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第15話 重湯は美味しくありません。

 体は明らかに完全回復をしているのだが、念には念をとして、食事は重湯から始まった。 


重湯と味噌が溶かれただけの汁と白湯。


この世界は米が主食だと言うのは、米党の俺にはありがたかった。


そういえば、中学の先輩は米米CLUBだが、カールースモーキー石井さんは米好きなのだろうか?

米好きの集まりだから、米米CLUB?違うかなどと米粒が見えない重湯を啜った。


「アリエッタ、お茶漬けの元はないのか?」


「御主人様、なんです?それは?」


「知らないか?なら、ふりかけは?」


「ごめんなさい。それもわかりません」


「なら、塩は?」


「先生からは、これ以外は飲食させては駄目だと厳しく言われています」


と、下を見ては困った顔をされてしまった。


入院患者への差し入れは、間違いなく喜ばれるのは『ふりかけ』『お茶漬けの元』『海苔の佃煮』『ごま塩』おかずの塩味がなくご飯が食べられないので、飲食制限がない患者にはご飯のお供が喜ばれる。


また、調味料などは大変嬉しい。


醤油、塩、ソース。そしてマヨネーズ。


マヨネーズほど万能な調味料はない。


野菜にかけるだけでなく、魚や肉料理にも合い、さらには切り干し大根の煮物にかければ一味違う物が誕生する。


マヨラーでなくとも、レパートリーが限られ味付けがほとんど変わらない病院飯を豊かなものに変えてくれる。


盲腸手術に扁桃腺切除、骨折に事故に労災に、そして、うつ病と、なんども入院を繰り返した経験から出たマヨネーズは万能と言う結論はそうそう変わる事はない。


が、今は目の前の重湯を一気に飲む。


ドロリとしたスライム状の味のない物は一気に飲むしかない。


それを味噌汁で流し最後に白湯で口を濯ぎながら飲んだ。


後味が残らないように。


「御主人様、そんな一気に飲んだら」


と、アリエッタが止めたが


「だから、俺は全快したの、大丈夫なんだから次の飯は普通のにするように看護士さんに伝えて」


「はっ、はい、御主人様」


そう言うとアリエッタは膳を下げてくれた。


あ~唐揚げが食べたいな。

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