短編ブラックジョーク「馬鹿を殺しても良い法律」
「馬鹿を殺しても良い法律を作れ!」
ネット上に、そんな意見がいくつか見受けられるようになった。
この声はたちまち大きなものとなり、ついにA国で法律として制定される。
制定後のある日、B氏はC氏と口論になり、馬鹿だと思ったので手近にあった石でC氏を殴り殺してしまう。皮肉にも、C氏は最初期に「馬鹿を殺しても良い法律」を提唱した人物の一人だった。
馬鹿を殺しても良い法律があるためB氏は無罪となったが、そのB氏を馬鹿だと思ったD氏によってB氏は殺害された。
こんな感じで人口が激減の一途をたどるA国であったが、あるA国民がE国は馬鹿国家だと主張し始める。
A国内でその主張は強まり、E国に戦争を仕掛けた。A国は強大な軍事国家であったので、E国に圧勝し、E国民を皆殺しにしてしまう。
しかし、強大な軍事国家であるF国でもまた馬鹿を殺して良い法律が成立していたので、A国を馬鹿と判断し、世界中を巻き込んだ巨大な戦争に発展していく。
やがて、馬鹿を殺し尽くした結果、G氏という男性とH氏という女性の世界にたった二人の人類が残された。
G氏とH氏は新たなアダムとイヴになろうと誓いあったが、些細なことで口論になりG氏はH氏を馬鹿と判断し殺害。
世界最後の人類となったG氏は発狂し孤独死を迎え、人類は絶滅した。