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第103話 一方そのころ

 キルスからもたらされた衝撃の数々に少々疲れ始めたコルス達であった。


「そういえば、シュレリー、あなたそろそろ戻らないと行けないんじゃないの」


 とここで、シュレリーの母であり、キルスの叔母に当たるリミルファがシュレリーにそういった。

 話し込んでいたために考えていなかったが、確かにそろそろ昼休憩が終わる時間となる。


「ああ、ほんとだ、それじゃ、わたしそろそろ戻るから、ああ、そうだ、お母さん、今日はわたし帰ってくるからよろしく」

「そうなの?」

「うん、せっかくキルス君が来たんだもの、明日はお休みにしてキルス君に街を案内してあげようと思って、それに、もっとお話もしたいしね」

「そう、わかったわ」

「それじゃ、よろしく」


 そういって、シュレリーは席を立ち部屋から出ようと歩き出した。


「あっ、そうだ、シュレリー、夜帰ってくるなら、シルヴァ―を連れて行ってくれ」

「えっ、シルヴァ―ちゃん」

「ああ、シルヴァ―の足なら、ギルドまでもすぐだし、何より夜は護衛にもなるしな」

「ふむ、確かに、あの従魔なら、護衛にはなるだろうな」

「確かに、あの子、普通の魔狼じゃないでしょ」


 ここで、キルスはシュレリーに護衛としてシルヴァ―を連れて行くようにと提案した。

 それに対して、コルスとレーラはさすがに元凄腕冒険者として名をはせただけあり、シルヴァ―がただの魔狼ではないと見抜いた。


「まぁね。っでシルヴァ―はおとなしいからな、数時間程度なら厩舎でおとなしく待っているから」

「そう、えっと、いいのかな?」


 シュレリーはそういいながら、一応と言わんばかりにコルスとレーラを見た。


「キルスがそういっているのだ。問題あるまい、それに、確かに、お前の護衛は必要だろう」

「そうね。幸い、この子は護衛にはピッタリでしょ」


 という祖父母の発言を受けてシュレリーはシルヴァ―を連れてギルドに戻ることになった。

 ちなみに、シルヴァ―はすでにシュレリーを家族として認識して懐いているので、この提案にあっさりと了承し、その背にシュレリーを乗せた。



 シュレリーを見送ったキルスは、シルヴァ―のことや、マジックストレージから取り出した兄弟からの手紙などを見せながら、色々と話すこととなった。




 そのころバイドルでは、いつものように食堂を開き、ファルコとオルクが忙しそうに料理を作っていた。

 その時である。


「んっ、あっ、キルスから手紙が来てるね」


 ファルコが、自身の持つマジックバックのリストにキルスからの手紙が届いたことを認識した。


「キルスから、ということは着いたのかな」

「だと、思うよ。ちょっと待って、えっと」


 ファルコはそうお言いつつ手を拭きマジックバックからキルスの手紙を取り出した。

 ちなみに、この手紙、キルスがマジックストレージとマジックバックの説明をコルスたちにしている際に簡単に書き入れたものだ。


「キルスから手紙ですって」


 とここに聞きつけたエミルが厨房にやって来た。


「そうみたい。今、父さんが取り出してるよ」

「それで、なんて、おじいちゃんとおばあちゃんには会えたの」

「えっと、ちょっと待ってね。ああ、うん、会えたみたいだね。あと、従姉が居たそうだよ」

「イトコ!、ほんとに!どんな子」

「うーん、ギルドで受付をしているみたいだね。あと、歳は、20だって」

「へぇ、じゃぁ、私の1つ上かしらね」

「そうなるね」

「ほら、読んでみる」

「うん、……あらあら、うんうん、よかった」


 キルスからの手紙にはトーライドに着いたから警備隊と揉めたことや、それを助けてくれたのがシュレリーであることが書かれていた。

 それを読んだエミルは、家族が攻撃が受けたことに憤慨するも、すぐに大丈夫だったと書いてあったので安心した。


「みんなを集めなくちゃね」


 そういってエミルは厨房を飛び出していった。


「姉さんのことだから、多分シュレリーさんに手紙を書くと思うから僕もちょっと行ってくるよ」

「わかった、ここは任せて、オルクは行って来て」

「うん、じゃぁ、あとよろしく」



 それから、リビングに集められたキルスの兄弟たちに、キルスから手紙が届いたことが告げられた。


「……というわけで、私たちに従姉のお姉さんがいることがわかったの。だから、みんなで、シュレリーお姉ちゃんにお手紙を書きましょう」

「うん」

「かくー」

「いとこってなに?」

「わーい」

「かくかく」

「おてがみー」


 そういって、口々に喜ぶ幼い兄弟たち。


「姉さんと似てるって、そんな人いるんだ」

「まぁ、従姉だしね」


 一方で、キレルはエミルと匹敵する美貌を持つ人物がまだいるということに戦慄していた。

 それに対して、ロイタが冷静にそうつぶやいた。


 それから、エミルたちはそれぞれに手紙を書き始めていた。

 その傍らでは、玲奈と幸が微笑んでいた。


「サーランちゃんもここにパンパンしてね」


 そんな中で、エミルがサーランの手にインクを付けて、紙の上に手形を押すように言った。

 それを見て微笑みながらもあることに気が付いた。


「ねぇ、エミルさん、もしかして、その手形って、考えたのキルス」

「そうよ、よくわかったわね」


 やっぱり、玲奈はそう思った。


「その手形って、私たちの国ではよく使われるんですよ、例えば成長記録とか、あたしも小さいころとかよくやりましたよ」

「へぇ、そうなんだ。成長記録かぁ、いいわね。それ」


 こうして、キルス兄弟たちは手紙を書き、マジックバックへと収めた。

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