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アメイジング・グレイス 〜幼き女神は斯く語りき〜  作者: タカトウ ヒデヨシ
第一章 精霊の弟子?  第六話 入学前の慌ただしい日々

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6−13 終わりを告げる者

前回に引き続き模擬戦の続きです。

 私から降伏を勧告しても良いのだが、それだとまた甘いとか言われてしまうかもしれないのでここは少し過激な攻撃をして一気に戦意を失わせてとっとと降参させよう。

 うーん、どういった攻撃が一番効果があるだろうか?

 一万体ぐらいゴーレムを並べて一斉に前進させるとか?……それだとちょっとだけ時間がかかり過ぎるか。……却下、次。

 だったら、この闘技場コロッセオそのものを爆発させてしまうとか?……それをすると爆発オチかよとか言われてしまうかも。それにまた闘技場コロッセオを創り直すのも面倒だしね。……却下、次。

 爆発オチがダメなら破滅エンドはどうだろう?……いや私は降参させる方法を考えなくちゃいけないのに、なんで物語を終わらす方法を考えているんだ!……論外、次。

 そうだ、原初の眷属達は異界が破壊された光景を目の当たりにしているはずだ。だったらそのトラウマをちょっとだけ刺激してみるのはどうだろうか?確かお父様は巨大な彗星に似た神霊術で異界を破壊したとか言っていたっけ。そこまでの威力や大きさは要らないけどそれに似せた神霊術なら結構簡単に真似できるはずだ。……いいね、採用!

 ならば善は急げだ。早速、トラウマ刺激大彗星を創ってしまおう。

 私の頭上にそれなりの大きさの火球を創り出し、威力は闘技場コロッセオを破壊しない程度で。演出的にも派手に見えるように着弾したらド派手に閃光を放って周囲が真っ白になるように細工をして。……これでよしっと。

 さあ打ち込むぞと思った時だった。


「……姫様、その攻撃は少々過激すぎではないでしょうか?」


 クリスがちょっと引き気味に尋ねてくる。


「……そう?多少派手かもしれないけれど、模擬戦の最後を締めくくる演出としては最高でしょ!」


 さっきまではちょっと引き気味だったが、今は明らかにドン引きしている。なぜ?

 よく見れば、原初の眷属達だけではなく観戦席にいた精霊達もパニックに陥っていた。


「みんな大袈裟だなぁ。見た目は派手だけど、そこまでの威力はないから。闘技場コロッセオが壊れない範囲の攻撃だからね」

「……あの、この闘技場コロッセオはタカアマハラと同じくらいの強度があるのでしたよね?でしたら、普通の物質界の惑星程度なら普通に壊れてしまうのではないですか?」

「……それは、……そうかもしれませんね」

「そんな攻撃、普通の精霊ならとても防御出来ませんよ!」


 なるほど、それは盲点だった。それで精霊達はパニックになっていたのか。ちょっと悪い事をしてしまったかな。

 それじゃあ、勿体無いけどこの火球はキャンセルするか。と思っていた時、私達の前にフードを目深に被り、しかも顔に仮面をつけた真っ白なローブ姿の人間?が転移術で現れた。……こんな正体不明な人って最初からいたっけ?

 そしてその人は、空中でもあるにも関わらず跪いて頭を垂れて挨拶してきた。


「お初にお目にかかります。私はトゥルー教の教皇を務めている者でございます」


 トゥルー教も教皇を名乗る人物は深々と頭を下げさらに言葉を続けた。


「我々は今回の戦いの敗北を宣言し、アリア様の申し入れをお受けし、ケルト王国に対する活動を自粛致します」


 なんと、突然部外者からの敗北宣言が飛び出してきたよ。


「貴方が本当に教皇なのかは私にはわかりませんが、今回の模擬戦の参加者では無かったはずです。その部外者に一方的に降参と言われても私としては困惑するだけなのですが」

「私が本当にトゥルー教の教皇であるかどうかは下にいる者が答えてくれるでしょう。……ダゴン、こちらに来なさい」


 自称教皇に呼ばれたダゴンは素直にこちらに向かってきた。


「ダゴン、ここにいる人は本当にトゥルー教の教皇で間違いありませんか?」


 私はダゴンに尋ねてみると、ダゴンはすぐさま返答した。


「このお方が教皇猊下である事に間違いはございません」

「そう、本物だったのね。まあ、私の許可もなくこの闘技場コロッセオに転移してきた時点で只者ではない事はわかっていたけど」

「確かに礼儀に反する行為をしてしまいました。誠に申し訳ありませんでした」

「謝罪は結構です。そしてたとえ貴方が本物の教皇だったとしても、今回の模擬戦に口を出すことはルール違反だとわかっているでしょう。それなのに敢えてその禁を破った理由を聞かせなさい」

「……このままではトゥルー教の枢機卿達が再起不能になると思ったからです。そうなればトゥルー教の力で成り立ってきたクン・ヤン教国は弱体化し周辺国に影響を及ぼすと考えました。アリア様もご存知かと思いますが、クン・ヤン教国の影響力は周辺ばかりではなく西部地方や北方諸国にまで及んでおります。もしクン・ヤン教国が弱体化したとなればそれらの地域にも混乱が波及するのは避けられません。それはアリア様が望んでおられる平穏とはかけ離れたものではありませんか?」

「……高々模擬戦の勝敗ぐらいでそんなに影響力があるとは思えませんが、貴方が言っている事にも納得出来る所はあります。ですが、私の情に訴えかける所が不愉快です」

「では、どうしたら私を信用していただけるのですか?」

「それは事前に言ったように、私に貴方達の価値を示しなさい。私が貴方のルール違反を許し、数々の無礼を許す位の価値を示しなさい」

「……わかりました。ではその価値を示すために私がアリア様の頭上にある神霊術の攻撃を防ぎ切ろうと思います。それでお許しください」

「……貴方なら耐えられるでしょ。意外性も何も無いけれど、それで貴方が納得するのならば好きにしなさい」

「……アリア様には私がどのように見えているのか非常に興味がございます」

「私もお姉様程では無いにしても、それなりにわかっている事はあります。それだけですよ」

「…………」

「まあ、程々に頑張りなさい……」


 そして私はゆっくりとトラウマ刺激大彗星を教皇に向けてぶっ放した。

 強烈な閃光と爆発音と衝撃がこの辺り一体を覆い尽くし、数十秒後に静けさが戻った。

 そして教皇はというと、あちこち焼け焦げたローブを引き摺りながら懸命に立っていた。

 神霊力と精魂も尽きかけているのだろうか、ヨロヨロと私に向かって歩き出してきた。

 教皇の背後にいたダゴンの表情はまるで酔っ払っているかの様なだらしない顔が印象的だった。まるで推しのアイドルに目の前で出会ったかの様な蕩けた表情をしている。……いいおっさんがそんな表情をしないでよね。


「……全く、リスクとリターンが釣り合ってはいないわね」


 私は独り言をボソッと漏らしてため息を吐いた。


「……よく耐え切ったと誉める所なのかしら?不本意ですが、さっきの言葉通り貴方達の価値を私に示したと認めてあげましょう」

「アリア様のお慈悲に感謝いたします」

「……慈悲と言うなら敢えて一言言ってあげる。私も経験したからわかるけど、貴方がやろうとしているその方法はやめておいた方が身のためよ」

「…………」

「まあ、無理にとは言わないわ、貴方にも事情があるでしょうし。それと、貴方の事はお姉様に報告してもいいかしら?」

「……どうぞ、ご随意に」

「随分とあっさりとしたものね。それだけに、余計に哀れだわ……」


 私は振り返り、そのまま転移術を使って自宅に帰った。

 ……ストレスを発散しにきたのに、余計にモヤモヤが残る結果になるとは思っていなかったよ。

意外な形で模擬戦は終了しました。トゥルー教の教皇が初登場しましたが、彼の正体は一体何なのでしょうか?

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