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復活10

 次の日も同じく、ひたすら残りの本を読み進めた。

 予定通りこの二日間で、ユリーナの厳選したものはすべて読み終え頭に入っている。なんなら、何冊目にこの本を読んだということすら記憶できている。意識をしなくても自然と記憶されているので、何かの能力的なものではなく、この体の脳が単純に優秀なのだろう。


 それにしてもユリーナのおかげで、かなりこの世界の情勢や魔法、能力や戦い方などが理解できた。

 この世界において、戦闘力の強さは単純に闘気の絶対量に寄るそうだ。闘気の量が多ければその分攻撃力や防御力を上げることができ、放出魔法の威力にも関係してくる。

 また、闘気を体外に放出することを『闘気化(とうきか)』、放出した闘気を何らかの魔法に変換するのが『魔力化(まりょくか)』という用語も覚えた。

 さらにそれとは別で、各個人特有の特殊能力というのも体得できる人がいるようだ。これは『特有化(とくゆうか)』と呼び、シエノの『水晶色識』やユリーナの『バトルアックスハンマー(今俺が勝手に付けた名前だが)』は特有化の能力だということが分かった。

 闘気の量と魔力化については、努力によりいくらでも伸ばすことができるが、特有化は努力だけではどうすることもできない部分であり、才能や生まれ持った環境と境遇が関係すると記載されていた。


 理屈がやっと分かったが、俺はまず闘気化ができていない。それができなければ魔力化ができない。闘気がないと特有化も基本的には発現しにくいらしいので、そうなると現状はただの一般人だ。

 闘気はきちんと修行すれば出せるようになるそうだが、例外があり、そもそもまったく才能がない人は一生かかっても身に着くことはないとのこと。だとすると、自分に闘気の才能があると信じてずっと努力してきたのに、実は闘気の才能がないことが発覚したとかっていう人もきっと今までいたってことだよな。悲しすぎる。

 しかし今はそれも他人事ではない。これで闘気の才能がないとかいうオチだったらマジで神様を恨むぞ。転生後の人生で何をしろって話しだ。まあ、とりあえず明日からは実技形式での修行になるようで、良い方向になっていくことを願うしかない。




「さてさて、こんなに早く実技形式の修行になるとは思わなかったよ。さすがお兄ちゃん!」

「いやまあ、自分でもびっくりだけどね」

「でも知識があるのとないのとじゃ、教える方も全然助かるから良かった。用語とかはもう大丈夫ってことで使っていくね」

「よし、どんどん来い」


 家から少し離れた草原。見渡す限り特に何もなく、修行をするには持ってこいと言った場所だ。


「お兄ちゃんは闘気化がまだできないので、何はともあれ、これができないとスタートラインにすら立てないんだよね」

「うんうん、たしかに」

「そこで、割と簡単に闘気があるかの判別ができる方法があるんだけど、やってみる?」

「え、そんな方法があるの? すぐできるならやりたい」

「でも少し痛くて……苦しいかもしれないけど……病み上がりのお兄ちゃんの体にとって大丈夫なのかなぁって……」


 ユリーナはこの方法をあまり選んで欲しくないらしく浮かない表情をしている。


「それを言ってたらきりがないし、少しでも早く才能があるかないかを知りたい」

「そうだよね……よし、じゃあやってみますか!」


 そう言うとやっと決心がついたのか、前に突き出したユリーナの両手のひらが光りだし、その光から徐々に野球ボールくらいの大きさの球が生成され、そのまま空中に浮いた。浮かんでいる光球からはじんわりとした温かさを感じる。


「この球はただの闘気の塊なんだけど、まずは両手を添えるようにしてみて。次に自分の体内に取り込むようなイメージを浮かべながら、握りつぶすように添えてある両手に力を込めてみて」


 握りつぶすとは、なかなか力強いワードが出てきたが言われた通りにやってみる。差し出した俺の両手のひらの間で、静かに光球は浮かび続けている。


(このまま握り潰すっと……!)


 少し力を込めた瞬間激しい輝きを放った。眩しさで目を背け、その後すぐに視線を戻すも光球は目の前からなくなっていた。


「……消えた。もしかしてこれで体内に入ったの?」

「うん。もう間もなく、私の闘気が全身にいきわたって、お兄ちゃんの体内にあるはずの闘気とぶつかり合うんだけど……」


 ユリーナは一瞬言うのを躊躇したが、またすぐに口を開いた。


「もしお兄ちゃんに闘気がなければ数分間の激しい痛みと苦しみが襲った後、私の闘気の球が体外に放出されて終わり。そしてもし闘気があれば私の闘気とぶつかって、闘気同士の衝突が起こり、その衝突が終わるまで苦しみが続くというわけなんだけど……」

「なるほど……どっちにしても苦痛はあるわけか」

「そうなんだよね。一応、『闘気克服法(とうきこくふくほう)』っていう名前がついてる正式なやり方で、簡単で確実とは言われてるんだけど、人によっては相当苦しいらしくて……まだ大丈夫?」

「今は特にこれと言った変化は……」


 多少のドキドキ感を持ちながら、改めて身構える。これから発生する痛みは怖いが、それよりももしこれで闘気がなければ今後の人生どうしようかという不安感の方が強い。イケメンしか取り柄がなくなるし、ヒモ生活をするしかないのか。


 ……それにしても遅い。今だにまったく体に変化はないぞ。

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