第47話 旅は道連れ
申し訳ない。
25話と26話が同じ内容で投稿していたようで、乾燥にてそう指摘を受け、急遽確認したところ、確かに同じものを投稿していました。
現在は修正済みです。
ご指摘ありがとうございます。
旅の途中キルスは突如剣戟の音を聞いた。
何だろうと、その場所に向かってみると、そこには盗賊に襲われている馬車とその持ち主であろう商人がおびえており、それを4人の冒険者が守りながら闘っていた。
しかし、多勢に無勢形成は不利であった。
「やばそうだな。キレル、お前はそこら辺に隠れていろ」
キルスはそういうと、キレルをその場において馬車に向かって歩き出した。
「う、うん、気を付けてね」
キレルも状況を理解し緊張しながらも素直にキルスのいうことを聞いた。
キルスが馬車に向かうと、馬車の護衛をしていた冒険者の1人がキルスに剣を向けて来た。
「クソッ、こっちからもか」
どうやら、警戒しすぎて近づいてきたキルスを盗賊と間違えたようだ。
「落ち着け、俺はキルス、通りすがりのDランク冒険者だ。何やら手こずっているみたいだからな。手助けはいるか」
キルスはそういってまず声をかけた。
これは冒険者のルールで、こういった他の冒険者が戦闘中で苦戦している場合、こう言って手助けがいるかを確認しなければならない。
それというのも、例えば確認せずに手を出したことで、得物を横取りしたなどのトラブルに発展することがあるからだ。
「手助けはいらねぇ、あっち行け、邪魔だ」
キルスが声をかけた冒険者の男は、明らかに自分より年下であるキルスに助けてもらう必要はないと邪険にしてきた。
「そうか、そうは見えないけどな」
手助けはいらないと言われた以上、ルールの通りキルスには何もすることができない。とはいえ、このままではどう見ても全滅するしかない状態であった。
もしこれが、冒険者だけでの戦闘であった場合はその冒険者の自業自得で済むが、今回のような護衛依頼の場合は変わってくる。冒険者がやられれば当然護衛対象も危なくなるからだ。
「ちょっと、何言っているの。お願い手伝ってくれる」
だからこそ、それをわかっていなかった男に変わって近くで戦闘中の仲間の援護をしていた女魔法使いが、キルスに助力を頼んだ。
「おい、お前何言っているんだよ」
だが、男はまだわかっていないのか、女魔法使いに食って掛かった。
「あんたこそ、何言っているのよ、こっちは、かなりやばいのよ。それに、今私たちは護衛の最中なんだから、まずは護衛対象の安全が最優先でしょうが」
「うっ」
正論に男がたじろいだ。
「というわけだから、お願い出来る」
「わかった、それじゃ、さっさと片付けるか」
そういうとキルスは、すぐに動いた。
その動きはまさに疾風のごときで、あっという間に近くの盗賊を切り捨てた。
「グワァ」
さらに続けざまに2人め3人目と切り捨てていく。
「ギャァ」
こうして次々に斬っていくキルスを見た盗賊達は逃げ出していく。
「逃がすかよ」
『氷杭』
キルスがそういうと氷の杭が逃げ出した盗賊たちをことごとく貫いた。
魔法を行使するには詠唱が必要となる。と言われているが、実際にはそうではない、ただ詠唱をすることで魔法の威力が増したり、制御がしやすくなるというだけだ。
そうはいっても、通常の魔法使いは魔力量が少ないために、詠唱をしなければ当然殺傷力が出ない、だからこそ彼らは詠唱を行っているのであった。
しかし、キルスは膨大な魔力量を誇る。そのため、詠唱をしなくても十分な威力を発揮できるというわけだ。
「えっ!」
キルスが詠唱もせずに魔法を行使したのを見た女魔法使いが驚愕した。
この魔法使いにとって魔法の行使には詠唱が必要不可欠であるという認識だからだった。
「まじかよ」
一方で、それまで盗賊に苦戦していた他の冒険者たちは、あっという間に盗賊を倒してしまったキルスの戦闘能力に驚愕していた。
「さて、とりあえず、終わったわけだけど、どうする」
キルスが聞いたのは、この盗賊たちがため込んでいるであろう宝をどうするかということだ。
盗賊というのは、大体アジトを持ちそこにこれまで盗んできたものをため込む、それらの所有権は通常盗賊を討伐したものにある。
だが、今回先に闘っていた冒険者がおり、キルスはそれを横から手を出した形となるために宝の所有権をどうするかの相談をする必要がった。
「まぁ、俺としてはそこまで金を必要としていないから、どっちでも良いけどな」
キルスは前回エンシェントドラゴンを討伐した。その素材を多少なりとも売っているのでキルスの資金はまさに潤沢であった。
「えっと、私たちは、その、あまりお金ないし、どうしようか」
「そりゃぁ、俺としても欲しいけど、良いのか」
「後で、よこせとかいうんじゃないだろうな」
最初にキルスと対した男は金をいらないといったキルスに訝しんだ。
「言わねぇよ。それより、あんたら、バイエルンまで行くんだろ」
この街道はバイエルンへの街道、そこをバイエルンに向かう形で止まっている馬車を見てキルスはそう思い聞いた。
「はい、さようです」
それに答えたのは、先ほどまでおびえていた商人だった。
「だったら、俺たちを乗せてもらえないか、バイドルから来たんだけど、馬車が無くてね」
「もちろん、私共は構いませんが……」
商人は、構わないと言いつつ冒険者たちを見た。
これは本来必要のない行為だ。冒険者たちはあくまで雇われなので、こういった確認をする必要がない、しかし、この商人は確認をした。それだけで、キルスにとっては好感を持てた。
「私たちは雇われなので、テレジンさん達がよければ問題ありませんよ」
次に応えたのは、冒険者達のリーダーだろうか、先ほどまで盗賊と戦闘してた剣士だった。
「そうか、助かる」
「あれ、そういえば、キルス君俺たちって、言ってたけど他に誰かいるの」
ここで、魔法使いの女が不思議に思い尋ねた。
「ああ、そうだな。おーい、キレル、もういいぞ」
キルスは隠れていたキレルを呼んだ。
「お、終わったの」
それを聞いたキレルは恐る恐るといった感じに物陰から出てきた。
「えっ、女の子!」
そんなキレルの登場に冒険者たちは驚愕した。




