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第124話 新たな依頼

 バラエルオン伯爵に依頼の品を納品したキルス達は、その日のうちにバイドルへと戻ってきた。


「ただいま」

「ただいまぁ」

「ただいま戻りました」


 ターナーと別れたキルスと玲奈、幸の3人は夕方には家に帰り着いたのだった。


「あっ、おかえり、キルス君、それと、レイナちゃんとサチちゃんだよね」


 キルス達が帰ると、そこにはキルスの弟妹達と戯れているシュレリーがいた。


「ああ、ただいま、なにそれ?」


 シュレリーの周りには服や小物類が散乱していた。


「あははっ、今日の戦利品よ。どう、似合うかな? これ、キレルちゃんが選んでくれたの」


 今日、シュレリーはキルスの姉妹たちとバイドルを案内されつつ買い物をしていたようだ。

 その中で、ちょうど今身に付けていた服をキルスに見せつけた。


「ああ、似合ってるんじゃ……」

「わぁ、可愛い」

「すごくよく似合っています」

「ほんと、ありがと」


 キルスの答えにかぶせるように、玲奈と幸がそういってシュレリーのもとに向かって行ってしまった。

 その言葉を受けたシュレリーもキルスの答えを効かずに2人にお礼を言っている。


 キルスもまぁいいかと、姦しく騒ぐシュレリーと玲奈、幸を放置することにした。


「そういえば、爺ちゃん達はって、あっちはあっちで盛り上がっているみたいだな」


 一方でコルスとレーラ、フェブロとアメリアという、キルス達の祖父母達もそれぞれ話が弾んでいた。


 その後、キルスも弟妹達と遊びながら、シュレリー達とも会話を楽しみつつ、時間を過ごすのであった。



 翌日、キルスはこの日、特に予定もなく家でだらだらと過ごしつつ、シルヴァ―と戯れるつもりだった。


「あっ、やっぱりいた、キー君」


 ここで、休みでもないはずのニーナが家に帰ってきた。


「あれ、ニーナ姉さん、どうしたの?」


 キルスもニーナの帰宅に驚いていた。


「ギルドマスターが呼んでいるのよ。ギルドまで来てくれる」

「ブレンおじさんが? 何の用?」


 キルスは、ギルド内では、ブレンのことをギルマスと呼ぶが、家に帰ると昔の呼び方であるブレンおじさんと呼んでいた。


「さぁ、わからないけど、ああ、そうそう、シュレリーさんも呼んでくれって言われてるのよね。えっと、ああ、いたいた、シュレリーさーん」

「はーい、あれ、えっと、たしか、ニーナさん、ですよね」

「はい、実は、うちのギルドマスターが、用があるということで、ギルドまで、ご同行願えますか?」

「ええ、いいですよ。あっ、もしかして、おとといの件ですか」

「多分、ですけど」

「わかりました。それじゃ、いきましょうか」

「はい、キー君行くよ」

「お、おう」


 こうして、キルスとシュレリーはニーナに呼ばれてギルドに向かうことになった。



「おう、来たか」


 キルス達がギルドのギルドマスター室に入ると、ギルドマスターブレンがそういって歓迎した。


「っで、何の用なんだ」


 キルスは入るなり、そう切り出した。


「ああ、まずは、キルス、お前は今日からBランクになってもらう」

「はぁ!!」


 あまりのことにキルスはフリーズした。


「まぁ、普通なら冒険者になって1年もたっていないような奴をBランクになんざあげられないんだが、お前の場合、すでに実力はBランクを越えてるし、シルヴァ―もいる。正直、Cランクでもランク詐欺状態だったんだよ」


 ブレンは悩んでいた。キルスの実力ではCランクでは物足りないし、ギルドとしてもキルスのような実力者はBランクにしておきたいと考えているが、いかんせんキルスはまだ冒険者になって1年も経っていない15歳、そのような少年をはたしてBランクという高ランクにしてもいいのかと。


「詐欺って、そういわれてもなぁ」


 キルスも自分の実力がすでにCランクを逸脱しているという自覚はある。だが、それでも、Bランクはまだ先だと考えていた。


「まぁ、俺も迷ったんだがな。トーライドのギルマス、バラエルオンのギルマス、あとは、コロッセロンのギルマスの推薦状が届いてな」


 それらは、キルスが立ち寄った街のギルドマスターであった。


「……まじか」

「あとは、バラエルオン伯爵様からも嘆願書が届いてな。俺も決断したってわけだ」

「……」


 まさか伯爵からも嘆願されるとはキルスもまったく思わなかった。


「えっと、まぁ、俺もBランクに上がるのはありがたいし、うれしいけど……」

「おめでとう、キルス君」

「キー君、おめでとう」


 ここでこれまで黙って聞いていたシュレリーとニーナが続けて、キルスをお祝いした。


「あ、ああ、えっと、それで、ギルマス、俺たちを呼んだのはそれだけじゃないんだろ」


 キルスは驚きから頭を切り替えて、本題? に入るようにブレンに告げた。


「ああ、そうだな、実はな、これはトーライドのギルマスからの依頼なんだが……」

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