第24話 1ヶ月が経過しました。
「勇者様、残念なお知らせがあります」
と、プルート先生が毎日、日課になっているウンチの分解をしながら言う。
「え?なにか出た?血?」
と、慌てて聞くとプルート先生は首を横に振り、
「いいえ、違います。私達の同居が終わります」
と、言う。
プルート先生と、同居していたつもりはない。
つもりがないのではなく、この一ヶ月は入院生活、部屋にはアリエッタだけ。
アリエッタと同居と言われれば、そうだが、プルート先生とは違う。
「同居なんてしていないでしょ」
と、言うと、
「ここは、私の住居兼病院ですから。あぁ、本当は喜ばしい事なのに悲しい。くっ、この際、勇者様のウンチに牛の血でも混ぜて検便に出そうかしら」
と、不穏なことを言った。
うっ、駄目な医者だ、この人・・・・・・。
「冗談はさておき、一ヶ月間の観察入院で、下血は認められませんでした。よって、医師として全快であることを認めます」
と、先ほどとは違い真面目な顔で言った。
「退院ですね?」
「えぇ、退院ですが、このままここに住んでいても良いのよ。そうすれば毎日会えるから」
と、言った。
って、あれ?俺って退院したらどこに住むの?と、ふと思い、アリエッタを見て聞こうとすると、察したのかアリエッタは、
「城下に賜った土地に御主人が、魔法で作った家があります。凄い豪華なんですよ。大きな風呂に広い庭、プールもあって、トイレなんか、最新のウォータースライムナメナメ洗浄機能付きなんですから」
と、言う・・・・・・大きな風呂良し、プール良し、・・・・・・ウォータースライムナメナメ洗浄機能付きトイレ?・・・・・・はっ?
なんとも聞いてはいけないような・・・・・・。
「うわ~、あれって最新のモンスター融合マシーンじゃない、あれってまだ希少すぎて、王宮にあるだけじゃん」
と、プルート先生は目を輝かせて興奮気に言った。
う~なんか嫌な予感がする。
この世界、一見昭和に見えてしまうが、やはり異世界、平成の日本とは違う進化をしている。
アリエッタとプルート先生のウォータースライムナメナメ洗浄機能付きへの喜びと言うのか、憧れの興奮に今、水を指すのは止めてこう。
「俺って退院したら、衣食住は大丈夫なんだね?」
と、確認すると、
「そりゃ~そうよ。イバラッキー王国の勇者様なんですから」
と、二人は当たり前の如く言っていた。
あ~、その活躍した頃の記憶、戻らないかな~。




