巫女兎 伍
終章
あたしは彼からの告白にどう答えればいいのかを悩んでいた。お風呂に入っている間ずっと。その中であたしはある方法を思いつく。
それがこの部屋に入る三十分くらい前のこと。
今あたしがいるのは、彼と始めて寝た場所――寝室で彼と会話を楽しんでいる。
今日一日いろいろな事があって疲れたけど、それ以上に嬉しい事もあった。
気になることといえば、
「護、どうしてあんなこと言ったの?」
護がアスカたちを泊めたということだけ。どうして彼は皆を泊めたんだろう?
「わからない。だけど、今日も明日も記念日だから別にいいだろ? 皆、明日の朝には帰るといっているし」
ま、いっか! そんなこと、分からなくたって。皆のおかげでまたこうして彼と二人きりで寝る事ができるから。
いきなりの士さんによる誘拐と戦闘。護が助けに来てくれたのと士さんの死。彼のお葬式とプレゼント。そして何より、護からの告白。
彼が言ったセリフは完全にあたしのメモリーに刻まれた。絶対に忘れる事なんてない。それこそあたしが記憶を失わない限り、永遠に。
今思い出すだけでも、身体中が赤くなる。
そんなあたしに追い討ちをかけるように彼が、
「なぁ、巫女兎。告白の返事は?」
「もう少し待って。今日中にするから」
両思いだとここまで、世界が違って見えるんだ!
美生は毎日こんな世界を見ていたのか!
あたしの世界は彼の一言で全てが輝いて見えた。全部が全部、星のように。
そんな世界で過ごせるのは結ばれた人の特権なのかもしれない。
あたしが彼のほうを向いてその喜びを伝えようとした瞬間、
「おやすみ、巫女兎」
彼は睡魔に勝てなくなってしまったのか、眠りに入ろうとする。
無理もない。たった一日でいろんなことがあったから。
あたしは疲れ果ててしまい寝てしまった彼の耳元で、小さな声でそっと、
「ありがとう、護。大好きだよ」
そう返事をして、寝ている彼の唇にそっと自分のそれを重ね合わした。
どうも、KENSHINこと水持です。
今回のお話は私としては珍しく、ファンタジーです。
初ファンタジーなので、感想ジャンジャン送ってください。お待ちしています。
今回は特に裏話とかないのでこの辺で。
以上、水持 剣真でした。