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閑話 ジェニーのラブリーファッションショップ

5連続投稿第二弾です。今回はパロディネタ盛りだくさんです。

 魔物の氾濫から数日後、俺はミアとクラリスに誘われて、この場所を訪れていた。


「ジェニーのラブリーファッションショップ、か」


 本当は来たく無かった。本当に来たく無かった。ミア達がしつこく誘ってきたのと、一応あの化け物にはギルド建設の際に手伝ってもらったこともあり、一度は来て見るか、ということでしぶしぶ足を運んだ。


 ギルド......ジェニー......なんだか嫌な思い出がある気がする。全く思い出せないが......


 



 


 店の前まで着いた。着いては見たものの、店のドアを開けることを俺の本能が躊躇っている。


「あ"らあ? アサギちゃんじゃないの~。やっと来てくれたのね! さぁ入って入って」


 相も変わらず扇情的な衣装に身を包んだ筋肉だるまが姿を現す。この場から逃げ出したいという気持ちが全身を支配するが、行動に移すよりも早くこの怪物に腕をつかまれ、店の中に引きずり込まれる。ちょ、力強っ!


 店の中は、意外な事に簡素だ。まあ事前にミアから聞いていたが、本当に服の一着も置いてないんだな。


「それにしても、アサギちゃんって本当にそんなだる着でいつも出歩いているのね」


 今の俺の格好はTシャツにスウェット、クロックスだ。この世界に来た時の格好そのまんまだな。一応冒険者として行動するときの服はそろえてあるが、普段着はほとんど持ってないんだよな。


「そうなんですよ。一応ウチのギルドのトップ冒険者なんですから、出歩く時くらいはちゃんとした格好をして欲しいと思いまして」


 クラリスがそう言う。まあ確かにあんまり威厳のある格好では無いな。


「任せてちょうだい。アタシがアサギちゃんにバッチシ似合うコーデをそろえてあげるわぁ」


 バチコン、と音のなるようなウィンクを残し、ジェニーが見せの奥へと入っていく。聞いた話だと、あいつは見ただけで人の身体のサイズを把握できるらしい。普通に怖いわ。







 少し待っていると、ジェニーが奥から一着の服を持って出てきた。いやいや、おい、それは駄目だって。


「アサギちゃんにはこれが似合うと思うのだけれど......」


 制服。それもブレザータイプの紺の制服だ。なんでこんなもんがこの世界にあるんだよ、とも思ったがよく考えたらミアが着てるのもセーラー服だ。過去の勇者辺りが着ていたもののレプリカだろう。


「これは勇者服の中でも最新モデル、勇者ソーマの着ていた服のレプリカなのよ~」


 知り合いだった。っつうかソーマの高校の制服かよ! 着れるかそんなもん。俺はもう二十一だ。もう制服を着て良い年齢じゃ無い。高校卒業してそれを着て良いのは大学生がディ○ニーにいく時だけだ。制服ディズ○ーとかやったこと無いけど。


「すまんがそれはカンベンしてくれ......」


「んんー。似合いそうだと思ったのだけれど、本人が嫌じゃしょうが無いわねー」


 それから先も、ジェニーは色々な服を持ってきた。






 次にジェニーが持ってきたのは、上下一体となったボディースーツ。ところどころにプロテクターの様なものが付いているが......


「プ○グスーツじゃねえか。しかも赤って。ア○カ用じゃねえか、女物だろうそれ。着れるかそんなもん、却下」


「あら、シンクロ率が上がるっていう触れ込みだったのだけれど、駄目なのねん」


「何とシンクロすりゃ良いんだよ」





「この騎士服みたいなのとマントは......コード○アスのゼ○かよ。この店はコスプレ専門店かなにかか?」


「付属品にこんなのも付いてたけれど......」


「うわ、ヘルメットもあるのかよ。おおっ! 目の部分が開くようになってる!」




「黒い着物に白い帯......まあ今までのからしたらまだ着れるレベルか?」


「ああ、それはその上にこれを着るのよ」


「白い羽織......ブ○ーチの死○装じゃねえかよ、背中には......「五」って愛○じゃねえか。こんな不吉なもん着れるか! 何を考えて作ったんだこんなもん。せめて「八」なら着るのに」




「次はマント......か? 黒地に赤い雲の形の刺繍。はあ、今度はナ○トの暁かよ。ジャ○プが続けて来たな」


「頭につける装備もあるのよ。なんと言ったかしら......?あちらの世界ではハチガネ、だったかしら」


「この場合は額当て、かな。ご丁寧に木の葉のマークと横一閃の傷まで入ってやがる」








「そろそろまともなのは無いのかよ。このままじゃ日が暮れちまうぞ」


「そうねぇ、そろそろ遊びは終わりにしようかしら~」


 遊ぶなよ。一応客だぞ俺は。


「そうね~。こんなのはどうかしら。戦闘着としても普段着としても使えるわよ。魔物の糸で作ってあるから耐久性も抜群よ~」


 そう言いながらジェニーが引っ張り出してきたのは、上下のスーツとベストの様なもの。バーテン服か。まあこれなら良いか。





 奥の試着室で、早速着替えてみる。すげえ、本当にぴったりだ。軽く運動をしてみても、何の違和感も無く動く。


 試着室のドアを開け、ミアとクラリスの元に帰る。


「おおー」


「似合ってますねー」


 なら良かったわ。


「この服には防御の永続付与魔法がかかっているから、多少の衝撃は吸収してくれるわ~」


 つうかこいつ、最初からこの服を出すつもりだっただろうに。今までの茶番はなんだったんだか。


 まあいい。この服は俺も気に入ったわ。


「それにしても、アサギさんがちゃんとした格好をしているのは新鮮ですね」


「普段ギルドでゴロゴロしている姿は無職の駄目人間ですからね」


 おいミア、聞こえてるぞ。あ、そうだ。


「ジェニー、会計はナンボだ?」


「うーん、そうねえ。その服は私が一からこさえたものだから......」


 顎に手を当てて考え込むジェニー。こいつの手製か、これだけ俺の体にぴったりということは、あらかじめ俺が来た時の為に準備してたって事か。


「そうねえ、アサギちゃんのお尻を人撫でさせてくれたらそれでいいわよ~」


 俺は手持ちの金をすべてカウンターに置いて逃げだした。


 

次も閑話、料理ネタです。

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