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第2話 死後の世界に来ました。

 死んだはずなのに意識がある。


だが、病院ではない。混沌の暗い暗い深海を泳いでいるようだ。


周りはなにも見えず、ただフヤフヤと浮かんでいるようだ。


まるで柔らかいウォーターベッドに寝かされているかのような心地。


手足は動かせず、頭が上なのか下を向いているのかすら、わからない世界。


だが、不快ではない。


体にも痛みもない。


それどころか、全ての五感が消えている。


ただフヤフヤとプカプカと?浮いているかのようだ。


死んだのか?俺は死んだのだな、これが死後の世界。


思っていたのとはまったく違う、お花畑もなければ神様や仏様、死んだお祖父ちゃんお祖母ちゃんが迎えにも来ないし、三途の川もない。


俺が想像していた、あの世は花が咲き乱れる草原の世界、茨城県ひたちなか市にある国営ひたちなか海浜公園のネモフィラが咲き誇る丘のような世界、青空とネモフィラの青色の中に爽やかな海風が吹く世界。


だが、今は暗闇でしかない。


いや、これから死者の世界に行くのだろうか?きっと、その極楽浄土の途中なのだろう。


過ぎ行く時間がわからない世界の中をどうしようもなくただただ、流れている。


目をつぶり瞑想をしているかのように思考だけは続くと、あたりは白く輝かしい光がさした。

まるで、映画の場面展開のように一気に変わる風景。


暗闇から花が咲き乱れる草原の世界、想像していた茨城県ひたちなか市にある国営ひたちなか海浜公園のネモフィラが咲き誇る世界にどことなく似ていた。


すると、俺の肉体が腕、足、胴体、頭があるのに気が付く。


先程とは違い、体が自由に動かせる。


花畑の上に俺は寝ている。


地面に大の字になって寝転ぶ俺は深呼吸をすると、


「少しは落ち着きましたか?」


突如、声が頭の上の方から聞こえた。


起きあがりそちらを見ると、美少女が一人立っている。


腰まであるロングの黒髪、服は鮮やかな曼珠沙華が描かれた着物に金襴の陣羽織みたいなのを羽織っている。


一見20歳になったかな?くらいの美少女、身長は低め幼くも見える。


そんな美少女の頭には閻魔と書かれた王冠みたいなのを被り、手には聖徳太子が持っているような木の板、笏を持っている。


まるで美少女コスプレイヤーだ。


地獄ではなくコスプレイベント会場か?


「ようこそ、天界閻魔の世界へ、生涯を終えた事、御苦労さまでした」


ニコニコしながら明るい表情でこちらを見る美少女の謎の言葉に頭には疑問符が浮かんだ。


「天界閻魔の世界?」


疑問符は口に自然と出た。


「はい、私は貴方の魂を導く閻魔大王です」


はぁあ!?閻魔大王?こんな美少女が?天使や天女、女神って言って良いような娘っ子なのに?


俺の高校生の娘の彩華と、そう変わらない背格好に見える娘っ子が?


「閻魔大王?」


やはり疑問符が声に出た。


「はい、閻魔ちゃんと呼んでください」


優しい笑顔でそう言って、座ってる俺の目線に合わせるようにしゃがんでくれた。


美しい、その美しい笑顔で俺は死んだ事の不安は不思議に消えていた。

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