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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第二章 魔術師の卵?  第一話 入寮式

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1−5 入寮式 1

 あの後、ユピテル帝国から来た公爵の息子がどうなったかは知らないが、日付は進み魔術師学校の入寮式の日となった。

 入寮式に出席出来るのは魔術師学校に入学する私と付き人として認められたクリス、そして後見人であるギャレット・ウェズリー辺境伯の三人だけだ。これは魔術師という国家機密を守るためであるので、例え親であろうとも魔術師学校の敷地に入る事は出来ない。では後見人はどうなのかと言われたら、後見人でさえも入寮式以外では敷地に入る事は許されていない。ただ、魔術師学校の新入生はそのほとんどが平民階級の出身である為、入寮式で新入生があまりにもひどい態度をしてしまった時に引き取ってもらうための付き人の様な役回りなのだという。……もし、本当に入学を断られたら後で国王陛下から後見人に厳重注意をされる事があるらしい。そうなったら下手をしたら家の没落もあり得るので気楽に後見人になんてなれないね。


 魔術師学校は王宮内の敷地の魔術師の塔に隣接したエリアにある。

 敷地は魔術師の塔の敷地と変わらぬ程の広大な敷地で、それに対して校舎自体は地球にあった小学校や中学校と然程変わりはない。魔術師学校の在校生は二百人程度と聞いているのでそんなに大きな校舎がなくても差し支えがないのだろう。

 寮の大きさも男女別々の建物になっている以外はそれ程大きな建物ではなく、本当に王宮内の建物なのかと疑う位だ。

 まあ、地球のコンクリートで建てられた建造物ではなく、西洋風のお城っぽい石造りの建物なのでそれ程違和感はないのだけれど、他の建物と比べたらねぇ……。


「こんな建物でも、平民からすれば貴族の屋敷の様に感じるのだという。そうなると、落ち着かないのだそうだ」


 なるほど、確かに平民からしてみればかなり立派な建物に見えるのかもしれない。しかも、その建物で生活しなければならなくなったら、慣れるまではストレスを感じるかもしれないという事か……。


「其方の屋敷と比べたら貧相に見えるかもしれないが、一応貴族用の住居スペースがあるらしいからそんなに心配する事はないだろう」

「辺境伯閣下はお部屋を見たことはあるのですか?」

「いや、ないな。魔術師学校の寮に入れるのは生徒と学校の教師、後は塔の魔術師だけだからな。だが、其方の部屋に置く家具を伝えた時に間取りだけは見せてもらった」

「へえ、辺境伯閣下から見て間取りはどの様に感じましたか?」

「そうだな、実物を見てないから想像で言うが、其方の様な男爵や子爵の子女ならば問題はないだろうと思う。だが、上級貴族の子女では苦情が来るかもしれないと思った」

「なるほど……、私が男爵令嬢で良かったですね、辺境伯閣下」

「……其方はある意味、王女殿下よりも扱いが難しいからな」

「どういう意味ですか!」


 私達は馬車を降りて魔術師学校の寮にある部屋の一室に入った。

 その部屋は、入寮式をする為の部屋で部屋の奥には一段上がった所に祭壇が設けられていて、そこには三体の精霊像が祀られていた。……あの像ってもしかしてレイトン、カルノフ、アベルなのかな。

 その三人は異界の精霊達を纏める役割を持った大精霊だ。

 レイトンは皮肉屋で少しニヒル。背は低く、立っていても成人男性の半分程の大きさ程で灰色の髪と顎髭が特徴だ。この世界では知恵の精霊と呼ばれていて、魔術師からの支持が高い精霊だ。

 カルノフは下半身は煙で覆われていて上半身はムキムキマッチョ。そして時折、口から火を吐くのが特徴だ。カルノフは力の精霊と呼ばれていて、騎士や一部のマッチョ好きの女性達からの人気が高いらしい。

 アベルは全身が金属の鎧に実を包んでいて、中の人が全く見えないのが特徴だ。そして、鬱陶しいまでの熱血漢で周囲の温度差なんて気にしない天然の陽キャだ。この世界では勇気の精霊と呼ばれていて、三人の中で一番人気なのがこのアベルだ。

 うーん、こうして像として見てみると、異界に来たからってハチャメチャな格好をしすぎだよね。精霊界では普通の精霊の姿なのに。もしかして精霊達は変身願望でもあるのか?それとも日頃のストレスが溜まっているのか?

 そんな事を考えていたら辺境伯に伝言があったみたいで後ろの方でゴチョゴチョと内緒話をしていた。

 内緒話を終え、辺境伯が私に耳打ちをしてきた。


「……国王陛下がアリアの入寮式に出席なさるそうだ」

「そんなの聞いてませんけど!」

「私も初耳だ。だが、先程述べたではないか、其方は王女殿下よりも扱いが難しいと……」


 そんな言葉で納得できるかーい!

国王陛下のサプライズ出席となった入寮式。サプライズとか、フラッシュモブとか、当事者からしてみれば傍迷惑ですよね。……中にはそういった演出が好きな人もいますけどね。

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