第23話 俺もニュースで放送されました。
翌朝も、朝食を済ませてまったりとしている。
暇だ。
外は今日は雨で、霧も発生しているため景色は望めないのでテレビを付けると、・・・・・・?
え?
画面に映し出されたのは、俺の顔の静止画像が映し出されテロップに『勇者様の容態』と、下に書かれていた。
そして、
『昨日の勇者様は、下血は止まり食事も三食食べられたそうです。大便も医師団が分解して調べた結果は良好との事です。ただ、魔王の呪いで記憶の混乱があるようです。女王陛下が、お見舞いをなされたとのことですが、誰だかわからなかったそうです。女王陛下は、『魔王の呪いとは恐ろしい物です。勇者様の記憶を消すのですから。私はそんな勇者様でも愛し続けます。国民の皆様も、勇者様の回復を祈りましょう』と、コメントを発表されました。お早い回復を皆様でお祈りいたしましょう』
と、アナウンサーが読み上げた。
俺の頭の中は、むしろ今のこのニュ-スのほうが頭を混乱させる。
朝食の膳を下げてくれたアリエッタが、そのニュ-スの終わりに入ってきて画面をチラリと見た後、俺の視線に気がついて
「あっ、これですか?毎日、放送しているんですよ」
と、あたかも普通に放送されている物として言う。
大昔、子供の頃、昭和の終わりに陛下の容態を夕方のニュ-スで毎日放送されているのを見た覚えがあるが、今、自分がそれをされている。
個人情報など完全に無視している。
「これって、止められないの?」
と、当たり前だが、こんな放送を止めて欲しくて聞くと、
「そんなことをしたら、国民がみんな心配いたします。病院に押しかけてしまいます」
「俺ってそんなに人気がある有名人なの?」
「それはもう、イバラッキ-王国の救命主ですから当たり前じゃないですか」
ううう・・・・・・俺は退院したら静かに生活できるのだろうかと、不安な入院生活を過ごした。
入院患者は医者の言うことを聞いておとなしくしていないとならないという価値観から大人しく過ごした。
翌朝も同じようなニュースが放送されたのを目にしてからテレビをつけるのをやめた。
回復しているのに入院という苦痛の生活は一ヶ月続いた。




