1夜目『私のスローライフは何処に...』
ある森の奥の洋館、そこには一匹の吸血鬼が住んでいました。
吸血鬼とは人や動物の血を吸血する生き物で、夜に活動を行う生き物です。...その...はずです。
その吸血鬼は今...
「へー、最近はこんなのが流行っているんですね~へぇ~」
夜なのにも関わらず、洋館でPCをいじりながら紅茶を片手に持っているのだった...
森の奥にある洋館、その洋館は善良な魔物や妖怪しか見つけられないようになっています。そして入るにはその館の主人の許可が必要なのです。
ちなみにこの街、何故だか知りませんが妖怪が当然のようにいます。なのでこの街にいます。
そして、その主人というのが...『私』なのです!
「さてと...漫画の続きでも書きましょうか...確かこの間の続きからなので...あぁ、思い出しました」
というところで私はリビングまで行ってコップを取り、そこにコーヒーを淹れ、PCの前まで戻りました。
ちなみに私はネットで漫画を描いています。最近は一日一冊投稿にも慣れてしまいました。
「さてと...ヒロインを殺すろころから書き始めますか!」
-こんな思考をしていますが、通常運転です-
書こうと思って手を一回止めました。何故かって?それは...この館の前に何かの気配があったからです。
「...お客さんでしょうか...?」
私はドアの前に行き、ドアを開けました。するとそこには銀髪ショートの少し私よりも背が低いパーカー姿で着替えが四日分くらい入りそうなバッグを持った少女がいました。
この館は人間は辿り着けないように結界が貼ってあるはずなので...こんな少女が普通な少女の訳ないはず...です。
「えっと...今の時期は寒いので風邪を引いたら大変ですので、一度家に上がってください」
という風に家にあげました。ちなみに今は3月中旬です。
そして数分後、私は彼女に話を聞くことにしました。ちなみに私と彼女は机を間にしソファーに座っていました。
「あの、なんでそんな大きい荷物を持っているんでしょうか?見た感じ着替えが四日分くらい入りそうなバッグですが...」
にしても、何故ここまで来れたのでしょうか...
「.........を......来...の」
え?
「家出をして来たの!!」
...ちょっとだけ頭を整理しましょう。
私が仕事中の時に急に扉の前に気配がして玄関の方に行ったら今目の前にいる彼女がいた...と...
どうしたらこんな森の奥に来ようと思うのでしょうか...
「私、妖怪なの...えっと、さとり妖怪...」
さとり妖怪...確か心が読めるんでしたっけ...
「その、ある日突然この第三の目が発眼して...」
彼女はその第三の目を見せてくれました。ふわふわしています。どこかで見たのですが、普通そういうのは額に現れる物と思っていましたが...あぁ、そういうことですか。
「つまり、突然変異種ですか...」
「はい...」
―私もそうです。
突然その様に呟いてしまいました。
確かに突然変異種ならばどこか他と違う所が出てきていても不思議ではないですね。
さて、本題に戻しましょう。
「それで、無意識的に能力が出た...と」
「はい...」
「能力が急に開花したらそうなる確率が高いですよ。私もそうでしたから...」
話がなんとなくだけどつかめました。
「つまり、能力が誤作動して両親の心を読んでしまった...そういうことですか?」
「あ、はい...そうです。心を読んだら...えっと、その...」
「売られそうになっていたっていう事ですか?」
「あ、はい...」
私達妖怪は突然変異種なので売ったりしたらものすごい大金が降り注がれますからね~...中には売られて金儲けの道具にされている仲間なんてのもいます。プラス、私達は突然変異種なので、売ったりしたらどのくらいのお金に変わるのか...本当に恐ろしいです。まぁ流石にこんな都会ではそんなに見ないですけどね...
彼女を見ると顔が真っ蒼でした。まさか、私の心を見てしまったのでしょうか...
すると彼女は首を縦に振りました。
でも、なんでそんな家からここまで逃げて来たんでしょうか...
「えっと、確か急に私の部屋に入ってきた男性が助けてくれたんです。両親から...」
彼女の顔はさらに真っ青になっていた。おそらくその男性に殺されたのでしょう。
「...当りです」
「心を読んだんですか?」
「はい...」
「それでそのまま彼の言う通りに準備して、家を出ました。その時に私も死んでいる風にしておいた方がいいだろう。ってことで死んだことになっています。で、そのまま彼に案内されてこの森、なんなら途中まで一緒にいました」
「...そうなんですね。あ、安心してください。この館は善良な妖怪や魔物しか入る事ができないので」
「あ、そうなんですね」
んー...なんでだろう...彼女のいう「彼」に物凄い心当たりがある...
「とりあえずついてきてください」
「え?なんで?」
「なんでって...貴方、今日からこの家の住人なので」
「え...」
「あ、自己紹介を忘れていました。私はリアトリス・フォレストです。呼びやすい呼び方でいいですよ」
私は簡単に自己紹介をした後に彼女に振りました。
「えっと...私は天宮 時雨、中三の15歳です。よろしくお願いします」
「時雨さんですね、分かりました。これからよろしくお願いしますね」
「は、はい。それで...そのリアトリスさんって何者なんですか?」
「私...ですか?」
「は、はい」
聞かれたらちゃんと答える。それが人間ですよね...?
少し歩いた所に窓があったのでロックを外して押して開けました。
「今日の月は綺麗ですね」
「そ、そうですね」
時雨はソファーに座ったままでした。
すると涼しい風が吹いてきて私の長い銀髪が揺れました。
「私も突然変異種で日光以外の耐性をもって生まれてきたんです」
「は...はぁ...」
私は羽をだし、時雨の方を見ました。
「私はそんな吸血鬼なんです」
「え...」
「久々に誰かに笑顔を見せた気がします」
いえ、始めてでしょうか...
◇
「ふぁー...いまは、5時でしたか...おやすゴフッ」
なになになになに!?マジでなんですか!?重いんですけど!?
「リアス!!おーきーてー!今日は高校の始業式だよーー!」
「う...でも...まだ5時ですよ?そんなに急がなくても...」
おかげで起きてしまいました。
あれから一年ですか...時間というのは早く過ぎるんですね...ははは...今や私は高2...今日から先輩ですよ...
「んじゃ、はやく準備してね~」
「あ、はい...」
時雨は出ていきました。
ちなみに時雨が呼んでいる「リアス」ですが、最初の方はリアスさん、次はリアスちゃん、最終的にリアスで落ち着きました。
「私のスローライフは何処に...」
私はそう呟いて制服に着替え、朝食を食べたのでした...
そういえば私達は普通に学校に通っていますが、私がその学園長と知り合いだったのと入学してみないかと言われていたので交換条件で入学させてもらいました。
その交換条件が時雨も一緒に入学させてくださいというだけです。
ちなみにですが、時雨...中学校では超優秀で学級委員をやっていたり二年間生徒会に入り生徒会長を務めていたり、賞を何度ももらっていたり(主に陸上)...漢検、数検、英検はそれぞれ2級...これを見せつけられたら学園長も泡を吐きそうになっていました。
でも表では死んだことになっているので私の双子の妹として入学させてもらうのも追加させてもらいました。それに合わせて名前もルピナス・フォレストに変えました。由来は...調べてみてください。
「さて、ではそろそろ登校しますよ」
「はい」
学校に行くときはなるべく敬語にしてもらっています。いや、私が敬語を外すことはできるんですけどね...すっごい違和感しか残りませんよ?
違和感が感じられないように見た目だけ変えましたけど...主に血圧操作で...
「それじゃ転移陣に行きましょう!」
「急がなくても、転移陣はいつでも起動していますよ~」
この森は広いので外に行くには転移陣が必要なのです。転移陣はいろんな所につながっているので、その転移先を学校にして、移動します。
ちなみに私達が妖怪なのは周知の事実です。
あ、日傘を忘れていました。
「そんなんだろうと思って持ってきておきました!」
「あ、ありがとうございます」
わかりますか?私がこの子のキャラになろうと思ったらすっごい違和感しかないですよ...
「あ、そうだ。ちょーっと待ってくださいねー」
相変わらず陽キャである。
時雨...ルピナス...周りにはるーちゃんとか呼ばれているらしいけど、私はルースって呼んでいます。
ルースは私の髪を結わいてくれた。...ハーフアップの二つ結び...
「流石にやりすぎじゃないですか?」
「そうですかー?」
「はい...」
「あ、今日からはこれでお願いしますねー」
もうこれに決定してしまいました...
よし、転移しよう。
「転移かんりょーう!」
はい、秒で終わりました。ちなみに転移先は校庭の人があまりいない所です。まぁ流石にこの時間は誰もいないでしょう
「あ、リアトリスさんだー。おはようー」
よし、逃げましょう。えぇ、逃げます。とゆうか逃げさせてくださいお願いします。クッソなんで今日に限って校庭に転移しちゃったんですかねぇ!平和ボケでもしちゃいましたかねぇ?
「あの、莉桜さん?何故追いかけてくるのですか?」
「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪なんでだと思うー?」
「あ、貴方も女性ですよね?なんでパンツの下になにもはいていないんですか!!馬鹿なんですか!?」
東雲 梨桜、同級生。部活が同じ...ちなみに文芸部です。絵を描くだけですけどね。あと私の近づきたくない人一位です。
気づいたら捕まっていた...なんてこともあります。
「髪型変えたんだね!可愛いわ~!いやー、ねー、リアトリスさんの家って人間は絶対にたどり着けないようになっているから盗聴器仕掛けられなかったんだよね~」
と、現在進行形で捕まっています。
「あ、そういえばだけど、今年度もよろしくね~」
「ん?」
「ルースちゃんもそうだけど、同じクラスだからね~」
「あ、そうなんだ。んじゃこれからよろしくお願いしまーす」
私はなんにも言うことができませんでした。
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