表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/237

第39話 ギルドマスターへの報告

 ようやくダンジョンから抜け出し、キルスを捜索に来たレティアやユビリスたちと再会を果たした。

 そのあと、大変な目に会ったからという理由で見張りが免除されたキルスは、同じく引退しているという理由から免除されたレティアとテント内で話をした。

 その内容は、キルスが落下してから再会するまでのことだ。その中には当然スキルの石碑、エンシェントドラゴンとの闘い、魔剣エスプリートの入手とマジックストレージの入手についてだった。

 これを聞いたレティアは、キルスがエンシェントドラゴンという最強のドラゴンと闘ったと聞いてよく無事であったと感心し、魔剣に驚愕し、マジックストレージに絶句した。


 そんな話をした翌日、キルス達はようやくバイドルに戻ってきた。


「おう、キルス、やっぱり無事だったみてぇだな」

「ドーラフか、危うく死にかけたけどな」

「嘘つけ、お前がそう簡単に死ぬかよ」


 ドーラフはキルスのセリフを冗談だと思ったようだ。キルスも別にドーラフに話さなければならないことではないとし、それ以上は何も言わずに別れた。



 そうして、門を通りギルドに帰ってきたわけだが、そこでさっそくキルスの存在を確認したニーナが走った。


「キー君!! ああ、よかった。心配したのよ」


 ニーナはそういいながらキルスを抱きしめた。


「ふぐっ」


 ニーナはキルスが落下したと聞いてから眠れなかった。仕事も半分ぐらいは手につかない状態であった。

 だからこそ、キルスの無事を知り喜び、我を忘れて抱きしめてしまった。

 そのせいか、キルスは現在ニーナの豊かな胸の中、柔らかいのはいいとしても、息ができなくなっていた。


「ニーナちゃん、そのくらいにしないと、キルスが持たないわよ」

「えっ! あっ」

「ふぅ、死ぬかと思った」


 レティアが苦笑いを浮かべながらそういったことで、ようやくキルスは解放された。


「ごめんね、キー君、でも、心配したんだからね」

「あははっ、大丈夫だよ、ニーナ姉さん。それとごめん」


 キルスは心配かけたことを詫びた。


「さて、キルス」

「うん、ニーナ姉さん、ギルマスに報告があるんだけど、今いいかな」

「ギルドマスターに、緊急?」


 ニーナもギルドマスターに報告と聞いて少し緊張した面持ちで尋ねた。

 通常ギルドマスターに報告するようなことはかなり重要なことが多いからだ。


「いや、緊急ではないけど、いろいろとね」


 キルスはさすがにここでは話せないと濁した。


「わかったわ、ちょっと待っててね」


 そういってニーナはギルドの奥に向かって走っていった。



 それから、少しも経たないうちにニーナが帰ってきた。


「キー君、小母さん、ギルドマスターが会うそうです」

「わかった」

「そう、ああ、そうだ、ニーナちゃんも来なさい、聞きたいでしょ」

「えっ、でも」


 レティアがニーナも誘ったが、ニーナは仕事中ということもあり、どうしようかとあたりを見渡して、上司であるレイチェルを見た。


「いいでしょ、レイチェル」


 それを見たレティアがかつて自分の担当であり、現在は受付嬢をはじめとしたギルドのフロアを統括する立場となったレイチェルに聞いた。


「そうですね。ニーナも気になるでしょうから、構いませんよ」


 ということで、ニーナを含めた3人でギルドマスター室へと向かった。



「ギルドマスター、ニーナです、キルスさんとレティアさんをお連れしました」


 さすがのニーナもこの時ばかりはキルスさんと呼んでいる。


「おう、入れ」


 すると中から男の声が響いた。


「失礼します」


 そう返事をしてからニーナは扉を開けた。


「久しぶりね。ブレン」

「ああ、殲滅も相変わらずみたいだな」


 レティアとブレンは知り合いだった。


「キルスの坊主も無事だったみたいで何よりじゃねぇか」


 実はキルスとも元々知り合いだった。

 それというのも、ブレンはよくニーナの父親であるナリフに連れられてファルコ食堂にやってきていた。

 そこには当然キルスとレティアがいるために何度か話をしていたし、キルスもブレンおじさんと呼び親しくしていた。


「どうした、何か報告がどうのっていってたけど、あの洞窟に何かあったか」


 いくらギルドマスターとはいえたとえ知り合いだったとしても、一冒険者がどんな依頼を受けたかということは聞かない、しかしキルスが洞窟調査に行って落下したというトラブルの報告を受けていた。


「ああ、まずはあの地下なんだけど、どうやらダンジョンがあったらしい。母さんも知らないって話だから、ギルドも把握はしてないだろ」

「なにっ、ダンジョンだと。それは本当か!」


 やはり初耳だったらしくブレンも驚愕していた。


「ああ、しかも……」


 キルスはその後、スタイラエルダンジョンとその最下層に鎮座していたエンシェントドラゴンについて話した。

 その際、前日にレティアとの相談でスキルの石碑や魔剣、マジックストレージのことは黙っていた方がいいとなった。


「……まじか、エンシェント、ドラゴンって、ありえないだろ」


 ブレンのとってはエンシェントドラゴンだけでも驚愕の事実だった。


「まぁ、そのドラゴンは運よく倒すことはできて、その奥にあった宝物は手に入れたけどな」

「宝物か、一体どんな物だ」


 ブレンは宝物と聞いてそれが何か気になったようだ。


「それについては、聞かないほうがいいわよ」


 そこにこれまで黙っていたレティアが忠告した。


「どういうことだ、殲滅」

「これをめぐって、かつて戦争が勃発しかけたらしい」

「!!?」


 さすがに戦争と聞いてブレンもこれ以上聞くと危険だと感じた。


「なるほどな確かに、これ以上は聞かねぇほうがいいか、それにしても、よくエンシェントドラゴンを倒せたな」


 ここで、ブレンはキルスがどうやってエンシェントドラゴンを討伐したのかという話に切り替えた。

 もっとも、それを聞いたニーナは気が気ではなかったが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ