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闘和学園3

 リーゼントが外に出てから数十秒後、一人の男を連れて戻って来た。話しの流れからするにこいつが賞金首で紫炎のザイロスと呼ばれてるやつなのだろう。


「ザイロスさん、こいつが生意気な上に闘気も使えて、我々の集金の邪魔をするんですよ」


 先程までの荒い口調、横暴な態度のリーゼントが、こんなに人が変わるのかというぐらいに低姿勢である。心なしかリーゼントの髪型も先ほどよりへたってる気がするが気のせいだろう。


「こんなガキ相手にビビってるとは情けねぇなぁ」


 日本の武士のような和の趣の衣装に身を纏い、腰元に帯刀している。この世界にも武士のような刀使いがいたのが意外である。それに魔法や具現化した武器での戦いが利便性などを考えた上で効率的だとも書籍に書いてあった。

 但し、実物の武器を媒介にして能力を発動したり、武器に能力を付与したりするという戦い方もあると書籍に書いてあったので何にせよ注意が必要だろう。

 てか武士という表現はかっこよすぎか。ボサボサな髪と無精髭でどちらかと言うと山賊だな。


「俺はガキだろうが女だろうが容赦しないぜ」


 そう言うとザイロスは刀を抜き、俺の方へ刃先を向けた。もう戦いは避けられないだろう。刀を相手にしてただの闘気で立ち向かえるのかだけが心配だ。どんな能力が付与されているのかも気になる。

 ん、そう言えば―――


「賞金首だとお聞きしましたが、懸賞金はおいくらなんですか?」

「ほう、俺のことを知らないやつがいるんだな。5000万ザックだ」

「あ、それならあなたを倒せばここの借金が返せるわけですね」


 俺のその言葉を聞くと、明らかな苛立ちの表情を浮かべた。


「お前ごときが勝てるわけねーだろうがあああ! 紫炎壱の太刀炎楼(えんろう)!」


 唱えると刀身が溶けるようにユラユラと揺れ始めた。徐々に周辺が熱気を帯びていき俺を中心として炎が形成された。


「なっ……! 室内でやる技じゃないだろ!」

「この宿屋がどうなっても俺には関係のないのと。ただの雇われ用心棒だ。今はお前を苦しみながら殺せればそれでいい」


 炎の勢いが増してくる。こんな狭い室内で信じられん。


「ご主人! 他のお客さんも含めて避難して!」

「は、はいっ……!」


 宿屋の主人と娘はヨタヨタとおぼつかない足取りで客室の方へと向かった。


「くはははは! 他人にかまってるとは随分余裕があるな! 紫炎弐の太刀炎座(えんざ)!」


 ユラユラとしてた刀身がまた元の形に戻ると今度は激しい炎を纏った。そのまま振りかざして一気に俺目がけて振り下ろしてきた。

 ゆっくりとこいつの相手をしていたら宿屋が火事で跡形もなくなってしまう。一気に決める!


 体の奥底から一気に闘気を放出させる。先程以上の爆風が起こり、リーゼントと強面ははその場にしゃがみ込み飛ばされないように耐えるのが精一杯の状態であった。建物が衝撃に耐えてくれたのは良かった。

 ついでに闘気の勢いで周辺の炎を消せないかと思ったがそう上手くはいかなかった。ここまで燃えているときちんとした消火をしないと無理なようだ。


 闘気で覆われた右腕でザイロスの弐の太刀を受ける。見た目の激しさから相応の衝撃を覚悟したが、予想に反してあまり衝撃は感じなかったので拍子抜けした。

 手を抜いてる様子は当然感じないので、俺の闘気量の方が圧倒的に勝っているということなのだろう。なんだこれは案外余裕かも、全然不安になる必要なかった。

 右手で刀を抑え込みながら、左手に闘気を込めて思いっきりザイロスの体目がけて突きを放った。


 感覚としては発泡スチロールを殴るような感じだ。武装した鎧のようなものがめちゃくちゃ柔らかくもろい。本当に俺の闘気量は並大抵ではないようだ。

 クリーンヒットしたザイロスは鎧が壊れ恐らく内蔵にもダメージがいっただろう。地面を転がりながら宿屋の壁に激しく叩きつけれて意識を失っている。


 さて、次はこの火事だ。早くどうにかしないと……!


「クールバスター!」


 突如、炎に水魔法がかけられた。振り返ると避難したはずの宿屋の娘がいた。


「魔法使えたんですか!?」

「あ、これだけですけど……」

「いや助かります。俺は魔法使えないので」

「消火は任せてください!」


 宿屋の娘は燃えている箇所に対してひたすら水魔法をかけ続けた。魔法の勢いはなかなかのものだと思う。これだけできればただのチンピラ程度なら追い返せそうだが、まあ、ザイロスのようなやつが出てきたらやはりどうしようもないだろう。


 彼女の消火のおかげでなんとかボヤ程度で済み、ぎりぎり最悪な状況は回避できたようだ。


 リーゼントと強面はいつの間にか宿屋内からいなくなっており、ザイロスだけが意識を失った状態で取り残されている。

 こいつは現金化しないといけないので、逃げないようにロープでグルグル巻きにした。

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