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復活1




「Sランク以上の手練れがいない中でよく戦ったな。しかし無駄死にだ。おとなしく逃げていればよかったものを」


 どんな状況だろう。目の間の光景がいまいちわからない。鎧のように頑丈そうな服を身に纏い、褐色の肌と銀色に輝く髪の毛が目につく、見るからに悪役みたいな雰囲気の男だ。

 姿形は人間と同じだが、種族というべきなのか、いまいち同じ人間とは思えない。ゲームやアニメでよくある“魔族”という表現がしっくりとくる。そしてただならぬ強さを感じる。RPGの世界で例えると、ラスボス手前で戦う番人といったところか。そしてその男の足元には、学校の制服のような格好の男が一人、血を流し倒れていた。

 現在相対している者は三人で男が一人、女が二人で、その全員が倒れている制服の男と同じ高校生くらいの年齢だろう。


「あーくそっ! なんで誰も助けにこねぇんだよおぉぉお! ヒートバスタぁぁー!」


 傷を負いながらも、立っていた少しチャラい雰囲気の男が一歩前に出ると同時に手のひらから光線のような、恐らく魔法であろうものを放った。

 魔族っぽい男は手のひらで光線を受け止めるとそのまま握りつぶしてかき消した。


「なんだそれは、攻撃のつもりか? 魔王軍四天王にそんなもの時間稼ぎにもならんぞ。くらえ、ダークバスター」


 そのまま四天王を名乗った男は手のひらから黒い魔法を放つ。自己紹介をしてくれたおかげで俺の予想は当たっていることがわかった。なかなか冴えているぞ。四天王という肩書は相当強そうだ。

 ダークバスターは先程男が唱えたヒートバスターの数十倍はあろうかという大きさ、そしてスピードで放たれている。逃げれない……!


「うわああわあああ!」


 直撃し激しい爆発とともにチャラ男は空高く吹き飛ばされ、その後地面に叩きつけられた。ピクリとも動かず生きているのか、死んでいるのかわからない。頭から血を流しており生きていたとしても重症だろう。


「さてと、残りは二人か。どうせ一人ずつきても意味はないし、まとめてかかってこい。もしかしたらかすり傷くらいはつけれるかもしれないぞ。まあ俺は女だろうが容赦はしないがな」


 四天王の男が睨んだ先にはグレーのショートカットの髪型に透き通るような白い肌の女の子と、外見的には少し幼く見える黒髪ロングヘアーの女の子が立っていた。


「あなただけでも逃げて。副会長として、私が……少しでも時間を稼ぐから」


 グレーの髪色の子が黒髪ロングヘアーの女の子に呟いた。それを聞き静かに頷くと、すぐに黒髪ロングヘア―の女の子はその場から走り出した。


「おっと時間を稼ぐか……本当に意味のないことを。協力して攻撃してきた方が、万に一つの可能性があったと思うがな」


 四天王の男は前屈姿勢ぎみになり下半身に力をいれるような体勢をとった。次の瞬間、その場から姿が消えた。辺りを見渡すといつのまにか、走って逃げていた黒髪ロングヘアーの女の子の正面に立っていた。


「俺の動きが見えなかっただろ? 根本のレベルが違うんだよ」


 目の前の道を塞がれた女の子は立ち止まるが、すかさず鋭い拳が繰り出された。右腕は女の子の体を貫いていた。女の子は大量の出血とともにその場に崩れ落ち動かなくなる。


「無力というものは罪だな。どんなカッコいいことを言っても意味がない。守るどころか時間稼ぎにもならない」


 唯一まだ立っているグレーの髪の女の子の元へ歩き出す。彼女はその場で呆然と見続けたまま動かなかった。動かなかったのではなく、もしかしたら動けなかったのかもしれないが。


「これで終わりだ。せめてお前は一思いにやってやろう。苦しまずに死ねることに感謝しろよ」


 右腕全体に黒い光が宿り始める。とてつもく禍々しい気配だ。

 一瞬腕が動いたような気がした次の瞬間、彼女の胴体と頭は切り離されていた。

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