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第129話 緊急依頼

 カルナート王国王都エイドル、街に入ったキルスが見たのは、キルスがこれまで見てきたどの街とは違い、男女の立場が逆転した街であった。


 そんな街の中を歩くとやはりキルスはシルヴァ―を連れているだけあり目立っていた。

 通りすがる人すべてが、シルヴァ―を見てぎょっとしたり、慌てて逃げ出したりとなっていた。

 それでも、警備兵が飛んでこないあたり、シルヴァ―の首にある従魔石を理解しているということだろう。

 そうこしていると、キルスの目の前に冒険者ギルドが見えてきた。


「ギルドの外観ってのは何処も一緒なんだな」


 そんなことをつぶやきながらキルスはシルヴァ―を厩舎に預けてからギルドの扉を開け中に入っていった。


 中に入ったキルスが見たものは、これまで見てきたギルドと全く同じ構造だ。

 そのため迷わずキルスは受付に向かう。

 その途中にある酒場では、数人の女性冒険者が食事をするか、昼から酒を飲むかしていた。


「こういうのは何処も一緒だな。まぁ、女ばっかだけど」


 ちなみに、給仕をしているのは女性ではなく男性で、ちらほらいる男性冒険者もなんだかひ弱そうな者たちが多かった。

 ただ、やはり女性が強いだけあって、街中もギルド内にも、キリエルンのどの街よりもなんだか綺麗で、あまりゴミが落ちていなかった。

 余談だが、キリエルンのギルド内も働くの職員に女性が多いだけあり、定期的に掃除が行われている。

 だが、荒くれの男性冒険者があっという間に汚したりごみをまき散らしているのである。キルスは以前そういったボヤキをニーナから聞かされていた。


 とまぁ、そんなギルドを歩いてい受付に向かうキルスは注目されていた。

 この街で男性冒険者が1人でいることはかなり珍しい、ほとんどが女性冒険者たちとパーティーを組んでいるからだ。

 といっても、多くのものが考えるようなハーレムというわけではない。なにせ、その男性冒険者はちやほらされるのではなく、荷物ちなどにされるからだ。

 とはいえ、キルスの場合はまだ15歳ということもあり、見た目が幼い、そして、なにより登録が15歳からというわけで、多くの者たちがキルスがこれから冒険者登録をするのではと注目しているのであった。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか」


 受付にいたのは、受付嬢、ではなく男性だった。

 それも、キルスが見て一瞬ムッとするほどのイケメンであった。


「ああ、移動報告と、こいつの情報が欲しい」


 そういってキルスはギルドカードと依頼書を提示した。


「えっ、はい、少々お待ちください。……えっ!!」


 受付の男性はキルスが提示したギルドカードを確認して我が目を疑った。

 というのも、まず、この受付もキルスが登録に来たのかと思っていた。しかし、移動報告という、なら、Dランクとかかと思って確認すると、そこにはBランクと表示されていたから、その驚愕もひとしおである。


「へぇ、あなたすでに冒険者なんだ。てっきり、登録かとおもったわよ」

「うん、うん、確かに」

「まだ、若そうだよねー」


 ここにきて、女性冒険者が3人キルスに声をかけてきた。


「っち、出遅れた」


 その後ろでは悔しそうに歯噛する女性冒険者がいた。

 このように声をかけるときは早い者勝ちというのがこのギルドのルールであった。


「それで、ランクはなに? Dとか」

「い、いえ」


 最初に声をかけてきた女性がキルスのランクがDかと確認してきた。

 それに応える受付も少ししどろもどろになりながらだった。


「どうしたの、ジョッシュ?」

「はい、えっと、こちらのキルスさんはBランクです」

「……はぁ?」

「えっ!」

「B、Bっーーーーーー!!!!!」


 その瞬間ギルド中でどよめきが起こった。


「ちょ、ちょっと、あんた、いくつよ?」


 ここで、気になったのはキルスの年齢だ。キルスの見た目はまだ冒険者登録に来ていてもおかしくない。そんなキルスがB、つまりは見た目より年齢が高いことになる。

 そうなると、別の興味が沸いたのだが……。


「ああ、えっと、15だけど」

「15っ、いやいや、ちょっと待って」

「それで、Bって、ありえないんだけど、ちょっと、ジョッシュ?」


 そのカードは本物かと、ジョッシュに尋ねた。


「は、はい、間違いなく本物です。すみません、キルスさん」


 ジョッシュも疑って何度も確認したが、間違いなくキルスのカードは本物であった。

 そうやって疑い、さらに周囲が騒いでしまったことにジョッシュはキルスに謝罪した。


「いや、気にしないでくれ、これについては俺自身が一番驚いてるから」


 キルス自身、Bランクになると聞いた時驚愕した為に、別の人が聞いてもそうだろうと、驚かれることは一切気にしていなかった。


「ねぇ、ねぇ、あんた、えっと、キルスだっけ、どうして、そんなに早くBランクなったわけ、っていうか、もしかして史上最速じゃない」

「そうだよ。凄っ」


 それ以外の人々もまた深くうなずいていた。


「ああ、まぁ、そうらしいね」

「やっぱり、凄いんだね。ねぇ、もしかして、この国の人じゃないよね」


 この国カルナートの男性は総じて弱体化している。そんな中でキルスのようにBランクになれるとなると、外国人だと判断した。


「キリエルンから来たんだ」

「キルスさんは……」

「緊急ー、緊急ー」


 ジョッシュがキルスが受けた依頼内容を説明したところで、ギルド内にそんな声が響いた。

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