第42話 ハーレムの約束をしていたそうです。
突然家に押しかけてきたのはプルート先生だった。
「リューヤちゃん、シェルリー王女と結婚を先延ばしにしたってことは、正妻は私にするって決めたのね?」
「はぁ?」
「だって、私達はリューヤちゃんの側室にしてくれるって冒険中、約束してくれたじゃない。シェルリー王女が正室から脱落したなら、私が正室よね。寝室はどこ?早く既成事実を」
と、俺の両肩を掴んできたプルート先生をハイトンが引き離してくれた。
「って、記憶戻ってないからっていい加減な事、言わないで下さいよね」
と、言うと、
「いい加減な事ではないわよね、アリエッタ」
と、プルート先生はアリエッタのほうを見た。
すると、コクリと頷き、
「御主人様、私とプルート先生は御主人様の側室になる御約束をしておるのは事実です。シェルリー王女もそれは承知しております」
「え?ハーレム?」
「『英雄色を好む』は、常識に御座います」
ハイトンを見ると、ハイトンは下を顔を下げ、頬を赤らめながら
「師匠がお望みなら僕のお尻も・・・・・・・」
「うわ~、ちょっと待った。男色ルートはなし、それはなし」
と、額から脂汗が流れ出た。
「そうですか?いつでも大丈夫なようにスライム水溶液は準備してあるんですけど」
おいおいおいおいおいおい、準備万端だな、おい。
「ちょっと、話を整理すると、シェルリー王女と結婚の約束もしていて、アリエッタとプルート先生を側室にする約束をしている」
「僕も」
「うっ、記憶をなくす前の俺はハイトンとも約束をしていた?」
「ハイトン、嘘はいけません。御主人様はそれは約束していませんから」
と、アリエッタが注意をするとハイトンはうつむいてしまった。
「兎に角、アリエッタとプルート先生を側室にする約束はしたのね?OK、OK、わかったわかった。だけど、シェルリー王女との結婚を先延ばしにしておきながら二人を側室にするってのは筋が通らないから、それも保留にします」
異世界ハーレムを作ろうとしていた俺、冒険中によく手出さなかったな。
「別に待つくらいは良いけど。その記憶は戻らないわよ。医者として真面目に診断した結果だもん」
そりゃそうだ。閻魔ちゃんでさえ戻せないのだから。
「俺は筋は通したい。それはわかるね?」
と、言うと、三人は仕方なさそうに頷いた。
ハーレムを作るにしても筋は大切だ。
シェルリー王女との事がちゃんと決着するまでは、お預け。
気楽な隠居生活をすると思っていたのに、ハーレムルートが待っていようとわ。
嬉しい悩みではあるけど。




