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78、連れ去り事案

「失礼します。ここにリク君という3歳の男の子はいますでしょうか?」


 鉄臭くて青臭くて微妙な味の飴をなめていたら教会の扉が開かれて、どこか淫靡な感じのする女の人の声が聞こえた。

 イスの端から通路を覗くと細身で巨乳のシスターがいた。

 うん、胸がでかい。顔よりも胸に目が行ってしまうくらい胸がでかい。

 メロンでも入ってるのだろうか?


「ユエ支部長様、どういったご用件でしょうか?」


 カナ先生はおずおずとおっぱいさんに声をかけていた。

 支部長って偉そうだな。


「えぇ、土の神子様とお話がしたいと思って、今こちらにいらっしゃると聞いたので伺いました」


 おっぱいさんはエロいお姉さんみたいな声のまま言っていた。

 とりあえずおっぱいさんは存在がエロい。

 この場の男性で最年長だと思うキー君の顔を見てみると赤くなっていた。

 うん、やっぱり思春期が近い子はこういうのに敏感だ。


 ……土の神子?


「リク君ならこの子だよ~っ!」


 あ。


 周りを見回すと男の子の1人が俺を指さして言っていた。

 おっぱいさんはその男の子の頭を優しく撫でると俺の方へと近づいてきた。

 男の子はそれはもうとてもうれしそうな顔をしていた。


 カナ先生は首をふりふり、おろおろとしていた。

 権力的な差で逆らえない立場のおっぱいさん、知り合いから頼まれた子供の俺、どういう風に立ち回ればいいのかがわからないといった状況だろうか。

 頼れないな。


「あなたがリク君ですね?」


 否定しても無意味だろう。

 赤ん坊の身体能力的にも避けられるわけではないだろうし、自身で否定しても周りの正直者(子供達)に本当のことを伝えられてしまう。


「はい、僕はリクです」


 俺がそう答えるとおっぱいさんは微笑んで頭を撫でた。

 細くて小さい深窓の令嬢のような繊細そうな手だったが、骨っぽさはあまり感じられない柔らかい手だった。


「会いたかった」


 おっぱいさんはそう言って膝立ちになり抱きしめた。

 体がおっぱいさんのおっぱいに包み込まれた。

 お腹の辺りを柔らかくて温かいものに包まれた。

 なぜか初めて俺を求められている気がして、頭の奥の方でネジが緩んだ気がした。


 この状況はなんだ? わからない。

 どうして抱き着かれた? わからない。

 なんで会いたかった? わからない。

 何か企みがあるのでは? わからない。


 思考がループしてショートする。

 俺は混乱状態に陥ったようだ。

 冷静な部分と混乱する部分が混在し、体がまともに動かせなくなっていた。


「神子様、私たちの教会に来てくれませんか?」


 なぜかわからないが頭が縦に動いた。


「ありがとうございます。ではお連れ致しますね」


 もしかしたら飴に何か混ざっていたのかもしれない。

 いや、混ざってなくても偽薬効果が効いているかもしれない。

 俺は飴に何かが混ざっているのでは? とずっと疑っていたから。

 本当は混ざっていなくても「混ざっている」と思えば、俺の理性に反している行動でも頭の中に思い描いたシナリオに従い「薬のせいでこんな行動をしているんだ」と思ってしまいやってしまう。


 思い描いているシナリオはなんだ?

 邪教シナリオか?

 このエロいお姉さんが邪教の人だというシナリオか?

 邪教の人が作った飴をなめた事でイエスマン状態になっているという設定か?

 わからない。

 わからない。


 どうしてこうなった?


「え、ユエ支部長! リク君は連れて行かないでください!」

「シスター。神子様を名前呼びとは不敬ですよ?」


 おっぱいお姉さんに抱えられて思い込みのせいか身動きが取れない俺は教会を後にした。


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