Phase3-0『制約』
Phase3-0 22/12/5 投稿
さて。これでノートの情報の開示条件はほぼ出揃った。阻害される条件は、
ひとつ、ノートの内容を想起しようする。
ふたつ、想起した情報をノートのものだと関連付けする。
みっつ、ノートの情報を出力しようとする。
つまり、記憶した情報を『ノートのものである』と関連付けなければ思い出すことが可能なわけだ。
だから最初ヴェルと話していた時アルキリオの情報を思い出せたし、俺はキリアリスと会ったとき彼の事を理解できた。
そして、中央図書館でユグドラシルと第三遠征隊関連の事を思い出した際には関連付けてしまう前……想起に靄が掛かり始めた数秒の間に俺の記憶から一時的に『ノート』を自身で阻害することによって、『内容のみ』を引き出した。
……詠唱を使わずに魔術を行使出来る俺ならではの方法、だろう。いや、やる意味が無いだけで練習すれば誰でもできるようになるのだが。
この方法なら今まで以上にノートの情報を引き出すことが出来る。
……ただ、もちろんすべてを引き出せるわけではない。
俺は今、グングニルの情報をほとんど想起できる。
先ほどの方法で思い出したからだ。
しかし、この方法だと書かれているであろう未だ会っていない人物や土地の情報が引き出せない。
つまり、『書いてあることがわかっていれば思い出せるが、書いてあることがわかっていないものは思い出せない』ということ。
……なんとも面倒くさいルールだが、なるほど。やはり、というか当然と言うか。
このノートは『過去の俺が遺したもの』なのだろう。正確には、俺と同様過去のガーデンに飛んで。結局追い出された俺が、今の俺に宛てて遺したもの。
術式の高度さも、繊細さも、成長した俺の魔術であるというのなら幾分か納得が出来る。想起するための抜け道の作り方も俺らしいと言えば俺らしい。
……きっと、俺にはまだ想像できないほど魔術の研鑽をしたのだろう。
しかもこれを書いた時、今の俺のようにノートも何も無く手探りでこの世界で走り回っていたようだ。その苦労を考えるだけで胸が痛くなる。
「いったい、どう使えばいいんだろうな」
遺した俺もどう使えばいいかなんてわからなかっただろう。そんなもの、俺にだってわかるわけなんてない。
なら、せいぜい自分の正しいと思うタイミングで使うしかない。
たとえそれが、どういう結果になったとしても―――――。




