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第34話 一方そのころ

 キルスがエンシェントドラゴンとの死闘を繰り広げているころ。


 キルスが穴に落下したことをギルドに伝えるために、バイドルに向かったシレイたち3人娘がようやくバイドルにたどり着いた。


「おう、おまえら、ユビリスんとこのハーレムじゃねぇか、どうした」


 街の門にたどり着くと、門番であり、キルスやユビリスとともにガイドルフの元で修行をしていたドーラフがいた。


「あっ、えっと、ドーラフだっけ、大変なのよ」

「何かあったのか、たしか、お前ら、キルスと一緒にって、そういえばキルスとユビリスはどうした」


 ドーラフも何か異常を感じて尋ねた。


「うん、キルス君が穴に落ちて、早くギルドに伝えないと」

「穴? なんだそれ、まぁ、いい、とにかく通りな」


 ドーラフも手早く手続きを済ませて3人を通らした。



 そうして、やって来たギルドに入るなり3人は呼ばれた。


「シレイさん、何かありましたか?」


 3人娘しかいないことにニーナが素早く訝しんで尋ねた。


「あっ、ニーナさん。はい、実は、その、キルス君が」

「キー君が、一体、何があったの」


 ニーナもキルスのことということで、食い気味に聞いた。


「はい、えっと、その、調査が終わって、休憩しようってことになってんですけど、底が急に抜けて、そこに落ちてしまって」

「私も、一緒に落ちたんですけど、キルス君、私を助けてくれて」


 キルスに助けられたシレイが悲痛な表情でそういった。


「そう、……わかりました、とにかく3人とも休んでください。セーラ、私ちょっと実家に知らせてくるから、捜索隊の依頼出しておいてくれる」


 ニーナは素早く隣に居た同僚であるセーラにキルスの捜索する人員募集の依頼を出すように頼んでから実家、つまりはファルコ食堂に知らせるために立ち上がった。



 そうして、帰ってきたファルコ食堂にニーナが飛び込んできた。


「いらっしゃ、って、ニーナじゃない、どうしたの」


 ニーナが食堂に入るとそこには給仕中のエミルがいたが、ニーナの様子を見て何かあったことを悟った。


「うん、エミル、キー君が大変なのよ」


 ニーナは先ほどギルド内では少し落ち着いた対応をしていたが、今はかなり焦っている。


「落ち着きなさい、ニーナちゃん、どうしたの、キルスに何かあったんでしょ」


 ニーナの様子からキルスになにかあったと悟ったレティアがそういった。


「はい、実は、先ほどキー君と一緒に洞窟調査に行っていたシレイさんたちが帰ってきて、キー君が穴に落ちたって」

「穴?」


 これだけの説明ではよくわからなかったが、その後ニーナが詳しく説明した。

 それにより、エミルとレティアも状況が分かったのだった。


「そう、なるほどね」

「そんな、キルスは、大丈夫なの」

「シレイさんたちの話だと、遠声の魔法で無事だって、けがはないって」


 怪我がないことを聞いてエミルとレティアはほっとした。


「でも、相当深いらしくて、穴から出てくることは出来なくて別の道を探すって、言ってきたそうなんです」

「深いって、どのくらい?」


 さすがのレティアも少し心配になってきた。


「シレイさんたちによると、下を覗いたけど、真っ暗で何も見えなくて、遠声の魔法も数分経ってからあったそうです」

「数分、あの子のことだから落ちてすぐに連絡をしているはずだから、相当深いわね」

「お母さん」


 レティアも何よりもエミルはかなり心配している。

 それはそうだろう、2人は当然キルスのことはわかっている、それでもそれだけ深いと出てくるのは大変なのはわかっていた。


「わかったわ、とりあえず私もその洞窟に行くわ。ファルコ」

「なんだい?」


 レティアがそういうと奥の厨房からファルコの声がした。

 ここで、ファルコが出てこないのは、まだ営業中であり客が多くいるからである。


「キルスにトラブルみたいだから、私ちょっと行ってくるわ。詳しくはエミルから聞いてくれる」

「わかったよ。気を付けてね」


 ファルコもトラブルと聞いて心配になったが、レティアの声にそこまでの緊迫感がなかったために、すぐに了承した。


「それじゃ、ニーナちゃん、私は準備をしていくから先にギルドに行っててくれる」

「はい」


 それから、ニーナはすぐにギルドに向かい、レティアも手早く店の奥の自宅に戻り準備をしてから、ギルドに向かった。



 レティアがギルドに着くと、ニーナとシレイ達3人娘が駆け寄ってきた。


「おばさん、この子達がシレイさんとコルンさん、リンナさんです」


 ニーナはすぐに3人娘を紹介した。


「そう、私は、キルスの母でレティアよ、よろしく」

「はい、よろしくお願いします。それと、ごめんなさい、私のせいで、その……」


 シレイは、レティアにすぐに謝罪した。


「気にしなくてもいいわよ、あの子がしたことだしね。それに、あの子のことだから、自力で出てくると思うし、まぁ、相当深いって話だから、こちらからも探した方がいいと思うけどね」


 レティアはキルスの能力を信用しているために少ししか心配していないし、シレイ達のことについても全く悪いとは思っていなかった。


「それより、知らせに来てくれてありがとう、あなたたちは、休んでてもいいわよ」

「いえ、私たちも行きます、ユビリスもまだ洞窟にいますし、やっぱり臨時とはいえ、仲間ですから」

「そう、ありがとう、それじゃ、出発まで、もう少しかかると思うし、すこしの間でも休んでおきなさい」


 レティアは最後には先輩冒険者としての助言をしてからニーナに尋ねた。


「それでニーナちゃん、捜索隊は集まったの」

「はい、といっても2人だけですけど」


 それから数分後、レティアを中心としたキルス捜索隊はバイドルを出発した。

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