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第70話 相棒の紹介

「また会えて嬉しぞ、シルヴァ―」

「クゥーン、クゥーン」


 キルスがそういうと、シルヴァ―もまた甘えるようにそういって吠えた。


「うん、うん、よかったねぇ。ああ、そうそう、キルス君はこれで従魔スキルを習得したから契約してあげてね。それじゃ、僕はそろそろ行くよ。じゃぁ、またね」


 そういってエリエルはふっと消えた。


「従魔スキルか、ほんとだ。いつの間に」


 エリエルに言われ自身のスキルを確認してみると確かに従魔スキルを習得していた。

 従魔スキルの習得条件は魔物に懐かれること、しかし、普通魔物に懐かれることはないために、滅多に習得できるスキルではない。


「まぁ、せっかくだし契約するか、シルヴァ―」

「バウン」


 シルヴァ―も従魔契約を嬉しそうに受け入れた。

 というわけでさっそく契約をすることにした。


『我が名はキルス、汝我に従え、汝の名はシルヴァ―』


 キルスは従魔スキルを発動させて、呪文を唱えてシルヴァ―に改めて名を与えた。


「アオーン」


 シルヴァ―が契約を受け入れ白く光り輝くと同時に遠吠えをした。


「これで、また、よろしくなシルヴァ―」

「バウン」


 こうして、キルスとシルヴァ―は従魔契約を果たしたのだった。


「それはそうと、シルヴァ―、縮小化スキルを使ってくれ。その大きさじゃ、なでられん」


 せっかく再会したのに、フェンリルであるシルヴァ―はあまりにもでか過ぎてこのままでは、キルスの手が全く届かない為になでることができない。そこで、フェンリルが持つスキルの1つである縮小化というスキルを使ってもらうことにした。


「バウ」


 シルヴァ―はキルスに言われた通り、スキルを発動、するとすぐにその巨大すぎる体躯が縮んでいき、あっという間に3mぐらいまで小さくなった。


「おお、これなら手が届くな」


 そういって、キルスは久しぶりにシルヴァ―を撫でまわすことができた。

 それを受けたシルヴァ―も目を細め嬉しそうだ。



 それからしばらくの間キルスとシルヴァ―は戯れていたが、さすがにそろそろ街に帰ることにした。

 といっても、縮小化で小さくなっていてもシルヴァ―の大きさは3mもあり、尚且つ魔狼だ。そんな存在が街に入れば当然パニックになる。

 そこで、仕方なしにシルヴァ―は街の外に置ていくことになったわけだが、当然シルヴァ―は寂しがり、それを見たキルスもまた寂しくなったが明日にでもすぐに会いに来るつもりであった。


 そんなわけで、手続きをして街まで帰ってきたキルスはすぐにハービー討伐の報告をするためにギルドに向かおうとした。


「あっ、キルス兄さん」

「ほんとだね」


 門を抜けたすぐのところでキルスは声をかけられた。


「兄さん、それにキレルまで、どうしたんだ」


 声をかけてきたのは、兄であるオルクと妹であるキレルだった。


「散歩してるの」


 キレルは嬉しそうにそういった。


「キレルがこの街に来てだいぶたったけど、これまで一度もこうやって一緒に出かけなかったからね。ラナさんに散歩してくるようにって言われたんだ」


 それを聞きキルスもしまったと思った。


「そういえば、俺も放ってたな」

「はははっ、そうだね」


 オルクも苦笑いしながら同意した。


「ははっ、えっと、ああ、そうだ。だったら、ちょうどいいや。兄さんキレル、ちょっと街の外まで付き合ってよ」


 キルスはシルヴァ―を2人に紹介するいい機会だと考えた。


「街の外、行きたい」

「いいけど、大丈夫なの、キルス」

「ああ、大丈夫だよ。外っていってもそこまで遠くないし」


 街の外に行けるとキレルは喜びオルクは少し心配しているようだが、キルスが大丈夫だと言ったことで安心してついて行くことにした。


 それから3人は街を出る手続きをして街の外に出た。



 そうして、街の外に出てから数十分、キルス達は街の近くにある森を抜け草原に出ていた。


「わぁ、すごい綺麗だね」

「ほんとだね。キルスのおかげだよ」


 この世界は魔物がうごめく危険な世界、街の外とは一歩でも出れば一般人には危険極まりない為、本当に用事のあるもの以外は滅多に出ない。


「ここらでいいかな」


 キルスはそうつぶやくと、立ち止まり息を1つしてから呼んだ。


「シルヴァ―」


 それを見たオルクとキレルは少し緊張した。

 というのも、ここに来るまでにキルスはオルクとキレルにシルヴァ―のことを話していた。

 といっても、話したのは今のところ巨大な狼であることやそれを従魔にしたことだけであった。


「バウ、バウ」


 キルスが呼ぶとすぐにシルヴァ―がやって来た。


「うぉう、シルヴァ―、さっきまで一緒にいただろ」


 シルヴァ―はよほどうれしいのかキルスに飛びついた。


「キルス」

「キルス兄さん」


 それに驚いたのはオルクとキレルであった。キルスが襲われたのかと思ったのだ。


「ああ、大丈夫だよ。それより、紹介するよ。名はシルヴァ―、種族はフェンリルといって、魔狼王と呼ばれるエンシェントドラゴンに匹敵する力を持っているんだ。それで、シルヴァ―、この2人は俺の今の家族で兄さんのオルクと妹のキレルだ。仲良くするんだぞ」


 キルスはそういってシルヴァ―を2人に紹介した。


「……なんだか、とんでもないことを聞いた気がするけど、まぁ、よろしくシルヴァ―」

「バウン」

「よろしくね。シルヴァ―」

「アウン」


 オルクは気になることがあるが、キルスだから問題ないだろうとし、キレルは驚きながらもシルヴァ―をいつの間にかなでていたし、シルヴァ―もそんなキレルがなでやすいように頭を低くしていた。

 こうして、キルスは相棒たるシルヴァ―を兄妹に紹介したのだった。

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