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第46話 旅の2日目

25話と26話が同じなようでした。

12/24に修正しました。

 バイエルンへの旅立ったキルスとキレル兄妹、途中で馬車に出会えることを祈りつつ街道を歩いたが、結局会えずに夜を向かえてしまった。

 そんな翌日であった。


 キレルは冒険者ではないために、キルスがレティアから受け継いだテントでぐっすりと寝たが、キルスは見張りが必要なために寝ずの番をしていた。

 となると、当然朝食の準備もキルスがすることになる。


「おはよう、キルス兄さん」

「おう、おはよう、飯出来ているぞ」

「うん」


 キレルはこれまた嬉しそうにキルスから受け取った朝食を食べた。


「今日は、馬車に会えるかなぁ」

「どうだろうな。だが、まぁ、あと少し歩けば別の街との合流地点でもあるから、運が良ければ会えるだろ」


 今キルス達がいる場所はまだバイドルからそれほど離れてはいない、そのためにバイドルから出るかバイドルに向かうような馬車にしか出会えない。

 しかし、この先にある分岐点に着けばそこにはバイドルとは別の街からの馬車と出会える可能性があった。

 もちろん、この世界の馬車は定期的に出ているわけではなく、ある程度客などが溜まったり荷を積み終えたら出発となっている。

 だから、場合によってはその日全く馬車が走らないという日も珍しくはないのだった。


 それでも、会えればいいと思いながらも身支度を整えたキルス達は街道を歩き始めたのだった。



 街道を歩き始めて小一時間ほどが経った。


「あっ、あそこ、分かれ道があるよ」


 キレルが素早く見つけて分岐点まで走った。

 ちなみに、キレルは旅をするにはおかしい手ぶらであった。

 それにたいして、キルスは手ぶらというわけにはいかないので、一応適当に詰めた背嚢を背負っていた。


「あんまり、走ると転ぶぞ」


 キルスは周囲が安全であると確認しながら走るキレルにそういった。


「大丈夫ー」


 そういいつつ走りをやめない(キレル)にほほえましい気持ちになりながらキルスも追いかけた。


「バイエルンってどっち」


 道を見ながらキレルがキルスに尋ねた。


「ほら、ここに看板があるだろ。読んでみな」


 この世界の識字率は低い、特に平民だと特に多いが、キルスは冒険者であり、母であるレティアもまた元冒険者ということで当然文字の読み書きが出来る。

 そして、キルス一家はそんなレティアの教育の賜物か、家族内の識字率は高い。


「えっと、ああ、こっちだ。合ってる」


 キレルは正確に文字を読み取り正解を指さした。


「おう、合ってるぞ」

「やったね」


 まだ、文字の勉強中であるキレルは正解したことに喜んでいる。


「そんじゃ、行くか」

「あっ、待ってよ」


 そんな調子で歩き続けることさらに2時間が経過したころだった。


「ふぅ、疲れた。キルス兄さん、バイエルンはまだぁ」


 昨日から歩き詰めであるためにキレルは疲れていた。


「まだまだ。まぁ、今日は野宿じゃなくて宿場町になりそうだけどな」


 馬車であれば2日ばかりで着くが、歩きだと3日はかかる。このまま馬車に出会えなければ、到着は明日となる予定だった。


「うー、疲れたー」


 キレルはその場で座り込んでしまった。


「はぁ、仕方ないな、ちょっと休憩していくか」

「やった」


 休憩と聞いてキレルは喜んだ。


「旅って、こんなに疲れるんだね。キルス兄さん、よく毎回出来るよね」


 キレルが言っていることは最近のキルスが冒険者としてこうしたことをしているからだった。


「そりゃぁ、自分が好きで始めたことだからな。それになれればいい物だぞ。旅も……んっ」


 話している最中キルスは何かを感じた。


(剣戟? 誰かが闘っているのか?)


 キルスが聞いたのは、誰かが闘っているような剣戟の音だった。


「どうしたの、キルス兄さん?」


 キルスの様子がおかしくなったことでキレルが不安になり尋ねた。


「ああ、ちょっとな。キレル、ここから先は慎重に行くぞ。静かについてこい」

「う、うん」


 キルスの緊張がわかったのかキレルもさすがに疲れを忘れ緊張してうなずいた。



 そうして、少し歩くと、キレルの耳にも剣戟音が聞こえてきた。


「近いか、んっ、あれは……盗賊か、しかも馬車が襲われてるじゃねぇか」


 キルスが見たものは複数の盗賊に襲われる馬車の姿であった。

 もちろんその馬車には冒険者が護衛とついていてが、多勢に無勢押されていた。


「これは、ちとやばいかもな。キレルお前はそこらへんに隠れていろ」

「わかった。気を付けてね」

「おう」


 キルスはゆっくりと馬車に向かって歩き出した。

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