第41話 長い肩書きは好きです。
翌朝、アリエッタが読む新聞を覗くと、一面に
【勇者リューヤ様シェルリー王女軍師イバラッキー王国王女相談役フェロー就任並びに公爵授与】
と、大きな見出しが目に入った。
「わ~凄い師匠、公爵様ですね」
と、ハイトンはとアリエッタは喜んでハイタッチまでしていた。
「あれ?なんか昨日の話より大きくなっていないか?」
「えっ、でも、この記事で王室公式発表として、御主人様は大魔王ケイシツ・エンに受けられた傷の静養が必要で、イバラッキー王国軍最高司令官大将軍の座は辞退された。と、ちゃんと書いてあるので問題ないかと」
「それがちゃんと書いてあるなら問題ないか。長い肩書きには憧れがあったし」
俺はブラックな大企業勤めのサラリーマンだった。
サラリーマンの憧れと言ったらやはり、最高経営責任者などの長い肩書き。
それを超える肩書きの響きにちょっと嬉しかった。
記事をよく読むと、確かに昨日話した事が書いてあり、しばらくはシェルリー王女の専属の相談役で有事の際は、大将軍と共に働く主旨が書いてあり、また、結婚も傷が癒えるまで先延ばしと書いてあった。
しばらくは、考える時間がある。
その間に、この世界に慣れ、シェルリー王女との結婚を考える事が出来ないと・・・・・・。
と、廊下の鶯貼りが勢いよく、と言うのかけたたましく鳴り響く。
ハイトンがサーベルを帯剣して、キリッとした目に変わった。
「ちょっと、リューヤちゃんいる?」
と、大声で叫ぶ女性の声は何度も聞いた事のある声で、
ハイトンは、今、帯剣したサーベルを刀立てに立てかけた。
やはり、敵ではないのね。
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