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第186話 家族会議01

 突然貴族とされたキルスは、混乱する中家路についた。

 その方法はいつものように転移スキル、王都から一旦出て人目のない場所までやってくるとシルヴァーとともに転移した。


「あっ、キルにーちゃ!」

「ほんとだー、おかりー」


 キルスが転移した先は自宅の庭、その時ちょうど庭で遊んでいたルニアとアルエがキルスに気が付いて、飛びついてきた。


「おおう、ただいま、姉さんたちは?」

「おみせー」

「あらあら、キルス君、おかえり」

「ばあちゃん、ただいま」


 庭での騒ぎを聞き、何事かと思って出てきたアメリアがキルスをみて顔をほころばせながらやってきた。


「キルス君、けがはしてない」

「ああ、大丈夫だよ。ばあちゃん、俺もシルヴァーもケガはしてない、まぁ、それより面倒なことにはなったけど……」

「面倒? 何かあったの?」


 アメリアは心配そうに聞いてきた。


「まぁね。でも、これは家族みんなに話す必要があるから」

「そう、そうね。それじゃ、みんなを呼んだほうがいいかしら?」

「ああ、これはなるべく早く話したほうがいいし」


 ことがことなだけに早めに話したいキルスであった。


「キルス!」


 キルスがアメリアと話をしていると、店の方からバタバタと音が聞こえたと思ったら、エミルが庭に飛び出してきた。


「ね、姉さん!?」


 そして、キルスに抱きついた。


「けがとかしてない、痛いところとかない、大丈夫?」


 エミルは矢継ぎ早にキルスに質問しつつ、キルスの体をペタペタと触りつつ確認していった。


「だい、大丈夫だよ姉さん、けがなんてしてないって」


 キルスは若干困惑しながらも、ここまで心配してくれた姉の行動にうれしさを感じて、家に帰ってきたと思ったのだった。


「そう、よかったぁ。シルヴァーも大丈夫」

「バ、バウン、バウ」


 キルスが大丈夫だと確認すると、今度はすぐにシルヴァーのもとに向かい確認を始めた。

 そうして、シルヴァーの身にもけがらしいものがないことが確認したところで、ようやく2人は解放されたのだった。


「おかえり、キルス、どうだった?」


 レティアもやってきて、キルスに戦争のことを訪ねてきた。


「母さん、ただいま、結構厄介だったよ。俺たちが倒したのは魔獣軍団がほとんどだったけど、どれもBは超えてた」

「Bを、それはまた厄介ね。でも、楽しそうではあるわね」

「まっ、それなりにはね。ていうか、戦争より厄介なことがあってね」

「戦争よりって、何があったの、キルス」

「その話がしたいから、みんなを集める必要があるんだよ。というわけだから、キレル、ニーナ姉さん呼んできてくれ、あと、ロイタ、ちびどもを頼む」

「わかった」

「うん」


 キルスの指示にキレルとロイタが動き出した。


「俺はシュレリーたちを呼んでくるよ」

「ああ、まってキルス、それあたしたち行ってくるよ」


 そこに立候補したのは玲奈と幸であった。


「キルスさんは帰ってきたばかりでお疲れでしょうから、私たちで迎えに行ってきます」

「そうそう、というわけで、あたしおじいちゃんたち呼んでくるから、さっちゃんはシュレリーさんと行ってきて」

「はい」


 こうして、玲奈と幸はトーライドへと飛んだ。

 それから、小一時間ほど経った頃だろうか、臨時休業としたファルコ食堂にキルスたち家族、トーライドの家族たちが全員集まったのだった。

 もちろん、彼らの目の前にはファルコとオルク手製の、料理が並んでいる。


「それじゃ、まずは、我が国の勝利およびキルスとシルヴァーの帰還を祝って、乾杯!」

「かんぱーい!!」


 本来は家主であるファルコがやるべきことだが、その父フェブロが代わりに音頭をとる。


 それから、キルスは戦場でのことなどを質問されるがままに話していった。


「……キルス、そろそろ俺たちを集めた理由を話してもらえるか?」


 ここで、コルスが代表して集められた理由をそろそろ話すようにとキルスに告げた。


「そうだな。えっと、さっきも話したように、俺とシルヴァーは魔獣軍団を倒したわけだけど、そのおかげで帝国を追い払って、逆侵攻で街を1つ落とすことができたわけだ」


 キルスはまず、自分がやったことを簡単に説明した。


「それで、その報告に王城に戻って、謁見することとなって、陛下から、叙爵されたんだ。爵位は男爵、さらに今度の戦いで手に入れたオルスタンって街まで下賜されたんだ」


 それから、これまた簡単に叙爵されたことを説明したのだった。


「なっ!!」

「馬鹿な!!」

「今、なんて行ったの? キルス?!」


 これには家族全員が驚き混乱した。それはそうだろう、キルスをはじめ一家は全員平民、その平民が爵位をもらうなどありえないからだ。

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