第131話 オークの殲滅
「なんだとー!」
案の定情報を持ち帰ったところ、女性冒険者たちは憤慨した。
「それで、規模は?」
「え、えっと、その……」
女性冒険者たちの形相にたじろぎ、しどろもどろとなった男性冒険者に代わり、キルスが説明を始める。
「規模はかなりだな、確かに、あれなら上位種はもちろん、キングもいるだろうな。実際に集落の奥の方にただならぬ気配がした」
「キング……」
キルスがキングがいるといった途端、憤慨していた女性冒険者たちもさすがに怖気ついた。
オークキングという魔物は、オークの最上位種で、通常のオークが脅威度Dなら、上位種となるとCとなり、キングまで上がるとBまで上がってしまう。
つまり、冒険者ランクでいえばB相当でなければ闘えないのだ。
「まぁ、キングをはじめとした上位種は俺とシルヴァ―で引き受けるから、みんなは他のオークの討伐と、おそらく捕まっている女性陣の保護を頼む」
「ああ、そうだね。たしか、あんたはBランクで、従魔がフェンリルだったね。わかったよ、任せてもいいかな」
「おう、任せろ」
そういうことで、その日は夜まで待ってオークの集落に夜襲を仕かけることとなった。
そうして、夜。
「それじゃ、最後に作戦の確認だよ」
夜襲を仕かける前、指揮を取ることとなった女性冒険者のサミアナが、小声でありながら全体に響く声で作戦の確認をしていく。
「……以上だ。さぁ、みんなぁ、やるよー」
「おおー」
こうして始まったオークの集落襲撃開始である。
襲撃は、まず、遠距離から弓や魔法での攻撃となった。
俺はシルヴァ―とともにそれを陽動として集落の奥、キングがいると思える場所に向かってひそかに進んでいた。
「今だー、いけー」
奥に進んでいると、集落入り口からそんな声とともに、集まっていた冒険者が一気に攻め込んだ。
「始まったか、それじゃ、俺たちも行くぞ、シルヴァ―」
「バウン」
キルスとシルヴァ―も気合を入れて、集落の一番奥、キングがいると思われる建物の前にやって来た。
「グワァァ」
キルスが、到着したまさにその時、建物の中から、数体の上位種が現れた。
「オークメイジか」
キルスはそういうと腰からエスプリートを抜き放ち、素早く接近。
「グギャァァ」
「もういっちょ!」
キルスは立て続けに2匹3匹と、オークメイジを倒し、続いて出てきた、オークファイターをも瞬殺していく。
「グガ?」
一方で、突然仲間が倒されていく様子を見ていたオークアーチャーは、背後からやってきていたシルヴァ―が、まさに魔狼の如く文字通り喰いつかれていた。
こうして、あっという間に上位種を数体討伐したキルス達であったが、その間にオークジェネラルとオークキングが出てきた。
「グギャ、グギャ」
オークジェネラル達は、キルスを見て警戒を強め、自分たちの王であるオークキングを守ろうと前に出る。
「オークジェネラルか、シルヴァ―、もう一体を頼む」
「バウ!、グルルゥ」
シルヴァ―は機嫌よくキルスに返事をすると、自分の目の前にいるオークジェネラルに向かい威嚇のために喉を鳴らす。
その声に一瞬ひるむも、果敢にも2匹のオークジェネラルは、それぞれ目の前のキルスとシルヴァ―に向かって行く。
オークジェネラルが持つのは剣、それを構えてキルス達に斬りかかる。
(そういえば、いつも思うけど、こいつらの武器って何処から出てくるんだろうな)
オークをはじめ、人型の魔物はなぜか武器を持っているものが多い、ゴブリンのように、木の棒であったり、人間の物を拾った場合もあるが、それ以外の魔物は大抵自前の武器を持つ。
それが一体、何処から出てくるものなのか、そんなたわいもないことを考える余裕がキルスにはあった。
その証拠に、キルスは特に何をするわけでもなく、あっさりとオークジェネラルの剣を余裕を持ってよけ一閃。
「グギャァァァァ」
悲鳴をあげてオークジェネラルは両断された。
いっぽうで、シルヴァ―もキルスとほぼ同じ頃にオークジェネラルを食いちぎっていた。
「さて、あとは、オークキングだが、あれ?」
キルスがオークジェネラルに気を取られている一瞬のことであった、オークジェネラルの背後にいたはずのオークキングの姿が、見当たらなくなった。
「バウン、バ、バウ」
とはいえ、見失ったのは一瞬で、すぐにシルヴァ―が匂いを見つけ顔を向ける。
その方を見てみると、慌てて逃げるオークキングの姿であった。
「逃がすかよ」
『風よ。汝は鋭い、鋭き刃、その刃にて我の敵を斬れ 風刃』
「グギャァ!」
キルスが放った風刃は、まっすぐにオークキングの背中に当たった。
しかし、さすがはオークキング、それだけで身体が切断されることはなく、痛みに止まるだけであった。
だが、それでも、キルスには大きな隙となり、すぐさま追いかける。
『風よ。我が剣に纏え』
キルスはエスプリートに風を纏わせる。
そして、横に一閃。
こうして、オークキングはキルスと闘うこともなく、あっという間に倒された。
「ウォォォォォゥ」
まさに、その時集落の方からもそんな少々甲高い歓喜の声が響いた。
「どうやら、向こうも終わったみたいだな」




