く扱っている場所だ。迂闊にその様な場所に立ち入ると処罰されるので注意するように」


 またまた新入生達は青ざめてしまった。

 ……ショット先生、初日から生徒の心を折りまくりですよ。


「では、諸君らに今後の授業に関する説明をしていこうと思う。授業は大まかに分けて二つ、一つは一般教養、そしてもう一つは魔術の基礎をそれぞれ学んでもらう。まずは一般教養だが、文字の読み・書きが出来ていなければ他の授業に支障をきたす事になるので最優先で学習してもらう事になる。そして計算も魔術には欠かせない知識だ。なのでこちらも最優先項目となる。だが、諸君らは既に成人もしくはそれに近い年齢にあると思う。……一部を除いてだが」


 そこで、私の方を見ないでください、ショット先生。


「そこで、文字の読み・書き、文章の理解と作成、四則計算の試験を明日の授業で行い、その試験に合格した者はこれらの授業の出席を免除する」


 教室の前列の方で悲鳴や非難の声が上がった。それに打って変わって後列は誰も動揺していない。


「他の一般教養はケルト王国と諸外国の歴史と地理。自分達が守る自国の知識を覚える事は戦う為には重要だし、他国の知識は戦争になった場合にも大いに役に立つ。そして礼儀作法。君達はここを卒業、または退学した場合、貴族の元で働く事になる。自分の地位や命を守る為だと思って礼儀や作法を身に付けなさい」


 ショット先生、言っていることがいちいち物騒なんですけど。


「後は基礎体力トレーニング、格闘訓練、武器を使用した戦闘訓練、集団戦闘の基礎訓練があるが、どれも自分の命を守る為と思って励むように。ここまでが一般教養に関する授業内容だが、質問がある者は……」


 教室にいる皆、特に前列にいる人達は既に茫然自失状態である。

 平民達にとって魔術師になる事は将来を約束されたエリートの様なものだと思っていたのだろうが、実際には騎士と同じく魔術師も戦争の駒の一つに過ぎなかった事が判明した瞬間だった。


「……質問が無いようなので、次の魔術の基礎に関する授業の説明を行うが、これは実際に授業を受けてみた方が理解が早いのでここでは割愛する」


 サクッと説明をぶった斬ったよ。

 まあ、魔術の説明なんか、その基礎なんかがわからないと説明しにくいか……。


「では、本日の授業は終了する。食堂で昼食を食べた後、寮に戻るように」


 そういえば、授業のある日は寮では昼食が出ないって言っていたね。

 ショット先生が教室から出て行き、生徒達が席を立ち少しお喋りをし始めた。


「よお、アリア。この後、食堂に行くんだけど一緒に行かないか」

「……マーベル、いきなりアリアに話しかけるのは失礼よ。ごめんなさいねアリア……」


 気軽に話しかけてきたマーベルを、シーラがマナー違反だと注意している。

 何だか初めて二人に会った時と同じ様な場面となって、良い意味で緊張がほぐれた瞬間だった。

次回もこのお話の続きとなります。

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