第81話 家族からの手紙
話しているうちに昼食の時間となり、キルス達は祖父母ということで遠慮することなく昼食を頂いた。
「おいしい」
「おとうさんのあじー」
「おんなじー」
「ふふっ、そう、よかったわ。あら、お口についてるわよ」
キャシアとミレアが嬉しそうにいうと、それを見ていたアメリアは優しく微笑みながら口元を汚してしまっていたキャシアの口元を拭いてあげた。
それを見ていたフェブロはファルコまで行かずとも強面を緩ませていた。
「たしかに、父さんと同じ味だな。ということは、元は祖母ちゃんの味ってわけか」
ファルコは今キルス達が食べているミートパイはファルコもよく作っている得意料理である。
実はそれはアメリアの得意料理であり、ファルコがスキだった料理でもあった。
だからこそ、ファルコもよく作るし、今アメリアも息子を思い出して作ったのであった。
「あのこは変わらないみたいね」
「うむ、そのようだな」
それから、食事を終え再びリビングのソファに座って話しの続きをすることとなった。
「あのね。あのね……スゥ」
「スゥ―、スヤァ」
話している最中にキャシアとミレアはそのまま眠ってしまった。
「あら、寝たわ」
「ああ、そっか、家では昼の後すぐに昼寝していたからな」
キャシアとミレアは寝つきがいい、そのためいつも昼寝をしている時間となり、眠くなってしまったのだろう。
「あらあら、そうなの、それじゃ、ベッドに運んであげましょうか」
「そうだな。どれ、ワシが運ぼう」
そういって、キャシアをフェブロが持ち上げた。
「じゃぁ、ミレアは俺が」
それを見たキルスは当然残ったミレアを運ぼうと立ち上がったが、それに待ったをかけたのはアメリアだ。
「キルス君、私に運ばせて頂戴」
「えっと、いいけど、重くない」
「大丈夫よ。ほらね」
ミレアは現在6歳20kgほどあるがさすが魔物が闊歩する世界だけあり、人間が強くできており、アメリアは軽々とミレアを抱えた。
それから、キルスをリビングに残し、フェブロとアメリアは2人して眠ってしまった孫を嬉しそうに抱えて出ていった。
しばらくして、ようやくといった時間となりフェブロとアメリアがリビングに戻ってきた。
「ふふっ、ごめんなさい、キルス君、待たせちゃったかしら」
「いや、おおかた予想はできるから、問題ないよ」
キルスの予想では、キャシアとミレアの寝顔を見て時間を忘れてしまったのだろうと、実際2人しばらく見つめていたから間違っていない。
「まさか、孫が、ここまで可愛い物とはな。トレベルの奴の言っていたことがわかったわ」
フェブロは以前から友人に孫のいる生活を自慢されていた。
それを苦々しくも思いながらも、自分にはわからないと思っていた。
しかし、実際に孫の姿を見て友人の言っていることがわかったのであった。
「それはよかった。連れてきたかいがあったみたいだ」
「そうだな。キルス、感謝するぞ」
「そうね。でも、キルス君だって、私たちの孫なのよ」
そういって、アメリアはキルスの頭を撫でた。
キルスとしては、この年になって頭を撫でられてもと照れ臭いが、甘んじて受け入れた。
「さて、では先ほどのつづきと行こうか、たしか、お前たちの母親が殲滅、いやレティアであるということだったな」
「ああ、それで、これ、母さんからの手紙」
そういって、キルスはマジックストレージからレティアからの手紙を取り出して見せた。
「うむ」
それを受け取ったフェブロとアメリアは読み込んでいった。
「んっ、キルス、ここに書いてある、子供の一部とはどういうことだ」
レティアからの手紙を読んでいたフェブロはそこに気になる文言があった。
それは、子供の一部をよろしくというものであった。
「えっと、ああ、これはそのままだよ。俺たちは3人じゃないからね」
「なに、それは本当か」
「あら、そうなの、それじゃ、何人いるのかしら」
孫が3人ではないと聞き、フェブロとアメリアは胸を躍らせた。
「全部で13人だよ」
「はっ!」
「えっ!!」
フェブロとアメリアは13人という数字に驚愕した。
「そ、それは、本当か」
「そうだよ。これがその俺たち以外の10人からの手紙ね」
そういって、キルスは姉弟全員分の手紙を10枚取り出して渡した。
それを見た、2人は絶句しながらも、ああ、確かに10人分あるなぁと思うのであった。
 




