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第182話 魔獣軍団vsキルス

 シルヴァーが魔獣軍団と戦いという名の蹂躙を繰り広げているころ、そのシルヴァーから降りたキルスもまた5匹の魔獣に囲まれていた。


「さてと、こっちもやるか」


 キルスは抜きはなったエスプリートを肩に担いで首をコキっと鳴らしながらそう言った。

 その瞬間、囲んでいた魔獣の1体が構わずキルスに襲い掛かる。


「うぉっと、アブねぇな」


 キルスも襲ってくることは予想していたので、問題なくそれをよける。


「グギャォオオォォ」


 そんなよけたキルスめがけて次の魔獣が……。


 こうして、突如始まったキルスの戦いは、まず魔獣が攻撃、それをキルスがよけていくという状況となった。

 もちろんキルスもすべて余裕でよけ続けていったのである。



「おいおい、みろよ、あいつ、おとなしくフェンリルに乗っていればいいのによ」

「ほんとほんと、あいつ馬鹿だよな」


 そう話しているのは、味方の冒険者たちだ。

 彼らは、冒険者になって10年以上も立っているにもかかわらず、いまだCランクであっさりBランクに昇格していたキルスを面白くないと思っていた。


「どうせ、あのフェンリルのおかげだろ」

「まったくだぜ」


 そして、彼らはキルスが虎の威を借るキツネのごとく、フェンリルであるシルヴァーの威を借りてBランクになったと思っていた。



 そんな会話が味方側で行われていることなど知らないキルスは、いまだに魔獣5匹の攻撃をよけ続けていた。


「よっ、ほっと、ふぅ、よけるのもちょっと飽きてきたな」


 そうつぶやいた瞬間、キルスはおもむろに剣を振り下ろす。


「グギャァ」


 それにより、魔獣の一体が両断された。



「……馬鹿な!」


 そんな様子を見ていた帝国側の兵士は唖然とした。

 それは、王国側も同じだった。

 というのも、魔獣軍団はある特殊なスキルにより操っているわけだが、その際にその魔獣が本来持つ能力の数倍の力を出すことができる。

 そのため、王国側も多大な犠牲をだし、ようやく3匹の魔獣を倒すことができたのだった。

 それを、キルスは何気なくあっさりと1匹倒してしまったのには驚愕せざるを得ないだろう。



「グワァァァアァ」


 残り4匹の魔獣が一斉にキルスにとびかかる。

 それを、キルスは距離を開けるように飛び上がると、そのうちの2匹が固まっている場所に向けて手をかざす。


「火炎球!」


 詠唱もなく炎の魔法を発動。それは、まっすぐ魔獣にあたると爆発した。


「ギャァァアァア!!」


 その爆発に巻き込まれて、2匹の魔獣がダメージを負ったが、倒すことはできなかった。

 しかし、すぐにキルスは接近、エスプリートに魔力をこめて、続けざまに2匹にとどめを刺した。


「あと、2匹」

「グワギャァァ!!!」


 あっという間に仲間がやられたからか、残り2匹の魔獣たちは咆哮をあげた。

 このままでは、このちっぽけな人間にやられてしまう、それだけは許せない、何より主の命令である王国との戦争の勝利がかなわなくなる。

 それだけは、何があっても阻止しなくてはならない。

 そう思った、魔獣たちは左右から同時にキルスに襲い掛かる。


 それを見たキルスはまず左から襲ってきた魔獣をエスプリートで受け流しつつ、蹴りつけた。

 そうなると、当然右側からくる魔獣に対して無防備になる。

 しかし、キルスはそんなこと意に返さず魔法を発動。


「土杭!!」


 キルスが発動した土杭は右から迫ってきていた魔獣を襲うも、魔獣は発動前に察知しバックステップ、よけてしまった。


「へぇ、やるな」


 キルスもこうもよけられるとは、思ってはいなかったこともあり驚いた。

 そんなキルスに対して、魔獣が爪を立てる。

 それを、キルスはエスプリートで受けとめた。


 それから、キルスと魔獣2匹はお互いに攻防を繰り返していった。

 その戦いは、まさに圧巻、両陣営の兵士も冒険者も騎士もすべてが唖然としていた。

 帝国側は、まさか虎の子である魔獣とこうも互角以上に戦える人間がいることに、王国側は、これまで散々苦労してきた魔獣とあそこまで戦えている事実に驚愕していた。


「うぉぉぉぉおぅ、すげぇ、すげぇぞ、あいつ」

「嘘だろ、あいつ、強すぎだろ」


 王国陣営はわいた。


「そろそろ、終わらせるか」


 キルスはそうつぶやいたあと、エスプリートに炎をまとわせる。

 魔法剣である。


 その魔法剣を持ったキルスは一気に一体の魔獣に接近し斬りつけた。


「グワギャァァァ!!」


 斬られた、魔獣が燃える中、続いて2体目の魔獣に一瞬で接近しこれもまた斬りつけたことでこれまた炎上、これにてキルスと魔獣5匹との戦いは終了したのだった。

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