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第168話 姉さんを救え

 新しいスキルである詠唱破棄を得たキルスは、その力を試すためオーガを討伐した。

 その報告をシュレリーにしている時、ふとマジックストレージに緊急とかかれた手紙が入れられた。


 何だろうと、取り出し見てみると、そこにはとんでもないことが書かれており、キルスは驚愕した。


「はっ、なんで、えっ、どういうことだ?」

「ど、ど、どうしよう、キルス君、え、えっと、なんで?」


 手紙を読んだキルスとシュレリーはともに混乱した。


「ほんと、どういうことだよ。なんで、姉さんが?」


 意味が分からない、キルスとシュレリーは同時にそう思った。

 それはそうだろう、キルスの姉エミルは、いうなれば品行方正、美しい容姿だけでなくその性格もおしとやかで明るく、誰からも好かれている女性だ。

 誰かから恨みを買うことも無ければ、何より、逮捕されるといったことから最も遠い存在に思えた。

 そんなエミルだからこそ、キルスをはじめ弟妹達はエミルに逆らうことができない。


「そ、そうよ。どうして、エミルが?」


 余りに意味がわからないので、キルスとシュレリーの混乱は増すばかりであった。


「と、とにかく、情報を集めなきゃ、私は伯父さんを通して調べてみるわ。キルス君は、すぐにお家に帰って!」


 シュレリーは今だ混乱しているようで、ギルドマスターのことを伯父と呼んでしまっていたが、それに気が付いていない。


「お、おう、わかった、ああっ、そうだ、爺ちゃんたちにも報せないと」

「そっちも、私がしておくから、急いで!」


 祖父母であるコルスとレーラにも知ら背用と考えたキルスだったが、そこはシュレリーが報せるから、キルスはすぐに家に帰るようにと従姉として指示を出す。


「わかった、なにか分かったら知らせる」

「ええ、お願い、私も報せるわ」


 こうして、いまだ混乱する中、キルスは急いでギルドの外に出た。


「シルヴァ―、緊急事態だ。すぐに帰るぞ!」

「バウ? バウ、バウ」


 一瞬シルヴァ―もわからず首を傾げたが、キルスの様子を見て、すぐに動き出した。



 それから、キルスとシルヴァ―はすぐに街の外に出て、街道をそれたところで、すぐに転移した。


「ただいまぁ」


 キルスが転移した場所は自宅の庭だ。

 そこには、キレルがいた。


「キルス兄さん、姉さんが、姉さんが……」

「ああ、手紙をみた、詳しく教えてくれ」


 キルスが聞くとキレルは涙目になりながら説明した。


「え、えっとね、いつものようにお店やってたら。そしたら……」



 キレルの説明はあまり要点を得られなかったために、改めて説明する。

 いつもの日常、そんな時間が流れていた。

 だが、小一時間ほど前、突如国軍兵士だと名乗る集団が見せにやって来た。

 その時応対したのが、エミルだった。

 兵士は、エミルを見るなり尋ねた。


「お前が、エミルだな」

「えっ、は、はい、そうですが、何でしょうか?」


 最初こそ驚いたエミルであったが、すぐにいつもの営業スマイルで応対した。


「機密情報窃盗の容疑で逮捕する」

「えっ!」


 突然のことに理解ができないエミルだった。

 だが、そんな混乱しているエミルをおいて、2人の兵士がエミルの腕をとりそのまま連行しようとした。


「ちょっと、あんたたち何するの!」


 そこにサーランを抱いたレティアがやって来た。


「お母さん!」

「我々は、国軍の兵士だ。逆らえばお前も逮捕するぞ」

「それが、どうしたって言うのよ。エミルを放しなさい」


 レティアにとっては国軍兵士が銅のというより、娘の方が重要であった。


「レ、レティア、落ち着いて、この人たちは、間違いなく国軍の兵士だから」

「それが、何よ!」


 ファルコがやってきてレティアを抑えようとするがレティアは止まらない。


「放して、ファルコ」

「せ、説明してください、娘が何を下というのですか?」


 レティアを抑えるファルコだったが、当然エミルが逮捕されていることに納得がいっているわけではないために、兵士に珍しく強気で尋ねた。


「この娘は、ある商会の機密を盗み出した疑いがかかっている。これより王都にて裁判を行う」


 兵士はそう告げた。


「機密を盗んだですって、エミルがそんなことするわけないでしょう」

「そうだね。でも、裁判をするというのだから、そこではっきりわかるはずだよ。エミルはそんなことをしていないって」


 普段おどおどしているファルコだったが、さすがに娘の危機、しっかりと言葉を紡いでいた。


「ファルコ」

「お父さん」


 そうした、やり取りがあったが、結局国軍の兵士に逆らうことはできず、結局はエミルは連れていかれたのだった。



「……ということなの。ねぇ、キルス兄さん、姉さん、大丈夫だよね」


 話し終えたキレルは、不安げな表情でキルスを見つめた。


「ああ、大丈夫だ。そもそも姉さんはそんなことしてないからな。俺も色々手を尽くして姉さんを救うさ」


 こうして、突如逮捕された姉を救うべく、キルスは奔走することになるだった。

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[良い点] なんだか、トラブルが起こってまいりました。 [一言] どう考えても「石鹸」の事では?
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