第18話 肉体は筋肉マッチョマンでした。
次の日の朝目が覚めると、アリエッタはソファーをベッドにして寝ていた。
ソファーがベッドに変形出来るタイプと言うことは、この異世界では完全介護ではないのかと想像させられる。
平成の日本では、あまりみなくなっているタイプの病院なのか?
それとも単に特別室は家族の寝泊まりを肯定している作りなんだろうか?
そんな事を考えると、尿意を感じたのでベッドから静かに抜け出ようとすると、アリエッタは素早く起き忍ばせていた短剣を抜いて構えた。
「って、おはようございます。御主人様」
と、何事もなかったかのように短剣を納刀して、にこやかな挨拶をするアリエッタに少々驚きながらも
「おはよう」
と、返した。
俺の肉体は勇者、アリエッタはその従者。
幾多の戦いを潜り抜け冒険をし、魔王を倒した。
なら、当然の動きかと一人納得を飲む。
「どうされました?」
「あっ、オシッコしたくて」
「トイレは、こちらです」
と、室内にあるドアを開けると洗面台があり、その奥のドアを開けると普通に洋式便器があった。
しかも、平成から言えば少し古いモデルに感じるお尻洗浄機付き。
異世界トイレ問題はよく目にしてきたが、この異世界のトイレ問題はなさそうで感動をした。
「あっ、プルート先生からの伝言で大便は流さないで下さい。と、言われてますから御注意してください」
「ん?流しては駄目なの?」
「下血していないか確認するそうです」
プルート先生は医者。
医者の言うことは聞かないとならないのは病院に入院中なので仕方がない。
「ん~今はとりあえず、オシッコだけだから」
と、小便を済ませ洗面台で手を洗う。
鏡に映すのは、屈強な筋肉マッチョマンになった姿だった。
「なるほど、これなら勇者として冒険してきたのは納得だな」
と、思いながらボディービルのようにポージングしていると、遅いのに心配したのかアリエッタがドアをノックして開け様子を見てきた。
鏡の前でポージングする俺の姿を見ると、笑いをこらえながらドアを閉めていた。




