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第9話 両親は死んでいました。

 眠りから覚めると、またしてもオムツの交換中だった。


「ほんと、ごめんなさい。こんなことさせて」


と、交換している二人に声をかけた。


一人は最初にいた婦長と呼ばれる40代後半くらいの中肉中背の看護師、そしてもう一人は目を覚ますときに必ずいる美少女外人ナースだ。


この娘、勝手で悪いが、中二病ナースと俺の頭の中では呼んでいる。


「そんな滅相もないことです。世界をお救いになった勇者様のお世話を出来るのですから」


と、婦長ナースも言い出す。


ん?このナースさんも中二病なのか?


こんな病院、茨城県にあるなんて聞いたことないぞ・・・・・・。


「今、先生呼んできますね」


婦長ナースは廊下に走って出て行き美少女外人ナースさんはオムツのマジックテープを閉じていた。


「勇者様、本当に覚えていないのですか?」


と言って目をうるうるとさせている。


この美少女外人ナースさんの演技上手すぎるよ。


こんなシステムだと笑えないし逆に俺が不安になるよ。


「あの、うちの家族を呼んでいただけないでしょうか?」


「家族?あーグループメンバー様ですね。残念ながら大賢者様、大魔道士様、大戦士様、皆、残されたモンスター狩りをしていて今は遠くにいますので、従者である私が御用なら何でも聞きますよ」


・・・・・・。


うん、何だろう、この美少女外人ナースさんは本当何なんだろう。


「あの、そういうの良いので、家族を呼んで欲しいのですが?」


と、言うと、美少女外人ナースさんは涙を流し始めた。


「そ、そ、そんな、ご両親を魔王に殺された恨みを糧に戦っていた勇者様が、ご両親を亡くされた事をお忘れなんて」


「おいおい、いい加減にしてくれよ。もうその設定良いから、普通に家族と先生呼んでくれよ。それとも面会謝絶なのか?」


ついつい大声を出してしまった。


ふと廊下に続く扉で人影を感じたのでそちらを向くと医師集団が今のやりとりを見ていた。


「勇者様は、記憶が混乱しているご様子だ」


「勇者様は、ご両親の事をお忘れになられている」


「勇者様は、従者の事も忘れられているようだ」


「魔王の呪いはどう治療すれば良いのかわからないぞ」


・・・・・・。


医師集団の声が聞こえた。


「はあ、ちょっとなにを言っている」


世にも奇妙な物語の中に入ってしまった気分だ。


「みんな、勇者様が混乱されている。私が代表して話すからみんなは下がって休みなさい。なに、もうここまでくれば命の危機は脱しただろう。女王陛下にはお叱りを受けることはない。大丈夫じゃ」


と、一人やたら年を召した小柄な医者が部屋に入ると、医師集団は解散した。


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