ep.4 影
エデンに夜が迫り、風がビル中に吹き抜ける。 南雲スズメはビルの屋上に身を伏せ、スナイパーライフルのスコープを構えていた。 戦闘を恐れ遠距離からの偵察を得意とする彼は、最低限無用な戦いを避けてきた。
「二人…か」
スコープの中に映るのは、瞭と彩香が物資を整理している姿。
「1VS複数のこのゲームで協力してる...コンタクト...迂闊でも僕のスキルならもしもの時は」
スズメは決意を固めた。 直接には危険だが、スキル「サイレントマジック」を使えば、様子や会話を安全に見聞きでき接触できる。 透明化、足音も止む能力はこのような状況での接触に最適だ。
「まずは、近づこう」
彼は静かにスキルを発動し、体を透明にして階段を下りた。 彼の足音は完全に消え、彼自身も姿を消している。 時間は一分間しかないが、距離を詰めるには十分だった。
二人の会話
物資を整理していた時彩香は、次の行動を相談していた。
「今回はうまくいったけど、次はどうする?」彩香が地図を広げながら検討する。
「この場所に長くは残れない。すぐに移動するべきだ」 瞭は冷静に周囲を見ながら答えた。
「そうね。でも、少し休憩してもいいんじゃない?
私達、TSTが始まってからずっと休んでないでしょ?」 彩香が少し笑いながら言う。
「まぁ、そうだな。一度安全を確保してから休息をとろう」と微笑み返す。
「……待って。何かおかしい」 瞭は急に声を低くし、
彩香もその言葉に敏感に反応し、周囲を見渡す。
「いや、確証はない。ただ、空気が変だ…」
「!?」
スズメの接触。
姿も音も無いのになんで?
彼の透明化が切れるまで、もう数秒。
心の中でカウントダウンをする。
そして、一分間が経過。透明化が解け、彼の姿が物陰に現れた。
「ここだ…落ち着いて、まずは話をしよう」
「「...!?」」
突然の声に、瞭と彩香は驚き、即座に武器を構えた。
スズメは息をつき、影から一歩踏み出す。
「ちょっと待って、攻撃しないで!」
「無理よ!」鋭く言葉を吐く。
「待って、僕は南雲スズメ…戦いたくはないです!ただ、少し話したいだけで…!」
スズメは両手を上げ、降伏の意思を示した。
15歳という若さが、その声に焦りを感じさせていた。
「...え、15歳?」彩香が大きく開き、驚いた様子で目を留めた。
肝心はまだ武器を下ろさず、スズメに目を向ける瞭。
あらゆるゲームをプレイして分かった1つとして、極限状態で年齢なんて関係ないという事。
騙す奴は騙し、殺す奴は殺しに来る。
「一人で生き延びるのは限界があるんです…極力戦いたくなくて、勝つためには一人より、協力できる人達がいた方がと思い......噂では聞いたけど初めてだったんです。誰かと誰かが協力してる姿を見たのは。」
瞭の目にはスズメが攻撃を仕掛ける意思がない事が見え、聞く。
「できるのか?」かなり厳しい口調で伝える。
「僕のスキルは『サイレントマジック』と言って。透明になって、足音も消えます。
戦闘は得意じゃないけど、偵察や情報収集には役に立つと思います」
スズメは自分のスキルと自信が得意なロールの説明した。
「サイレントマジックか…中々良いんじゃない?瞭?」
「違う。」
「え?何が...」
「殺せるか?最後は仲間だった奴らと殺し合いだ。
この意味を理解してでも俺らと行動するのか?」
鋭い目線でスズメを見ると、スズメは困惑し
「正直、僕は仲間と関係なく人を殺したくない...が本音になると思います。
でも、僕には果たしたい事があるので...殺します。
最後に仲間だけになった時も、お二人を殺します。」
「私達と同じ。意思も、目も」彩香が優しく微笑んだ。
「ふっ...可愛い顔してオオカミの様な鋭い目して...良い顔だ」
「「よろしく/よろしくね」」
「...っはい!!」




