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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第一話 入寮式

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1−6 入寮式 2

「……辺境伯閣下、国王陛下は普段から入寮式にご出席されているのですか?」

「そんなわけあるまい。おそらく、其方の入寮式という事でご出席なさるのだろうが……」


 ……こんなサプライズ必要ありません!


 普段の入寮式ならば、私と辺境伯閣下が入寮式が行われる部屋に待機して、その後から校長や寮監達が入ってくるのだが、国王陛下が出席なされるという事で校長先生や他の先生達が慌てて部屋の中に入ってきた。

 そして部屋の中にいる男性全員が跪き頭を下げた。因みに私とクリスは女性なので膝を深く折ったカーテシーをしましたよ。足の筋肉を強化していたからそこまで疲れないが、世の上級貴族の女性達は結構な頻度でこんな姿勢を強いられているんだなと思うと、頑張ってねと応援してあげたい。

 私が心の中で貴族女性達にエールを送っていると、先程先生達が入ってきた扉から国王陛下が入場してきた。……今回はモリガンがいなくてホッとしたよ。

 国王陛下は檀の中央まで進み、こちらに向いた。


「一同、顔をあげよ」


 全員、そのままの姿勢で顔だけをあげ、国王陛下を見つめた。


「本日は国王陛下にアリア・ニュートンの魔術師学校の入寮式にご出席を賜り感謝を申し上げます。これより、入寮式を開始いたしましてもよろしいでしょうか」

「うむ、では校長、入寮式を始めたまえ」


 そう言って国王陛下は壇上から降りて校長が立っていた場所に向かっていった。

 代わりに校長先生が壇上に上がり、入寮式の開始を宣言した。


「アリア・ニュートン、前に……」


 私は静々と校長の前に進み、跪いた。

 私が何故入寮式の段取りを知っているかと疑問に思われるだろうが、入寮式の手順や段取りは事前に学校側から渡されていた「入学にあたって」というパンフレットに書かれてあったのだ。

 私はその内容を『叡智の書』に丸ごとコピーをしてバッチリと記憶している。


「アリア・ニュートン、貴方はケルト王国の為に努力を怠らず、知識を蓄え、国の為に全てを捧げる事を国王陛下並びに三つの大精霊様に誓いますか?」

「私、アリア・ニュートンは努力を怠らず、知恵を蓄え、国の為に全身全霊を持って戦う事をブライアン・デ・ダナーン国王陛下並びに知恵の精霊レイトン様、力の精霊カルノフ様、勇気の精霊アベル様に誓います」


 宣誓の文言が簡素な理由は魔術師学校の入学生の大半が平民だという事と、入寮式は個別に行われるので時間を短縮する為だという。

 それにしても、私がレイトン達を様付けで呼んでいたのを聞いたら三人はどんな表情をするのだろう。困った顔をするのか、嬉しそうに微笑むのか、どっちなんだろうね。

 どうせ、この入寮式もバロールというアーティファクトで見ていたはずだから後で確認してもいいかもしれない。


 バロールというアーティファクトは、大きさは成人男性の拳程の大きさの球体で、三つでワンセットとして運用されている。主な目的は、監視や諜報活動用に用いられ三つのバロールを使って立体映像も撮影する事が出来る優れものだ。しかも、バロール本体は透明でステルス性能が高く、作動音もほぼ皆無の為発見される事が神の力を持ってしても困難な代物で、しかもドローンみたいに自由に空中を移動できるし、水中にも問題なく潜る事が出来、何なら宇宙までも行けちゃうというまさに神スペック!

 そんな神仕様のアーティファクトであるバロールの事を私が今まで何故知らなかったのかというと、お姉様とクリスが全力で隠し続けていたせいだ。

 この異界にバロールが多数配備されている原因は原初の精霊を封じている結界の監視用だったのだが、私が異界に転生する際にこのバロールを使えば私を覗き見する事が出来る事をお姉様が思いついてしまった。

 私にバレないようにする為、クリスを仲間にし、私に気が付かれないように細心の注意を払い盗撮と覗き見を続けた。

 そのバロールが私に露見した経緯はと言うと、私にとある密告があったからだった。

 私が王都に移動する直前にアンからオウルニィで活動している私のファンクラブとクリスが会員達に配布している私の盗撮写真の事を教えてくれた。その事をこの前の河蜥蜴襲撃事件の後で問い詰めた結果、クリスは渋々ながらバロールのことを自供したのだった。

 その後、隠し撮り写真は配布する前に私のチェックを義務付ける事と、バロールの制御権の一部を私に譲渡する事を認めさせた。

 ……正直、隠し撮りはタカアマハラ時代から両親主催で行っていたから、今更なんだよね……。




 その後、新入生の担任となるショット先生の紹介や、今後の授業の説明や寮における規則などの説明が行われた。


「これを持ちまして、アリア・ニュートンの入寮式を終了いたします。国王陛下がご退出なされます、一同、敬礼!」


 私は再び膝を深く折ったカーテシーをして国王陛下を見送ることになった。すると、国王陛下がこちらに近づいてきた。


「アリア、入学おめでとう。これからの其方の活躍を期待している。……その、くれぐれも、やり過ぎぬようにな」

「お祝いの言葉、誠にありがとうございます。国王陛下のご期待に応えられるよう、一層の努力をしてまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます」


 本当は、やり過ぎって何なんだよと文句を言いたかったが、この場で言うと大問題になってしまうのであくまで心の中だけで悪態をついていた。

 国王陛下が退出してホッと一安心したところで辺境伯閣下が近づいてきて、国王と同じようにお祝いを述べてきた。


「アリア、入学おめでとう。これから魔術師学校に入学したとなると、何かがあったとしても私は何も口出しは出来なくなる。あまり無茶はしないようにな……」

「国王陛下といい、辺境伯閣下といい、まるで私が何かをしでかすかのような口振りなのは何故なのでしょうか」

「それは、胸に手を当ててよく考えてみる事だな……」

「その慣用句って不思議ですよね、胸に手を当てたって記憶が蘇るわけないじゃないですか」

「……それは、心を鎮めろとか自問自答しろとか反省しろと言っているのだ」

「ならば、尚更意味がないですよ。私には反省するような事は何もありませんから!」

「……そう考えているなら、其方はある意味、幸せ者だな……」


 私が現在進行形で幸せ者である事は間違いはないが、何故にこの様な言葉を言われるのだろうか?……解せぬ?


「アリア様ファンクラブ」の一件はアンからの垂れ込みによって露見した事が判明しました。


そして、バロールというアーティファクトが初登場。今後の活躍の場はあるのでしょうか?

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