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じー.えむ.  作者: 水持 剣真
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護 伍

終章


今日は疲れた。なぜか知らないけど、皆ここに泊まっていくらしい。だから俺の部屋はアークとジースが、巫女兎の部屋にはアスカと創麗がいる。

普段なら絶対に断るであろう要求を呑んだ俺はらしくないのかも。

「護、どうしてあんなこと言ったの?」

「わからない。だけど、今日も明日も記念日だから別にいいだろ? 皆、明日の朝には帰るといっているし」

俺は明日の事をどうしようかと一生懸命思案する。これ以上の何かを彼女に与える事が、できるかどうか悩んでいるからだ。

俺が今いる場所は彼女と初めて一緒に寝た場所――寝室にいる。

俺も彼女もお風呂に入ったあとで、俺は寝巻きを彼女は小袖を着ている。

小袖を着ている彼女は妖艶で真正面から見ることができないから、彼女の顔を見ないで会話する。

俺がそういう状態になっているとは知らずに接近してくる彼女。いろいろとやばい所が見えているから離れてほしい。

俺がこういう状態に陥っているのは、風呂から上がったあとすぐ、アークのやつが、

「風呂上りの姫様はすごいな。いろいろと」

馬鹿なことを言ってきたから、気になって仕方ない。だが、気にしないように眼をそらす。

よく考えればアスカも創麗も小袖を着ているけど、体型の形がそのまま現れてるな。アスカも創麗も普段見れない姿が見れるから、いつもより綺麗に見えてしまうのは気のせいだろうか?

「なぁ、巫女兎。告白の返事は?」

「もう少し待って。今日中にするから」

ああ言えばこう言うってやつか? 彼女が今日中にするといっているのだから、もう少し待つ。

でも、するならするで早くしてほしい。疲れているから段々と意識が遠のく。必死の思いで抵抗しているけど、そろそろ限界かも。

俺の思いは彼女に届いたのに、彼女からの返事を聞かないで寝られるか!

それにしても今日はいろいろあった。

八年ぶりに会った親父との戦闘に、その親父の葬式。誕生日プレゼントに告白とイベントだらけだ。

親父は遺言を遺してくれたが、遺品は結局何一つ遺してくれなかった。一つくらい遺してくれてもいいのに。

親父にはいろいろと訊きたい事があったのに結局訊かなかったな。まぁ、訊くことよりも巫女兎を助けるほうに頭がいっていたから。

それにしても、アスカも大変だな、好きな人がいるのに察してくれないというのは。

もし、彼女が同じ状況に陥ったときアークはどんな風にするのかが見ものだ。

俺は慌てまくる彼の姿を想像する。そして、俺と同じことを思うにちがいない。

俺はそう思いながら、睡魔に勝てなくなってしまう。だから

「おやすみ、巫女兎」

今日の最後に彼女からの返事が聞きたかった。

しかし、完全に意識が落ちる前に、彼女の「ありがとう、護。大好きだよ」というセリフが聞こえて、唇に柔らかい感触があった。


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